bjhssd.html “便秘”にも“ゆるめ”にも効く「腸活チャレンジ」、たった1週間で劇的改善!
( 2019.03.09 )
便
   1
 病気ではないからと放置しがちな便秘。 とくに子どもの便秘は症状が出にくい 「かくれ便秘」 も多く、親が気付かないうちにひどくなってしまうケースもあると言います。 育を提唱している松生恒夫先生ご指導のもと、お通じに悩んでいる方に 「腸活1週間チャレンジ!」 に取り組んでもらいました。 するとたった1週間で驚きの効果が!


食事をする子ども気づかないうちに悪化することもある子どもの便秘。腹痛などの症状が辛くなる前に生活改善を
 今回のチャレンジは 「腸にいい食材を取り入れる」 「朝起きたら1杯のお水を飲む」 「ストレッチやマッサージを行う」 「夕食後から寝るまでの時間を空ける」 「毎日湯船につかる」 「排便の記録を付ける」 の6つ。 この中から半分くらいを目指してできる範囲でやったところ、それぞれ驚きの成果が。 なかでも顕著に変化のあった二組の家庭を紹介します。

 兄弟ともに体を動かすのが大好きな元気なKさん宅では、小5の塾通いのお兄ちゃんのおなかがゆるめなのに対し、小4の弟は超が付くほどの便秘症。 今回は 「食事の見直し」 「湯船につかる」 「マッサージを行う」 などに取り組みました。

 まず、食生活を見直したところ、いくつかの問題点が見えてきたといいます。
「二人とも野菜が苦手で、兄の方は果物も大嫌いなんです」(母)
 メニューを振り返ると食物繊維の不足を痛感したとか。 子どもの好みの献立が多かったことを反省し、苦手な野菜でも食べられるように調理の工夫をしました。
「すりおろしたニンジンや刻みシイタケを使ったワンタンスープを出すと、苦手な野菜でもおいしく食べてくれました。 ぬか漬けや納豆などの発酵食品も意識してとり入れました」 (Kさん)
 休日は公園などにでかけて積極的に体を動かし、帰宅後しっかり勉強するというメリハリのある過ごし方も意識したそう。 「半身浴で体を温めるようにして、便秘がひどい弟にはおなかのマッサージもしました」 とKさん。

 1週間がたつ頃には、二人に大きな変化が見られたといいます。
「兄はかさのある健康的な便になったようです。 弟もほぼ毎日お通じがあり、時間も定まってきました。 体を動かすとぐっすり寝て、翌朝便意が起こるようになって驚きましたね。 実は、何ができていなくて便秘になったのか、どんな栄養が欠けていたのか、よくわかっていなかったんです。 だから食事内容を見直すいいきっかけになったというのがいちばんでした。 体は正直で、意識するだけでいい方に変わっていく。 これからも続けていこうと思っています」(Kさん)
 もう1軒の家庭を紹介します。 Wさんの長女Nちゃんは小学1年生。 野菜が苦手な肉食派女子です。 実は赤ちゃんの頃から便秘に悩み、4歳までは緩下剤の内服が毎日欠かせなかったそうです。 浣腸をすることもしょっちゅう。 腸に異常がないか、検査を受けたこともありました。
「今は大分良くなりましたが、それでも排便は2日に1回。 しかも排便時に痛みを感じるようです。 出血を伴うこともありました」(Wさん)
 便秘を直すことだけではなく、娘に腸を大事にすることを知ってほしいと、腸活にチャレンジしました。 しかしWさんは看護師さん。 毎日とても忙しく、料理に時間がかけられないため、ポイントを絞ってできることから始めたそうです。

 そんなWさんの家庭で取り組んだのが、 「主食(お米)の見直し」 「毎日湯船につかる」 「マッサージやストレッチを行う」 「排便の記録を付ける」 の4つ。
「まず、白米を食物繊維が豊富なもち麦に変えて毎食取入れました。 料理に使う油も腸をやさしく刺激すると言われているオリーブオイルに変え、起床時はお水をコップ1杯飲ませたんです」(Wさん)
 生活面ではシャワーが多かったのを湯船につかるようにして、お風呂から上がるとお父さんに本を読んでもらいながら、お母さんからもマッサージ。 至福の時間となり、毎日ねだられたそうです。
「遊びがてら一緒にストレッチもやりました。 うちは1週間たたなくても、取り組み始めた翌日から、いい感じのお通じになったんです。 本人もスッキリするらしく、色々なことに前向きになり、苦手だった果物も収穫体験をすると食べられるようになりました」(Wさん)
 色々実践しましたが、実は 「できる範囲でできそうなものだけやろう、と気楽に取り組んだのが継続できた理由」 とWさんは話します。

 取り組む前と後でいちばん変わったことは、 「親子で楽しんで腸活について考えたこと」 とみなさん口をそろえて言っていました。 便秘は何か一つだけ対策をしていけば治るものではありません。 生活全体の中でやりやすいものをいくつか選ぶこと、無理のない範囲でやって継続することが改善のコツだと実感した腸活チャレンジでした。





便
   


 英子さん(仮名・48歳)は、まあまあの健康体だ。 病院にかかるのは数年に一度、風邪を引いた時ぐらいだし、健康診断の数値も問題なし。 メタボ検診だって1回も引っかかったことがない。

 ただ、肩こりも腰痛も慢性的にあるし、10代の頃から常に便秘症だ。 3日や4日、便が出ないのは当たり前。 中学の修学旅行前には、提出期日までに検便が出せず、なんとか排便しようと学校のトイレでいきみまくった思い出もある。

 ( あの時は本当に大変だったなぁ~ )

 今でも 「修学旅行」 とセットで思い出す心の傷だ。

 さらに便秘は美容の大敵でもある。 とくに困るのは吹き出物だ。 若い頃、生理と便秘が重なった時などは、脂が浮いたおでこやアゴに芯のある痛くて大きな吹き出物がしょっちゅう出現し、英子さんを苦しめた。

 吹き出物は、ホルモンバランスの乱れが原因とされているが、排泄されない便に由来する毒素が悪さをしているに違いないと、英子さんは思っている。

 とはいえ、40年近くもそんな状態なので、便秘への対処は慣れたもの。 5日目には下剤を飲むと決めており、強制的に出すと決めている。

 便が溜まってくるとお腹が張って食欲がなくなる上に、ガスに押されるせいか胸のあたりが強く痛むこともある。 「溜めっぱなしはよくない」 ことは重々承知しているので、これまでも女性誌やテレビの健康番組を参考に、よいとされることはすべて実行してみたが、効果はなかった。

 ある夜の夕食時、冷えたビールをぐびっと飲み干すと、急に気持ち悪くなり、吐き気に襲われた。 耐えているうちに、今度はお腹が痛くなる。
「どうした、真っ青だよ」
 夫の勝義さん(仮名・50歳)が心配して、声をかける。
「なんかね、急な差し込みが。 あ痛たたたたぁ~」
 腹痛はどんどん強まり、同時に嘔吐も酷くなったため、勝義さんは近所の家庭医に電話で相談。 すぐに大手の病院を紹介してもらい、救急受付外来で診てもらうことができた。


ウンチが腸を塞ぎ 臭い吐しゃ物が出た

糞便ふんべん腸閉塞ですね。 便秘で腸の内部に貯まったウンチが硬くなって詰まり、腸が塞がっちゃったんですよ。 手術はしなくて大丈夫そうですが、ちょっと入院していただきます」
 触診やエコー、CT検査の後、医師は言った。
「えぇえ、ウンチですか」
 驚きの声をあげたのは勝義さんだった。
「そうです。 ウンチが腸を塞いでしまうせいで、腸液やガス、便などが正常に通過できずに腸内に溜まってしまう病気です。 吐しゃ物は、最初のうちはよくある嘔吐と同じ、胃液や胆汁ですが、それらがなくなってくると、腸に詰まっているものが出てきます。 奥さんの吐しゃ物も、ウンチみたいに臭かったでしょ」
 医師は淡々と言い放ち、勝義さんは顔をしかめてうなずいた。
「はい、臭かったです」
 妻が苦しんでいるというのに、なんという連中だろう。 修学旅行の思い出に加え、英子さんにもう一つ、心の傷が加わった。

 腸閉塞には複数の種類があるが、大きく分けると、ただ腸内に詰まりが起きているだけの腸閉塞と、締め付けが起きてしまう 「絞扼性こうやくせいイレウス」 とがある。

 原因で多いのは開腹手術だ。 病気の種類は関係なく、術後に、腸同士や腸と腹壁が癒着を起こし、結果癒着した部分が捻じれたり締め付けられたりして、腸閉塞となる。 それほど多くはないが、英子さんのような酷い便秘や異物の誤嚥(誤って飲み込むこと)によっても生じる。

 「たかが便秘」 と馬鹿にしてはいけないのである。

 治療法は基本的に、絞扼性イレウスとそれ以外の腸閉塞とで異なる。 絞扼性イレウスは、開腹手術が普通。 それ以外の腸閉塞は、点滴・抗生物質の投与、イレウス管と呼ばれる細長い管を入れて、腸内のガスなどを外に出す治療法が行われる。 腸への負担を減らすため、絶食も必須だ。

 数日後、英子さんは回復し、何事もなかったかのように歩いて退院した。


皮膚がたるむように大腸もダラーンとたるむ

 後日、退院の報告と、今後の相談をするために、英子さんは家庭医のもとを訪れた。 腸閉塞は “癖” になるらしいので、予防法を教わりたいと思ったのだ。

 ショートカットがよく似合うキュートな女性医師は、優しくアドバイスしてくれた。
「大変でしたね。 だいたい女性は40代後半ぐらいから、下痢も便秘もしやすくなるんですよ。 あなたの場合は昔から、便秘症だったわけですから、なおさらですね。 最近は原因として、腸内細菌のアンバランスとかが注目されていますが、もう一つ大きな原因が大腸の活性低下、動きが悪くなることなんです」
 医師は、腸の状態を描いたイラストを見せてくれた。
「もともと大腸は、約1.5メートルの長さで、5ヵ所の曲がり角をつくることで体内に収まっています。 特に左右のわき腹の肋骨下あたりは、ちょうど吊り橋の端と端のような感じで、端っこだけつまんでいる状態なんですよ。 加齢によって大腸の筋肉が衰え、内臓を包んで吊り上げている膜もたるんでくると、下垂が起こります。 腸が全体的にダラーンと垂れてくるんです。

 年を取ると、顔の皮膚がたるんで、まぶたも目尻も頬っぺたも垂れ下がってきますよね。 同じことが身体の中でも起きてくるんです。

 胃下垂ってよく耳にすると思うんですけど、大腸下垂というのもあるんです。 本当に下腹がぽっこり出てくるんですね。 こうなると、あいだに貯まっている消化物は停滞しやすくなるし、曲がり角では空気が溜まりやすくなって、大腸自体の動きも鈍くなり、便秘になりやすい状況が生まれてしまいます」
 なるほど、身体の表面がたるむ時は、身体の内側だってたるむ。 胃がたるめば胃下垂、大腸がたるめば大腸下垂、膣や子宮等がたるめば骨盤臓器脱が起きる。 加齢とは、あちこちたるむことでもあるのだ。

 医師はさらに続けた。
「女性はもともと男性と比べて身体のサイズが小ぶりな上に、子宮や卵巣もあります。 大腸を折りたたんで、納めるスペースが狭いため、曲がり角がきつくなっているのです。 だから下垂と相まって消化物がますます停滞しがちになるんですね。

 食べ物が消化される時、大腸の中で一方通行に動いていると思われがちですが、実際は、腸が蠕動ぜんどう運動することで、行きつ戻りつしながら、粘土をこねるように便が作られていきます。

 加齢によって、この動きが悪くなると、粘土を上手くこねられなくなります。 うどん粉やそば粉をこねて麺にしようとしても上手くまとまらない、みたいな状態ですね。

 こうしたことが他の要因と複雑に関係して、便秘になる人もいれば、下痢になる人もでてきます。

 うちにいらっしゃる患者さんは、 『若い頃と違って、 “バナナウンチ” が出ない』 と、下痢を気にされる方が多いんですが、本当は、便秘の方が心配です。 腸閉塞の原因にもなりますからね」
 というわけで英子さんは、身体に合う下剤を処方してもらい、便秘に効く体操や食事も教えてもらい、真剣に取り組むことにした。 めざすは2日に1回は排便すること。
「もう絶対、ウンチみたいな吐しゃ物が出たなんて言われたくない」
 腸閉塞の痛みもつらかったが、それ以上に、勝義さんの呆れたような物言いに傷ついたという。 今は日々、大腸を健康に保つ、 「快腸生活」 に励んでいる。


~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~