( 2019.01.24 )

    


 ここ数年、新築マンションの価格が高騰し、供給量も減っているなどマンション市況は冷え込んでいる。 だが、その中でも一部に旺盛な需要があるという。 それが、独身女子の存在だ。 スタイルアクトの調査、分析を基にひも解いてみよう。

 生涯単身率が約5割の中 独身の約3割が自宅を購入

 持ち家比率が8割以上と高い日本。 初めて住宅を購入する一次取得者層といえば、結婚した後の夫婦というのが定番だった。 だが、最近、その状況に異変が起きているという。

 ある30代女性の不動産関係者は、 「同じ年代の独身男子だけでなく、独身女子でも自宅マンションを買う人が増えてきた。 ある知人は、結婚も含めた将来が不安で、年を取ったら賃貸に住めなくなるからとこぼしていた」 と話す。

 不動産コンサルティング会社のスタイルアクトが、2010年と15年の国勢調査のデータを分析し、東京都区部の単身世帯数と掛け合わせて算出したところ、独身の持ち家取得者(20~49歳)は年間8580人に上る。

 17年度の都区部での新築マンション供給数は1万6393戸。 そこに中古の成約件数1万5691戸を足し合わせると3万2084戸であることから、 「自宅マンション購入者の約27%が独身者だと考えられる」 (同社)という。

 また、持ち家を購入する年齢層を見ると、男女ともに40~44歳が2366人で、そのうち女性が1291人を占め、全体でみても最多だという。


 自宅を購入するなら早めがいい

 こうした中、同社は、社会に出たら独身のうちに家を買って資産を増やす 「家活」 を提唱している。 「40歳代で自宅を購入するならば、住宅ローンを支払う年数なども考慮して早めに買っておいた方がコストパフォーマンスはいい」 と同社担当者は話す。

 その根拠は、以下の通り。 自宅マンションを30歳で購入した時と40歳で購入した時の、90歳時点までの住宅ローンと賃貸時の家賃の支払総額を比較したモデルケースだ。

 同社によれば、仮に4500万円(返済額144万円/年、35年ローン)、管理費+修繕積立金:3万円/月(36万円/年)のマンションを買うと仮定すると、30歳時点で買えば90歳時点で総額は7200万円に(=144万×35年+36万×25年)となる。

 一方、30歳から40歳まで、賃料15万円/月(180万円/年)の賃貸住宅に住んでから40歳で購入する場合、90歳時点で総額は8640万円(=180万×10年+144万×35年+36万円×15年)となる。 その差は、実に1440万になるわけだ。 しかも、当初の10年間の賃料1800万円は、資産として残るわけではない。

 他にも、一生を賃貸物件で過ごす 「生涯賃貸派」 の場合を考えてみよう。

 生命保険文化センターおよびファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢氏などの試算をもとに60歳までに必要な貯蓄額を見ると、持ち家の場合、最低限の暮らしを送るために2290万円、旅行やレジャーなどゆとりある暮らし送るには9334万円が必要だ。

 生涯賃貸派はこれに家賃が加わるため、60~89歳で月額10万円払うとして3600万円が上乗せされる可能性がある。 また単身高齢者は、孤独死などのリスクから賃貸物件を借りる審査が厳しいという問題もある。

 こうした現実に気づいたときに自宅の購入を検討することになるが、ならば早めに買っておいて、自宅を資産にしておいた方がいいという考えだ。


 リセールバリューは駅近中古が高い

 なにしろ、定年時に単身でいる確率(生涯単身率)は今や、うなぎのぼり。国立社会保障・人口問題研究所の予測では、日本人の50歳時における生涯未婚率は、2035年時点で男性が約3割、女性が約2割に上る。

 男女合わせれば約24%で、およそ4人に1人が結婚しない計算だ。残り約7割は結婚するが、離婚もする。 厚生労働省の人口動態推計などによれば、離婚率は約35%。つまり0.7×0.35=0.245で、全国民のおよそ4人に1人が離婚する計算になる。 こうみると、定年時にはおよそ半数の人が単身世帯という可能性がある。

 こうした背景から、若い独身のうちから自宅に投資し、資産として保有する 「家活」 という考え方が生まれた。 無論、自宅を買うには、住宅ローン審査などの観点から一定の収入が必要だ。 スタイルアクトの調べでは 「年収500万円以上が購入検討ライン」 という。

 購入を検討する場合、最も重視したいのが立地だ。 最低でも駅から徒歩10分以内、 「できれば4分以内が望ましい」 (同社)。 そのため、購入すべき物件は必然的に駅近のマンションになる。

 部屋の間取りは1LDKで十分だが、50平方メートルのラインに注意したい。 壁の内側で測った登記簿ベースで50平方メートル以上の場合、住宅ローン控除が受けられ、最大400万円(年間40万円×10年間)が所得税から控除されるからだ。

 そのため 「居住面積としては54平方メートル以上が望ましい」 (同社)。 また前出の不動産関係者は、 「広すぎると価格が高くなるため、60平方メートル前後が売れ筋です。 共働きの夫婦が結婚し、子供が1人できても住める広さが理想です。 最近では、投資用の新築ワンルームマンションを独身女子が買うケースもありますが、絶対に手を出してはいけません」 と警鐘を鳴らす。

 築年数は、マンション(RC建築)の耐用年数が47年で、35年ローンを組むとすれば 「築12年以内が1つの目安(同社)だ。 新築は機能が最新というメリットはあるものの、宣伝広告費や人件費などが価格に上乗せされているため高額になりがちだ。

 一方で好立地の中古なら、リセールバリューが高めにとれる可能性がある。 「一定の価値がある物件なら、家族が増えて手狭になれば売却し、そのお金をより広いマンションの購入資金に充てられます」 (前出の不動産関係者)。 ただ中古の場合、大規模修繕計画がきちんとしているか、修繕積立金は十分かなど購入前に確認しておきたい。

 このように単純に 「家活」 をしてマンションを買うといっても、資金計画以外にもいくつか考えなければならない項目があるため注意が必要だ。 家計に占める割合で住居費の負担が最も大きい。 老後を見据えて、自宅投資により家を資産として活かす方法を考え直してみる価値は十分ある。




( 2019.07.24 )
6 "700"

 未婚女性に聞くと、6割は 「結婚相手の年収は700万円以上」 と答えるという。 なぜ女性は現実離れした高所得者を探すようになったのか。 中央大学文学部の山田昌弘教授は 「若い男性の経済格差が広がり、女性はその収入をより強く気にせざるを得なくなった」 と分析する ――。

女性の約7割が「結婚相手の収入」を重視している


結婚相手に求める年収と雇用形態
(朝日新聞2019年1月13日朝刊)
 今日の日本で、いったいどういう人が結婚しているのでしょうか。

 結婚できる男性 ―― 女性が結婚相手に選ぶ男性 ―― は 「経済データが重要である」 と言えます。 つまり、職業が安定していて収入が高い人であればあるほど結婚しやすく、職業が不安定で収入が低い人であればあるほど結婚しにくい。 これはいくつかの統計分析が示していますし、若者が結婚相手に求める条件といったアンケート調査の回答でも、女性は、近年ますます経済的な安定というものを重視しています。

 たとえば、朝日新聞が2018年12月に行ったネット調査 「未婚の若者の結婚観」 (25~34歳の男女、約1000人)では、 「結婚相手に譲れぬ条件」 として、72%の女性が 「収入」 を挙げています。 これに対して 「収入」 を条件に挙げる男性は29%でした(図表1)。

 「相手に求める年収」 という質問には、女性の63%が 「400万円以上」 と答えています。 そして 「関係ない」 と答えた女性は19%、男性は64%です。

 こうした男女の意識の差 ―― 女性は6~7割の人が収入重視、男性は2割くらいの人が収入重視 ―― は、じつは十数年前から変わっていません。


「年収700万円以上」 という現実離れしたハードル

 女性月刊誌 『JJ』 (2019年2月号)の調査 「JJ世代の結婚白書2019」 はもっと率直です。 結婚相手の男性の年収は700万円以上(1000万円以上含む)と答えた女性が60%近くいて、年収を気にしない女性は約8%にしか過ぎません。 JJ読者には夢見る女性がまだ多いということなのでしょうが、それにしても700万円以上というのは、若い男性にとってはあまりにも現実離れした高いハードルでしょう。

 もちろん、いままで女性が男性の経済データを重視しなかったわけではありません。 そうではなくて、経済データを重視せざるを得ない状況ができてしまったということです。

 30年前の被雇用者は、経済的に安定していました。 ところがいまは、経済的に不安定な若い男性が増えているので、経済データを結婚相手の条件に挙げる女性が増えてきたわけです。

 経済データほどではないにしろ、容姿と身長も男性が選別されるデータになっています。 それは、じつは子どものためなのです。 娘だったらルックスがいいほうがいいし、息子だったら身長が高いほうがいいので、自分のためというよりもやがて生まれる子どものために、男性は経済データだけでなく、外見つまりは遺伝子のデータでも選別される傾向が強くなっています。


女性は 「出産・育児ができる年齢か」 を見られる

 一方、結婚する女性のほうはどうでしょうか。 女性が選ばれるのは 「年齢」 が重要な基準となっています。 外見で言えば、いわゆる蓼食う虫も好き好きなので、どこかには自分を好きになってくれる男性がいます。

 何年か前、 長寿番組の 「新婚さんいらっしゃい!」 (朝日放送テレビ)に見るからにふくよかな女性が出てきた回を見たことがあります。 どこで知り合いましたかという質問に 「ぽっちゃり婚活」 と答えていました。 男性は中肉中背でしたが、太めの女性が昔から好きで、この集まりに参加を申し込んだそうです。

 女性の収入については、あまり気にされません。 外見も身長も関係ありません。 では、なぜ年齢か。 端的に言って、 「出産」 「育児」 です。 多くの若い男性にとって、子どもを産んで育てられる年齢ということが女性が結婚相手として選ばれる大きな条件になります。

 先に述べたように、男性は結婚の条件として相手の経済面はあまり重視していません。 まあ、最近の男性は 「女性の収入は高いほうがいい」、つまり共働きしてもらいたいという意見が多くなっていますが、最優先の条件ではありません。


男性が婚活しても 「結婚のチャンス」 は増えない

 そして、外見に対する男性の好みというのはかなり多様なので、女性にしてみれば自分を好んでくれる男性がどこかにいるわけです。 もちろん、どこかにいるけれどもどこにいるかはわからない。 それが、女性が婚活する理由でもある(いろんな男性と出会うチャンスが増えるわけですからね)。

 女性のほうが婚活に積極的ですが、その理由も、婚活すればいつかは結婚困難が解消されるという手ごたえを感じるからでしょう。 男性はそもそも経済や容姿のデータで選別されるので、婚活してもチャンスが増えることはなく、結婚が困難なことに変わりはありません。 つまり、結婚できる・できないの格差は、特に男性のほうに残るわけです。

 こうした状況については、男性の経済格差が広がったために、男性の経済格差を意識する女性というものが顕在化しているという言い方もできるでしょう。

 男性の場合、いわゆる外見によって生じる結婚の格差は、昔からありました。 ただし、昔の若い男性はほとんどが正社員でした。 つまり、男性の経済格差が小さかったので、若い女性はその収入を気にせずに、外見のほうを気にする度合いが大きかったともいえるわけです。


「愛があれば貧乏でもいい」 恋愛至上主義の消滅

 いまは若い男性の経済格差が広がってしまったので、女性はその収入をより強く気にせざるを得なくなっています。 アンケートの回答にしろ婚活ブームにしろ、それが社会に表面化しているというのが現状です。

 それにしても 『結婚の社会学』 を書いてから約20年の間に、こうした 「本音」 をオープンにしていいか・悪いかという判断基準が大きく変わったと思います。 20年前は、自治体の報告書や新聞に本音を書こうとすると 「待った」 がかかりました。 「お金なんて関係ない、結婚は愛ですべきだ」 というようなイデオロギーが残っていたのです。

 いいか悪いかはともかくとして、いまはそうしたイデオロギーに反する現実でも発表できるようになりました。 社会的にも語られるようになったし、政府の機関もそれを表明しています。 逆に言えば、結婚に関する本音がオープンに語られるようになったということは、 「愛があれば貧乏でもかまわない」 という恋愛至上主義が事実上なくなってしまったといえるのかもしれません。 二十数年こういう調査を続けていると、社会の反応が如実に変わってきたのを痛感せざるを得ません。


お金持ちを狙う女性ほど 「年収は関係ない」 と言う

 本音ということで言えば、こんな面白い現象もあります。

 婚活では、お金持ちを狙う女性ほどそういう本音は言わないし、言おうとしない。 「結婚に年収は関係ない」 と言いたがる傾向があります。 インタビューをしていたときに、ほとんどの人が 「相手が大金持ちだから結婚したんじゃない」 と話したそうです。

 「好きになった人がたまたまそうだった」 もしくは 「結婚したときはお金持ちじゃなかった」 といった回答です。 つまり、 「結婚するときは別に気にしなかったけれども、結果的に事業で彼が成功して、どんどん収入が上がっていって、たまたまセレブの地位にいるけれども」 というふうに説明するのです。 要するに 「結婚に年収は関係ない」 と言いたいのでしょうが、私に言わせれば、それは本音ではなく、建て前が残っているだけなのです。

 高収入を狙う人たちとは別に、安定した収入がないと生活できないと本気で思っている人たちもいます。 つまり、 「年収1000万円と言っているのではない。 普通でいいから600万円」 というような人たちです。


「結婚しない人がいてもいい」 考えは広がっている

 それでも、未婚男性の平均収入は時代とともに減少してきているので、結果的には結婚できた人とできない人に分裂します。 要するに婚活では、男性は収入が安定している人のほうが結婚できるし、女性はとにかくそういう人と出会って、そういう人が自分を選んでくれるというチャンスに恵まれたら結婚できるというわけです。

 ちなみに、2018年のNHKの 「日本人の意識」 調査では、結婚することについて 「必ずしも必要はない」 と答えた人の割合が68%でした。 この調査は1973年から5年ごとに行われているものですが、過去25年間で最も高い数値だそうです。

 結婚が必要ないという答えは、もちろん、自分が結婚しなくてもいいという考えを示すものではありません。 単に 「結婚しない人がいてもいい」 というだけで、逆に言えば、 「結婚するんだったら、ちゃんとした結婚をしたほうがいい」 と考えている人が多数派であることが推測できるわけです。 つまり、さまざまな調査が示しているのは 「自分は結婚したいけれども、他人はどうなろうとかまわない」 と考える若い人が増えているということなのです。


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