このところ日本の新聞・TVは、連日、国会議員の国民年金未加入・保険料の未納問題を取り上げて騒いでいる。

 今、開かれている国会での最大課題の1つが 「 年金制度の改革 」 である。 にも拘らず、本来の議題である “年金制度そのものの内容の検討” はそっち退けのまま、与野党を問わず、実に大多数の、それも現職大臣や有力といわれる議員たちが、国民の義務としての国民年金に未加入だった、ということが明るみに出てきたのだから、一般の国民はそれこそ開いた口が塞がらない。 何をかいわんや、である。

 与党の自民党を初め、日頃は “公明党がやる!” と叫んだポスターも、一皮剥けば神崎代表ら党幹部が枕を並べて義務違反者が続出するありさま。 これには 「 何ともイカンザキ 」 の冗句も飛び出す。 野党を含めて、議員の中でキチンと真面目に加入・納付している議員を数えるほうが早いのかも知れない。

 マスコミも、この制度の中身を検討するべき本論から離れて、未納議員のあぶり出しに興味を注いでいる。 肝心の年金制度の抜本的な改革の内容については、まだ良く解からないことが余りにも多い。 それもその筈、立法化しようとしている議員たち自身が、よく理解出来ていないために、未加入や未納が生じたのだ、というのだから無理もない話かも知れぬ。

 年金については当然、国民の関心は高い。 自分たちが毎月納め続けている年金の掛金に対して、将来、果たしてどれだけの給付が保障されるのか、など、切実な問題を含んでいるからだ。 そうした実質的な改革の中身、内容が知りたいのだ。

 少子化などの関係から、現状のままでは年金制度は破綻の危機に陥る虞れがある。 そこで、現在いくつかある公的年金( 国民年金の他に企業などの厚生年金、公務員の共済年金などのほか、国会議員には議員互助年金もある )の制度を見直して、将来ともに安定した社会福祉の一環としての国民年金制度を確立させようと再検討を進めるものである。

 ところがこの間、年金問題を巡って、これまで誰も指摘してこなかったいくつかの問題が提起された。 まず、これまでの膨大な掛金の一部が湯水のごとく使われていることが判明したのである。

 担当官庁である社会保険庁の事務経費を初め、役人のための豪華な官舎の建設費などに、保険の積み立て掛金が充てられていたことも発覚した。 仮に便宜上、流用が認められたかも知れないが、当然、これらは目的外の使用で、本来は厚生労働省の国家予算で賄われるべきものである。

 それだけではない。 本来給付のために貯えられている基金を使って、目的も余り明確とは思えないリゾート施設まで全国に建設しているのである。 言わずもがなのことだが、それらの施設は “役人の商法” とやらで、結果として赤字を続出している。 そして、さらにである。 それらの施設は、まだ懲りずに建設中のものもあるというから驚きだ。 誰も責任を取ろうとはしない。

 こうした資金の使途に対するチェックは、いつ、誰が、どのような制度によって実施されているのだろうか。 ここで抜本的な制度の改革を行なわなければ、まさに年金制度は内側からも崩壊を助長する。 国民一般の関心が高いのも当然と言える。

 そうした国民の声を反映して、福祉制度を立案・検討して法制化する立場の人たちを日本では、何故か 『 センセイ 』 と呼んでいる。 こうした国民の期待に反して、さらに続々と “登場” する 『 国民年金未加入・未納のセンセイ 』 に、多くの国民は怒り、あきれ返っている。 いや、彼らの言い訳を聞いて失笑しているのだ。

 南ヨーロッパ系の F 記者はいう
「 日本では、年金制度など、福祉政策に関して、スエーデンではとか、デンマークではなど、北ヨーロッパの諸制度を下敷きに、参考にしようとする動きがあるようです。 が、今回は未納問題に対しては、制度が複雑だった、うっかりしていた、勘違いだった、それに、秘書など人任せだったから、など、懸命に言い訳にもならないような、言い訳がましいことを言っている議員が殆どでした。

 それらの言い訳が、彼ら自身が義務を果たしていなかったことを正当化してくれるとでも思っているのでしょうか? 国会議員の中には、キチンと義務を果たしている人もいるのですから、不見識と言うべきで、責められて当然のことですよ。 日本の公的年金への加入制度が、任意から義務化されたのは1986年だったと聞いています。 それからおよそ20年近く経っています。

 未納だった自己の責任を棚に上げて、その上、所管官庁である社会保険庁に対して “制度の通知や説明、納付の督促を怠った” などという、いわば責任の転嫁を試みる議員もいるようです。 言語道断です。 日本の国会議員の資質を疑いたくなります。 その法律を作った筈の仲間の議員たちが、制度が複雑だったから、とか、うっかりしていたから、では済みませんよ。

 現在日本では、国民年金の4割近い未納者がいることを考え合わせますと、全体国民全員の加入を義務付けることは、それを完全実施するためには、相当の 『 意識改革 』 も必要でしょう。 もしそうならば、それらを検討、熟知していて、改善、改革することが議員自らが率先しておこなうべき仕事であり、彼らの本来の任務だと思うのです。

 今回、責任を感じて職を辞した人もいますが、所詮、現在の役職を辞しただけで、議員の資格そのものは従来通りです。 中には 『 大騒ぎをするほど大したことではない 』 という甘い考えからか、そのまま居直りを決め込む議員もいるようです。 しかし、たかが年金の未加入・未納入問題ではないのです。

 自らを律し切れない人が、他の多くの人たちに法を説き、範を垂れることなど出来るはずがない、と私は考えています。 ヨーロッパでは恐らく許されないでしょう。 形式的かもわかりませんが、この際、義務違反者は全員が反省して議員を辞職したほうが潔いのではありませんか。 改めて選ばれた議員によってこの問題に再検討が加えられるべきだと思います。 国会議員には、国民年金とは別に 『 国会議員互助年金 』 制度があると言います。

 これは10年以上在職した議員に、在職期間に応じて、年間400万円以上の支給が約束されるものだそうです。 この年金は、いわば国会議員の退職功労金のようなもので、限られた人たちのために、相当額の税金が毎年の予算に組み込まれています。 公的年金とは性格が違うものだと言われています。

 しかし、この国会議員年金と比べれば、僅かな金額の国民年金など取るに足らないと考えて、義務違反と知りつつも、議員センセイは国民年金に加入しなかった、と見るのは第三者の勝手な推測でしょうか 」