周期22から周期24へ進むにつれてピークの黒点数が減り、太陽活動が低下している。
頂点を通る直線を引くと2030年の先でのピーク消滅が読み取れる。
縦軸は黒点の数
 太陽研究者の口から、穏やかでないつぶやきが漏れた。
「このまま進むと太陽活動のピークが消えるかもしれない。 その可能性が、また少し高くなったと思います」
 ピークが消えると地球にどんな影響が及ぶのだろう。

 「歴史的には、小氷期が訪れていますね」 という答えだ。

 過去に黒点が激減したり、ほとんどゼロになった1790~1830年ごろ( ダルトン極小期 )や、1645~1715年ごろ( マウンダー極小期 )の地球は、気温が低下していたことが知られている。

     

 太陽は中心部で核融合反応が進む磁場の星。 黒点は磁力線が太陽表面を貫いている場所なので、その数には太陽の活動度が反映される。

 安定期の太陽では、黒点数が約 11年周期で増減の波を繰り返す。 その増減をグラフに描くと、谷底から山の頂上( ピーク )へと上り詰め、再び谷底へと戻る波になる。

 黒点の数は11年ごとにピークを迎えるのだが、その頂上がこの数周期にわたって、次第に低くなっているのだ。

 各周期には、18世紀の半ばから通し番号が振られ、今は周期24のピークを過ぎたところだ。 このピークでの黒点数は約75。 約25年前に当たる周期22のピークでは約160だったので、半分以下への落ち込みようだ。

 「 この変化を直線で見てみましょう 」。 研究者は周期22、23、24の頂上を結ぶ線を引いた。 右下がりの直線は、2030年を過ぎた所で、黒点数ゼロの横軸と交わった。

 《このまま進むと太陽活動のピークが消えるかもしれない》 という予感は、ここから生じたものなのだ。

 直線からは2026~27年ごろに訪れる周期25でのピーク黒点数は、25程度になると予測される。 ちなみに周期24での75という黒点数は、1906年の64に次ぐ少なさなのだ。

     

 黒点数の変化は、周期の長さにも表れている。 周期22までは谷から谷まで約11年だったのが、周期23では12.6年に延びている。

 周期の変化は、頂上と頂上の間の長さでも読める。 周期22と23の頂上間よりも、周期23と24の頂上間の方が長く、14年になっていた。

 ダルトン極小期のころの周期は13年、マウンダー極小期のころは14年になっていた。

 《ピークが消える可能性が、また少し高くなった》 という、つぶやきの根拠は、最新周期24の情報が予測に反映されていることによるものだ。

 今後、黒点数が増加に転じる可能性も残るが、趨勢すうせいとしては期待しにくいだろう。

 太陽の異変は、これだけでない。 最近、本来の南北2極に戻り始めたが、この3年間にわたって太陽の磁極は、赤道にも極を持つ4極構造になっていた。 マウンダー極小期の寒冷期にも4極構造が出現していたと推定されている。 4極構造の異変は日本が2006年に打ち上げた太陽観測衛星 「 ひので 」 によって確認された成果なのだ。

     

 月末には、2020年以降の世界各国による地球温暖化対策の取り組みを決める国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議( COP21 )が開催される。

 究極の目標は、今世紀末の気温上昇を産業革命前と比べて2度未満に抑えることだが、マウンダー級の極小期が再来すれば同等幅の気温低下が起きる。 温暖化問題が浮上した20世紀後半は太陽活動の極大期だった。

 現在ほど太陽研究の強化が必要とされている時代はない。



太陽黒点の400年間の歴史。 黒点の数をウォルフ黒点相対数( en:Wolf number )の値で集計したもの。
1790年から1820年はダルトン極小期、1645年から1715年はマウンダー極小期

太陽黒点データセンター