共産党が、「憲法9条を守ってきた唯一の政党」 とか言っていますが、これは 真っ赤な嘘 です。

 実際に戦後すぐ、憲法制定時に、当時共産党の議員全員が反対しています。
 日本共産党の公式の党史 『日本共産党の八十年 1922~2002』 にも次のように書かれています。
 党は、憲法草案の採択にあたり、反対の態度を表明しました。 大きな理由は、二つありました。 一つは、天皇条項が主権在民と矛盾したものであり、戦後の日本では、天皇制の廃止と徹底した民主主義の政治体制への前進がもとめられていたからです。 二つ目に、党は、憲法九条のもとでも、急迫不正の侵害から国をまもる権利をもつことを明記するよう提起しました。 しかし、吉田首相は九条のもとで自衛権はないとの立場をとり、党は、これを日本の主権と独立を危うくするものと批判して、草案の採択に反対したのでした。 ( 81~82ページ )
 これは、当時のアメリカからの独立という反米路線を基軸にした、共産党の意見をまさに反映しています。

 今は安保法案を阻止するため、「連合政府を」 と言っているみたいですが、ますます自分たちの過去の綱領と違うことを主張していくのではないでしょうか。

 ただ、自分たちの勢力を伸ばしたいという党利党略の姿勢に見えて仕方ありません。
 共産党には、ただ政権に反対するだけでなく、本当の目的をはっきりと表明してもらいたいところです。



( 2016.06.08 )



 いま日本共産党は、「護憲」 を大看板にしている。
 だが憲法制定時、日本共産党は天皇条項と9条に明確に反対し、政党としては唯一現憲法の制定に反対していたのである。
 その政党が 「憲法9条は世界の宝」 というプラカードを掲げているのを見るとあきれ果てるしかない。
 1946年8月24日、衆議院本会議で反対討論に立った野坂参三は、次のように述べて憲法9条に反対している。
 現在の日本にとってこれ( 草案第9条 )は一個の空文にすぎない。 われわれは、このような平和主義の空文を弄する代わりに、今日の日本にとって相応しい、また実質的な態度をとるべきであると考えるのであります。 要するに当憲法第二章は、我が国の自衛権を放棄して民族の独立を危うくする危険がある。 それゆえに 我が党は民族独立の為にこの憲法に反対しなければならない
 続いて日本社会党も、然るべき時に憲法改正を条件に挙げていた。
 誠に正論である。 当時、吉田茂首相が自衛権すら否定する答弁をしていたこともあったが、平和主義を空文とまで批判しているのである。



【書評】 元共産党政策委員長・筆坂秀世が読む 『いちばんよくわかる! 憲法第9条』 西修著



 共産党など、護憲を叫ぶ人々は、「憲法第9条は世界の宝」 と言う。
 では問いたい。
 現憲法が制定される際、この第9条に唯一反対を貫いた政党はどこか。
 共産党である。
 当時、共産党は第9条を 「一個の空文」 であると批判し、「民族独立のため反対しなければならない」 と啖呵たんかを切っていた。
 反対の最大の理由は、自衛戦争まで吉田茂首相(当時)が否定していたからである。
 実に的確な批判だった。
 本書が指摘するように、共産党は 「自衛戦争と積極的平和主義を肯定していた」 のである。

 それがいまや護憲派なのである。
 共産党は護憲派への大転換を 「吉田首相が、当初、自衛権まで否定していたが、その後、自衛権があることを認めた」 からだと釈明している。
 大嘘である。
 1985年版 『日本共産党の政策』 には 「憲法上の措置( 第9条の改正 )がとられた場合には、核兵器の保有は認めず、徴兵制は取らず志願制」 とすると明記している。
 94年7月の第20回党大会までは、第9条の改正を公然と掲げていたのだ。

 憲法を字面じづらだけで解釈してはならない、とは本書が強調するところだ。
 護憲派の人々は、ほとんどこの字面解釈なのだ。
 だから自衛隊を 「憲法違反の軍隊」 というのである。
 私が “護憲派の憲法知らず” と批判する所以ゆえんである。

 現憲法の骨格となったマッカーサーが示した原則では、当初、「自己の安全を保持するための戦争」 も放棄することが明記されることになっていた。
 だがこれでは、どの国家にもある 「自己保存の権利」 も奪うことになるため採用されなかった。
 自衛軍は持てるということだ。
 護憲派は、自衛隊は憲法違反だと言い、日米安保にも反対だと言う。
 要するに “丸腰日本” というのが彼らの主張である。
 その無責任さは、実は護憲派も分かっている。
 だから即時自衛隊解体、安保廃棄とは叫べないのである。
 こんな無責任を放置しないためにも第9条をすっきり改正することが重要なのである。
 どうやって国を守るのか、その回答を持たない護憲派の最大の泣きどころこそ第9条なのである。
( 海竜社・1500円+税 )



( 2016.06.27 )

  
    


 「自衛隊を解消した上で日本をどうやって守るのか」 という疑問への答えは結局、現在の日本共産党綱領や党幹部の発言から見つけることはできない。 そこでヒントになりそうなのが1994年7月の第20回党大会で採択された決議だ。

 決議では、憲法9条について 《平和理念の具体化として、国際的にも先駆的な意義をもっている》 と当然のように評価する一方で、現行憲法制定時の日本共産党が 「日本人民共和国憲法草案」 とする 「対案」 までつくり、唯一憲法9条に反対したことには一切触れていない。 相変わらずのご都合主義だが、この決議には、実は重要な文言が含まれている。
 わが国が独立・中立の道をすすみだしたさいの日本の安全保障は、中立日本の主権の侵害を許さない政府の確固とした姿勢と、それをささえる国民的団結を基礎に、急迫不正の主権侵害にたいしては、警察力や自主的自警組織など憲法9条と矛盾しない自衛措置をとることが基本である。
 つまり、 「自主的自警組織」 の設置に明確に触れているのである。 これがなぜ、 「憲法9条と矛盾しない」 かの答えは書いていない。

 さらに、97年9月の第21回党大会での決議では、 「国民の合意の成熟」 による将来的な自衛隊解消を目指す方針を示す一方で、次のようにも述べている。
 独立・中立を宣言し、諸外国とほんとうの友好関係をむすび、国民的団結によって主権を確保している日本には、どの国からであれ侵略の口実とされる問題はない。 わが国が恒常的戦力によらないで安全保障をはかることが可能な時代に、私たちは生きているのである
 この2つの決議から導かれる結論は、自衛隊という 「恒常的な戦力」 は保持しないものの、日本に対する急迫不正の主権侵害があった場合には、自衛のための 「自警団」 のような 「国民の蜂起」 と警察力で対応するということらしい。 まるで米軍爆撃機に対し 「竹やり」 で対抗することを国民に求めたような発想だ。

 しかも、 「中立日本」 と言っているのだから、この時点で当然、日米安保条約は廃棄されており、米軍による日本の防衛もあり得ない。 日本は完全に無防備なまま、 「臨時的」 に結成される自警団と警察だけで安全保障を考えなければならないのだ。

 さらに、共産党の記録をさかのぼると、73年11月の第12回党大会で決定した 「民主連合政府綱領についての日本共産党の提案」 でも 《急迫不正の侵略にたいして、国民の自発的抵抗はもちろん、政府が国民を結集し、あるいは警察力を動員するなどして、侵略をうちやぶることも、自衛権の発動として当然》 と述べている。

 当時は、 《独立した国家が一定の期間軍隊をもたず国の安全保障を確保しようとするのは、たしかに一つの矛盾》 とも認めており、 《わが党は、将来は、独立・中立の日本をまもるための最小限の自衛措置をとるべきことをあきらかにしています》 とも明確に書いている。

 要するに、現在の自衛隊は認められないが、別の新たな自衛のための組織、すなわち共産党が政権を取ったときには、新たに 「自衛軍」 のような組織をつくることを否定していないのである。

 すでに自衛隊が存在しているにもかかわらず、これを廃止して新たな防衛組織をつくる。 そんなことは現実的な安全保障の観点からも、理屈の上でも通らないが、本音では、共産党としても 「軍が必要ない」 などとは決して思っていないのだ。

 共産党が1968年1月7日に決定した 「日米軍事同盟打破、沖縄の祖国復帰の実現 - 独立、平和、中立の国をめざして( 日本共産党の安全保障政策 )」 を紹介した翌8日付の赤旗の記事を読むと、共産党の本音とご都合主義ぶりがさらによく分かる。

 まず自衛隊について 《アジア侵略の従属軍隊であるとともに、軍国主義復活の先頭にたっている人民弾圧の軍隊であり、憲法九条をじゅうりんしてつくられた非合法の軍隊である》 と定義している。

 「人民弾圧の軍隊」 とは実におどろおどろしい。 半世紀近く前の政策とはいえ、ここまで侮蔑している自衛隊を現在の共産党は当面認めるというのだから不思議だ。

 ところが、この後から不思議な展開になる。 共産党として 《日本民族が、自国を外国の侵略からまもる固有の自衛権をもっていることを否認したことは一度もない》 とした上で、 《日本が安保条約を破棄したからといって、自民党が宣伝しているようにソ連や中国など社会主義の国家が日本に侵略をしかけてくるような心配はまったくない》 と明言。 米ソ冷戦のまっただ中の時代に、 《心配はまったくない》 と言い切った後、さらに驚くべき論理が展開される。
 帝国主義がなお存続する以上、独立して、平和、中立の政策をとる日本が、アメリカを先頭とする帝国主義陣営から侵略を受ける危険は、依然としてのこっている。この点からいっても、独立した日本が、自衛の問題を無視するわけにはいかないことは明白である
 何の根拠も示さないまま、日本を侵略する可能性があるのは、ソ連( ロシア )でも中国でもなく、米国などの西側諸国だというのだ。 さらに、 《かちとった政治的独立をまもるために、必要適切な自衛の措置をとる完全な権利をもっていることは、いうまでもない》 と明確に述べている。 つまり、 「日米安保に基づく米軍と自衛隊はいらない」 が、 「西側諸国と戦うための自衛組織は必要」 と堂々と述べているのである。

 憲法改正についても同様だ。 「自衛措置は必要」 としながらも、 《現在の憲法のもとで国が軍隊をもつことは正しくない》 と護憲の素振りを見せつつ、 《完全に独立し、新しい民主的発展の道にふみだした日本が、どのような内外情勢の変化があっても、いつまでも現行憲法のままでよいということを意味するものではない》 と明確に改憲を訴えている。 ではどこを変えるのか。

 《たとえば、現行憲法には平和的、民主的条項のほかに、天皇制をのこして主権在民をあいまいにした反動的条項もある》 としており、第1章の 「天皇」 は削りたいようだ。 さらに次のような核心に踏み込む。
 将来、日本が、独立、民主、平和、中立の道をすすみ、さらに社会主義日本に前進する過程で、日本人民の意思にもとづいて、真に民主的な、独立国家日本にふさわしい憲法を制定するために前進してゆくことは、歴史の発展からいっても当然のことである。 そして、そのとき日本人民は、必要な自衛措置をとる問題についても国民の総意にもとづいて、新しい内外情勢に即した憲法上のあつかいをきめることになるであろう
 驚くべきことに、 「独立国家日本にふさわしい憲法を制定するのは当然だ」 と言い切っているのだ。

 共産党の究極の目標は、現在の綱領にも明記しているように 「社会主義・共産主義の社会」 をつくることにある。 「天皇」 の条項があり、私有財産権も保障している現行憲法で、共産党が理想とするような新国家がつくれるはずはない。

 


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