( 2015.03.18 )


証してみた!



  

《飲食業》

<居酒屋> お酒も入り横柄になりがちな居酒屋の客。 店員側からすればどんなクレームは 「 店側にも非がある 」 と納得できるものなのか、はたまたどんなクレームが 「 理不尽すぎて許せない 」 ものなのか?

「 『 料理がマズいから謝れ! 』 と恫喝された 」 ( 37歳・男 )というのは、 「 実際にそのセリフを口にするかどうかは別にして、( 本当に料理がマズかったのなら )言いたくなる人の気持ちはわからなくもない 」 と納得して受け止めるあたりはプロの料理人ならでは。

しかし、 「 ご案内の順番をお客さまが勘違いされて激怒。 土下座までさせられた 」 ( 37歳・男 )、 「 烏龍茶を客の足に少しこぼしてしまったとき、 『 出るとこ出るぞ 』 とすごい剣幕で言われた! それほどのことか? と 」 ( 28歳・男 )と、酒の入った客の、店員のケアレスミスに対する間尺に合わない暴発は 「 許せない 」 となるようだ。

さらに、 「 酔っぱらい客がなんと、フロアに盛大にリバース。 そのとき、その酔っぱらいが口にしたひと言が、 『 この店、トイレまで遠すぎるんだよ! 』 ですよ 」 ( 31歳・男 )はもう、許せないというより、笑うしかない。

<カフェ> 「 隣のテーブルにコートの裾をひっかけて、他人のコーヒーを倒したお客さまが宣ったのが 『 店内が狭すぎるのよ! 』 」。 本人の不注意も否めないが、 「 確かに隣のテーブルとの距離が20cmくらいしかないのは、雰囲気より儲け主義のオーナーにも非があるけれど、その客の体形もかなりぽっちゃりで …… 」 ( 31歳・女 )と、微妙な納得ライン。

「 『 店内禁煙とか勘弁して。 彼氏の機嫌が悪くなっちゃったじゃない! 』 という若い女、完全に八つ当たり! 」 ( 27歳・女 )など、総じて都合の悪いことは全部妖怪、もとい店のせいにされると、さすがに店員側の許容範囲を超えるのだ。



  

《販売業》

<コンビニ> 老若男女を相手にするコンビニ。

「 研修中の店員がレジをやっていると 『 早く! 』 と言われたりします。 コンビニはスピードがウリみたいなところはあるから納得せざるを得ない 」 ( 31歳・男 )

とまあ、クレームの数や種類もさまざまなためか、コンビニ店員には諦念のようなものが漂う。

「 レジのモニターの年齢確認のお願いに対して、 『 オレが10代に見えるか! 』 と怒られることしばしば。 気持ちはわかりますが、バーコードを読み取ると勝手に表示されるように設定されているので、僕に怒られても …… 」 ( 30歳・男 )

許せる許せない以前に 「 そう言われても 」 というような案件が販売系はどうも多いようで ……。

<携帯電話会社> 「 説明書が 『 ぶ厚くて読む気にならない 』 『 わかりにくい 』 というのは、ぶっちゃけ同感 」 ( 36歳・男 )できるが、 「 『 使い方がややこしい 』 『 充電がすぐなくなる 』 『 価格が高い 』 と言われても …… 」( 同 )、 「 子供が壊した携帯を 『 壊れやすい携帯だ! カネ返せ 』 と言われた 」 ( 34歳・女 )など、為す術のない苦情に悩まされる。

<書店> 穏やかな空気が流れる書店も、聞けば苦情の嵐。

「 そもそも立ち読みしてる客が 『 立ち読みの客がムカツク 』 と抗議 」 ( 48歳・男 )されても、困っているのはお店のほうでして。

一方、 「 子供連れの母親に 『 コロコロコミック 』 のそばに露出の多いグラビア雑誌を置くな 」 と言われたときは 『 それもそうか 』 と思った 」 ( 42歳・男 )、 「 文庫の棚を出版社で分けるのは本屋の都合だろうと言われた 」 ( 48歳・男 )のは思わず納得したそうな。 書店の棚も店の個性なんだけどね ……。

<スーパー> ただ、並ぶ商品に文句をつけるのも次のようなケースは論外。

「 無農薬野菜を買った客が 『 虫がついてたわよ! 』 『 ドロが多くて洗うのがめんどう! 』 と文句たらたら。 農薬まみれの野菜食ってろ! と心で毒づいた 」 ( 29歳・女 )

「 閉店間際、缶ビールと空揚げと弁当を買った男性が翌朝、弁当を返品に来た。 理由は 『 缶ビール飲んで空揚げ食べたら腹いっぱいで、弁当はいらん 』 だと 」 ( 38歳・女 )

許せないけど、店員は笑顔の下で言葉を呑み込むしかないとは理不尽なり ……。

<アパレル> また、返品問題でショップ店員が憤懣やるかたないのがアパレル。

「 家で着たら印象違ったからくらいは許せるけど、 『 プレゼントでもらったんだけど、使わないから、現金に換えてほしい 』 とゴリ押し 」 ( 38歳・女 )や 「 飽きた と返品してくるご婦人 」 ( 28歳・女 )は、やはり許しがたい存在。 こんな話に 「 やはり女は厚顔で …… 」 なんて言ったら、これまたクレーム案件になるわけだ。



  

《サービス業》

<トリマー> 「 “毛玉取り” は 『 犬がかわいそう 』 と言われた 」 ( 27歳・女 )というクレームは理不尽に感じるかと思いきや、 「 普段当たり前に思っていることも人によって感じ方が違う、と考えさせられた 」 と許すトリマーだが、 「 飼い主さんから 『 短く 』 と言われたので、店では一般的な1cm残しの長さでカットしたら 『 短すぎる! 』 と怒られた 」 ( 27歳・女 )となると、最初から具体的な長さを言えとキレたくもなるようだ。

<冠婚葬祭> 店員が告白した [ 許せる / 許せない ] クレームの境界線 あるいは、結婚式場での 「 写真がブスに写っていて気に入らない! 」 というクレーム。

「 『 いや、見たままですよ 』 とも言えず、かなり修整をしたら満足いただけましたが、もはや別人 …… 」 ( 42歳・男 )と、周囲には理不尽だろうが、このへんは慣れたもの。 納得ずくで修整可能。

逆に 「 最近はキラキラネームのカップルや参列者が多く、司会者の名前の呼び間違いに関するクレームが多い 」 ( 40歳・女 )ことに関しては、 「 確認しておくべきだった 」 と言いつつも 「 内心では、文句を言うのならご両親に、と言いたい 」 と怒りも収まらなかった様子。

一方、葬儀の場では 「 精進落としの料理が冷めていておいしくない! 」 という場所にそぐわぬ苦情。 「 こちらは予定の時間通りに出しているのに、挨拶が長すぎて冷めてしまったんです 」 と 「 許せない 」 に一票。 その半面、 「 故人の生前のVTRをBGM付きで流す演出に、参列者から 『 いかにも泣いてという感じがあざとい! 』 と苦情。 確かに我ら 『 泣かせてナンボ 』 ですから! 」 ( 38歳・男 )と、図星のクレームは認めざるを得ないのである。

<公務員> 「 水道管の工事に立ち会った際、現場近くのおばちゃんが 『 この市はなんでこんなに水道代が高いん? こんなんやったら家の前の川に水汲みに行ったほうがええわ 』 とまくしたてられた 」 ( 42歳・男 )件では、 「 じゃあ解約して水汲みしてくれや! 」 と怒り心頭。

「 市民課の同期は 『 仕事中にネットしてるでしょ! 』 と、女性から湯飲み茶碗を投げつけられた。 窓口の端末にたまたま天気予報の画面が出ていたようで …… 」 ( 39歳・女 )とはさすがに許せないかと思いきや、 「 公務員 = 税金ドロボーという先入観で文句を言われるのは悲しい 」 と怒りを通り越して悲しみに打ちひしがれる人も。

「 公僕 」 なれど、下僕にあらずという心の叫びが聞こえてくる!?



<風俗業> 風俗嬢も驚いた、変態客の斜め上行くクレーム。 ご対面してからの “ハズレ” が付き物な風俗遊びでは、店側も理不尽だろうが納得できるものだろうがクレーム対応は慣れたもの。

「 『 写真と全然違う! 』 は、カメラマンの撮り方がうまかったと返します 」 ( 33歳・男 )、 「 『 性病うつされた! 』 には、本当にウチの店という証明はないのですよね? で客は黙る 」 ( 42歳・男 )など、言い逃れは簡単なようだ。 むしろ、理不尽というより変態客の理解不能なクレームに困惑するんだとか。

「 飲尿プレイを頼んだお客さまから、 『 飲んでから半日たち、酷く気分が悪いんだが 』 と言われましても …… 」 ( 35歳・男 )、 「 マゾプレイを望んだ客から、 『 キミんところの女王様があまりにも俺の肛門攻めるから、痔になったじゃないか! 』 って怒られました( 笑 ) 」 ( 33歳・男)。

そしてこういう変態クレームは女のコが受けることも少なくない。

「 体臭がバラの香りになる薬飲んだら、 『 オマエの股間は臭くない、興奮せん! 』 と 」 ( 22歳・女 )、 「 プレイ開始して男性器に触れただけで射精してしまい、 『 この野郎、俺は2回戦はできないんだぞ! 』 って、それはアナタが早漏すぎるだけでしょ …… 」 ( 28歳・女 )。

変態クレームも入店禁止にすればいいだけだが、店側が真剣に頭を悩ませるのが提携ラブホからのクレーム。

「 頻繁に “潮吹き” する人気の女のコがいたんですがホテルから 『 ベッドを毎回乾かすのが大変。 その娘をまだ雇うなら提携解消します 』 と通告され、犬のトイレシートをプレイ中に敷いてもらう案を出し和解しました( 苦笑 ) 」 ( 35歳・男 )



  

《病院》

<女性看護師
/ 男性医師>
「 『 貸し出しの車椅子が少ない! 』 と言われて増やせば、 『 車椅子が多すぎて出入り口の邪魔 』 というクレーム 」 ( 38歳・女・看護師 )は、痛し痒し、にも思えるが、 「 貸し出し状況を見ながら入れたり出したりすれば解決すること 」 と、細やかな対処はさすが病院。

「 『 他の患者より診察時間が短い 』 『 自分にだけ態度が雑だ 』 といった理不尽な苦情は多い 」 というが、そこは 「 自分は信念を持ってどの患者さんにも公平に真摯に向き合っていると断言できる。 病院なのだし、文句を言う患者さんの体調が悪く気持ちが弱っているせい、と自分のなかで納得することにしている 」 ( 26歳・男・医師 )とはドラマのセリフのようなカッコよさ。

「 『 待ち時間が長い! 』 とは、よく言われますが、そんなときは 『 ウチの先生はじっくり丁寧に診察する主義なんです~ 』 と切り返す 」 ( 32歳・女・看護師 )など、時に生死とも向き合う場では、瑣末なことに構っている暇はないが、患者のわがままにも真摯に対応。 患者も甘えすぎないようにしたい。

ただ、 「 外来の患者さんが待合室に溢れている時間帯に、アポなしで弁護士まで連れてきて、 『 診断書を重症に書き直せ 』 と長々と迫られても嘘は書けない 」 ( 28歳・男・医師 )とルール違反については当然許せんとの声が。

さらに、 「 『 主人の担当に若い看護師はダメ! 』 と言う奥さん 」 ( 29歳・女・看護師 )と、バカバカしすぎるクレームにはさすがにキレざるを得ないようだ。



    

《土木建設業》

 「 山奥の送電線建設では、数メートルの差で地面が売れなかった地主のひがみがスゴい。 現場に来ては 『 クレーンで吊った資材がワシんちの地面の上を通ったからカネ払え 』 と何時間もゴネる 」 ( 42歳・男・電気 )、 「 雪降る夜、高速道路の出口で料金を払わない人がいた。 曰く、 『 道路にできた轍の幅がワシの車と合わへんから払わん 』 」 ( 42歳・男・道路整備 )とか、思いもよらない言い分が飛び出すことも。

《海外事業》

 「 海外単身赴任中の社員のお子さんに 『 会社がおとうさんを外国に行かせたから、おかあさんが寂しくて浮気をしている。 家族がバラバラになったら責任を取ってくれるんですか!?』 と泣かれたことがある 」 ( 42歳・男・商社 )、あるいは、 「 某企業の海外工場を請け負ったとき、その地域の治安が悪くなり、 『 何でそんな場所を選んだ? 』 と嫌み 」 ( 32歳・男・建設 )など。

《IT系》

 また、 「 『 連絡はメールではなくフェイスブックでDMを送ってください。 DMはすべて見てますから 』 と言うクライアント。 その通りにしたが返事がない。 すると、 『 友達申請してくれないと読まないんで 』 だって 」 ( 43歳・男 )。 クレームにも業界らしさが滲むようで。

《CM制作》

 「 撮影現場で女性タレントが、 『 私、歌舞伎揚げが食べたかった 』 と言い、ドン・キホーテまで買いにダッシュ 」 ( 27歳・男 )なんて、ギョーカイ感満載だ。

《化粧品メーカー》

 「 『 イメージキャラクターのタレントが気に入らない、代えろ! 』 と言われることがあります。 が、“おとなの事情” なのでどうしようもありません 」 ( 35歳・女 )
 そう。 皆、おとなの事情と折り合いつつ仕事をしている。 お互いさまだと思えば、理不尽なクレームもなくなるはず、なのだけど。 …… だが、夫婦関係や国の治安や雪の轍は、残念だがどうにもできない。



  


インターネットニュースに寄せられる [ 許せる / 許せない ] コメント

 ネットニュース編集者がクレームを受けた誤字。 万人に無料で読まれるがゆえ、クレームの数もその分多いというのがネットニュース。 そこで、ネットニュース編集者たちに、ありがちなクレーム話を聞いてみた。

 「 まず、ネットニュースで多いクレームは、誤字脱字の指摘ですね。 雑誌や書籍のような校正者を入れていないので、誤字脱字が多いんです。 先日も 『 香辛料たっぷりのハンバーグ 』 という文章を、 『 更新料たっぷりの 』 と記載して 『 それ、どんな料理だ! 』 とツッコミが入りました 」 ( 28歳・男 )、 「 直接取材して原稿を書くよりは、ネット上から情報を拾って書くケースも多い。 以前、法律についての記事を書いたら、プロの弁護士から 『 そんな適当な情報を載せるな! 』 と怒られました。 反省の一言です 」 ( 31歳・女 )などは、送り手側も真摯に受け止める。

 また、一番クレーム対象になりやすいのがニュースの見出し部分。

 「 見出しはその記事を読者が読むか、読まないかを選択させる要の部分なだけに、過激なものが多い。 『 女性が好きな夜のおかずは○○○ 』 などの伏せ字系や、 『 あの大物アイドルがAVデビュー? 』 など実名をぼかした見出しには、 『 大した内容じゃないのに、気にさせるような書き方はやめろ! 』 というクレームが。 まぁ、クリックしてほしいからこそなんですが 」 ( 36歳・男 )などは、確信犯ゆえクレームも勘定のうち。

 しかし、なかには 「 『 人喰いワニが大暴れ 』 とか 『 数年間少女監禁男逮捕 』 みたいな海外のニュースを配信したら、 『 日本の事件だと思ったら大恥をかいた! 国内外どっちで起こったものなのかちゃんと見出しで明記してくれ 』 」 といった苦情は本文を読めばわかるんですけどね …… 」 ( 28歳・男 )といったクレームには不満だという。

 釣り見出しが原因なのか、早合点する読者が問題なのか ……。



  

アタマにきた! と思ったものの …… 己のクレームに玉砕言行録

 正々堂々、己の権利を主張したはいいが、振り上げた拳の行き先に困ったという話も。

 「 ホテルでネットがつながらず、怒ったら副支配人がお詫びに来た。 ところが、よく見るとそもそも自分のケーブルが違う。 気づいたものの引くに引けず、 『 もうけっこうですから 』 とお引き取り願った 」 ( 38歳・女 )、 「 革小物ブランドの 『 4点入り2万円 』 福袋を購入。 ホクホクして開けると、革小物3点はよかったものの1点が超しょぼい布バッグ。 『 チェーンのB店では革小物3点福袋が1.5万円! このしょぼい布バッグで5000円上乗せとはヒドイ! 』 と抗議すると、 『 メーカーから仕入れた商品をいくらで売るかは小売店の自由 』 とキッパリ。 実はそのB店は全く違うチェーン。 福袋にいちゃもんをつけ福を逃した気分 」 ( 40歳・女 )など、勘違いによる苦情は恥ずかしい。

 さらに、 「 無職のとき、ハローワークがいつも混んでいて長時間待たされるので、 『 そんなに職員の数が足りないなら、よその仕事紹介する前に職員募集したら? 応募するで 』 と言ったら、 『 国家公務員試験をお受けください 』 って若いお姉さんが冷たくひとこと 」 ( 44歳・男 )。 正論で釘を刺されたら、もはやグウの音も出ない。

 しかし、たとえ玉砕しても希望を捨てるのは尚早だ。

 「 夜通し吠えまくる隣の犬に寝不足でガマンの限界。 警察に通報し犬の遠吠えを聞かせたところ、警官が眠そうな声で 『 犬を黙らせに出動しろ、と言うんですか? 』 と。 『 近所迷惑はやったもん勝ちですか、この国は? 』 と応戦したがのらりくらりかわされ退散。 眠れない日々は続いたが、 『 犬とババアいなくなれ! 』 と念じ続けた1ヵ月後、犬は突然死 」 ( 39歳・女 )

 クレームよりも呪いが効いた!?



  

 日々、客のさまざまな苦情や要求に神経をすりへらす現場の人々。客商売では避けて通れない 「 クレーム 」 とうまく付き合うには?

 「 『 クレーム 』 と一口に言っても、 “正しい苦情” と “いちゃもん” は全く別物です。 ほとんどの場合、お客さまが苦情を言ってくるのは本当に困っているから。 その中には2割ほど “勘違い” もありますが、あとの8割は正しい苦情です 」

 そのわりには 「 また、いちゃもんか 」 と感じるケースも多い。

 「 そう捉えてしまうのは、対応能力が低いからでは? 大切なのは、お客さまの話から原因と事実を的確に理解すること。 豊富な知識や経験が必須です。 受け手が不勉強で保身に走るなら、お客さまの心理を察することは難しいでしょう 」

 確かに、自分が客側で文句を言ったとき、相手にわかってもらえずイラッとさせられることも。

 「 実際問題、悪質なクレーマーなんてごく一握り。 多くの場合、受ける側の対応の悪さがお客さまをクレーマーにしてしまう。 『 おっしゃるとおりです 』 と受けるべきを、苦情を避けようと突っぱね、相手をどんどん怒らす。 わかってくれないから、お客さまは大声を出し、エスカレートするんです 」

 では、苦情を受けたときの正しい対応法とは?

 「 まずは低姿勢で謝り、とにかく丁寧に対応すること。 お客さまの言い分をじっくり聞いたうえで、もし間違った指摘があれば正しい説明に入ります。 一方、無理な要求には応じず、毅然とした態度で臨むことも大切ですね 」

 対応する人の能力次第では、収まるものも収まらなくなることも。

 「 うまくまとめたつもりで、実は失敗しているケースは多い。 つまり、お許しをいただいたのではなく、呆れて二度と来店しないという最悪の結果。 そもそも苦情対応はお客さまを離さないためのもの。 誠意ある対応は顧客とより良い関係を築くきっかけにもなります。 少子高齢化で人口が減り、全企業が縮小していく時代、今いるお客さまを絶対に離しちゃいけません 」

 苦情対応で百戦錬磨のプロの、徹底的なお客さま目線に学ぶべし。









  

 すき家やワタミなど、 “ブラック企業” の烙印を押された飲食チェーンは従業員不足に泣いている。 その原因は多々あれど、ド底辺クレーマーに辟易して辞めていく店員もいた!



 多くのサービス業が危機的人材不足だと報じられるなか、当の従業員たちに意見を聞くと、意外な答えが返ってきた。 会社への不満以前に、客のクレームが理不尽すぎてやってられないと言うのだ。 そんな悲鳴を上げるのは、デフレ経済下で成長してきた飲食・小売りチェーンの従業員たちばかりだ。

 企業へのクレーム処理に詳しい関根眞一氏は言う。

 「 モノやサービスが安く手に入る環境が当たり前になると、 『 安いからこんなもんか 』 が通用しなくなり、顧客は不満を持つようになる。 私は 『 ロー( LOW )クレーマー 』 と名づけましたが、こうした現象がいつか出現すると以前から予想していました 」

 実際、現役の従業員から漏れ出る客からのクレームは、想像を絶する理不尽さ。 まず飲食業から。

 「 とにかくすき家の客は 『 待てない 』。 入店後の対応や会計が30秒遅れただけでも怒鳴られ、店員呼び出しベルを連打する。 何度も呼び出して 『 あと何分何秒で出る? 』 とか、もはや嫌がらせですよ。 ベル連打がなければもう少し早く提供できるのに …… というのは 『 すき家クルーあるある 』 ですよ 」 ( すき家店員♂・34歳 )

 「 朝からビールを飲んでいた中年男性は 『 冷えてなかったから無料にしろ 』 って言うし、 『 このメニュー、この間までキャンペーンで安かったから同じ値段にしろ 』 とか。 ドリンクバーだけ頼んで弁当食ってる人もいるし、毎回、滅入ります 」 ( ガスト店員♀・24歳 )

 一方、小売業も凄まじい。

 「 『 消費税込みで100円じゃないのは詐欺だ 』 って食ってかかる客は増税前からいる。 『 他の店で88円で売ってる商品を100円で売るな! 』 とか、ウチは100円ショップだよ! 私らレジはいいけど、対応する社員スタッフはどんどん退職していく 」 ( 100円ショップ店員♀・40歳 )

 「 ヤンキー彼氏と来店して気が大きくなった姉ちゃんは特にタチが悪い。 ウチで買ったブランド品を持ってきて 『 質屋で買い取り不可って言われた。 偽モノでしょ! 』 ってキレたり、買った香水の匂いがサンプルと違うとか、ドッグフードを犬が食わないとか、もう、私の知ったことじゃない! 」 ( ドン・キホーテ店員♀・28歳 )

 「 買った食品を店内で食べながら立ち読みするおばさんを注意したら、店員教育がなってないとSV( スーパーバイザー )に猛クレーム! 宅配便を出す客が 『 家で測ったときよりサイズが大きい。 ここのメジャー、狂ってるでしょ 』 とクレームをつけられたことも。 送料をそこまでケチりたいのか …… 」 ( コンビニ店員♂・38歳 )

 前出の関根氏は 「 クレームの背景には社会や生活の中に溜まった不満がある。 彼らは現在の日本社会の映し鏡かもしれません 」 とは言うものの、果たしてこれに 「 耐えるのも仕事 」 と言えるのか?



  


 ド底辺クレーマーの被害は、飲食・小売りだけにとどまらない。 他業種で働く人々の悲痛な叫びにも耳を傾けよう。 まず、証言するのは関東某県の中古車販売店経営者( 47歳 )だ。

 「 10万kmを超えた中古車を5万円で買って、壊れるたびに 『 故障車売りやがって! 』 って怒鳴り込む。 『 無償で直せ 』 ならまだマシで、修理のために車体預かったら、今度は出した代車が返ってこない。 電話しても出ない。 これ、単なる泥棒でしょ! 」

 お次は宅配便のドライバー。

 「 不在通知表で携帯番号を客に知られてるのが致命的。 悪質な届け先は、通販などで取り寄せた商品が気に食わないと、わざと箱や商品を壊して、ドライバーに 『 今すぐ来い 』 と、謝罪と弁償を要求する。 ネット上でウチがバッシングされてるのが原因なんでしょうが、殆ど弱いものいじめです 」 ( 佐川急便のドライバー♂・35歳 )




 だが本当に恐ろしいのは、店員が 「 身の危険 」 を感じるようなクレーマーだ。

 「 パチンコ店のクレーマー客は、とにかく怖い。 殺気立ってます。 一番多いのは 『 玉が出ないのはコンピュータに細工してるからだろ! 』。 あと 『 大当たりしたのに出玉が少ない 』。 とにかく店側に不正があると。 最悪なのはそういう客に限って毎日、来るんです。 報復行為で店の車のタイヤを切り裂かれたこともあるし、最初にクレームを受けるホールの人間は、帰宅するのもドキドキします 」 ( パチンコ店員♂・28歳 )

 意外にも、警備業も危険が多いという。

 「 イベント警備や会場整理では、基本的に客は警備を “敵” として認識する。 開場と同時に走る客へ注意するときでも体重100kg超える女の肘鉄は、本気で肋骨が折れますよ。 また、会場で 『 スタッフがみんなで痴漢した 』 『 警備員に強姦された 』 とか、被害妄想の人も少なくない。 クレーム客を事務所に連れていくときも、相手が刃物を持ってるんじゃないかと常にビクビクしています 」 ( 警備員♂・39歳 )

 最後はネットカフェ。 こちらも変わったクレーマーの宝庫だ。

 「 ハイスペックなPCを求めるネットゲームオタクのクレームが多いです。 『 回線が遅い、ショボいグラボ積んでんじゃねえ! 』 とか、 『 30分100円で入ったのにパソコンの起動が遅いので、起動時間を入店時間にしろ 』 といった設備面のクレームです。 一方、いわゆる住人( 宿泊施設として使っている人々 )のクレームは命懸け。 『 隣のイビキがうるさい。 眠れないなら料金払わない 』 など環境に関するクレームや 『 靴が盗まれたから弁償しろ 』 と言う人も。 メンタルを病んだ人も多く、 『 店員が私の心を読んでいる! 』 と叫び出して警察に通報する客もいます 」 ( ネットカフェ店員♂・27歳 )

 こんな恐ろしい職場、確かに辞めたくもなる。 あらゆる産業に出没するド底辺クレーマーを撲滅しなければ、日本のサービス産業は滅んでしまう!?



  


 ド底辺クレーマーの無理な要求がエスカレートし、労働力の流出が起きている昨今。 矛先を向けられる格安チェーン店などにとっては、抜き差しならない問題だ。 企業側も対策を練るべきなのだが ……。

 「 そもそもクレーム処理は話の文脈を理解する高い判断能力や思考能力、会話能力が必要な業務。 また、ひとくちにクレームと言っても、提案や意見、改善要求と多面的で複雑なんです。 ところが、顧客のクレームの本質を理解できない担当者には、すべてただの文句にしか聞こえない 」

 そう指摘するのは、クレーム処理の専門家・関根眞一氏だ。 百貨店から行政まで、さまざまな分野のクレーム処理を請け負ってきた関根氏は、ド底辺クレーマーの増加した現在、格安チェーン店や激安ショップといえども 「 クレーム処理の力を養うことが必要 」 と付け加える。

 「 現場で働く従業員も、責任感や企業に対する愛着があれば、クレーム処理もつらいことばかりじゃない。 顧客と新しい関係を築くきっかけにもなりますから 」

 クレーム処理は商売をする限り避けては通れない。 現場レベルでの高い処理能力が発揮されなければ、クレームは解決せず、さらに増加していくしかない。




 一方、非正規雇用労働者の相談を数多く受ける労働組合で、すき家と現在も係争中の首都圏青年ユニオンの事務局次長・神部紅氏は 「 労働環境の悪化が、責任感や愛着を持てなくしている 」 と指摘。 特に大型チェーンなど、いわゆるデフレ勝ち組企業でその傾向が顕著だと話す。

 「 格安チェーン店は、人件費削減のために正社員を極端に減らして利益を出すというビジネスモデルです。 正社員ひとりが5~10店舗を掛け持ちで担当するケースも見受けられます。 現場にアルバイトしかおらず、彼らは過剰な負担や、負うべき義務のない責任の矢面に立たされている。 しかも、そのような企業が、残業代未払いなどの違法行為を行っている場合も少なくありません。 人を人扱いしない企業で働いている現場のスタッフが、技術を向上させたり、商品に愛着を持ったり、付加価値をお客に楽しんでもらおうというモチベーションを持つことは難しい 」

 こうしたアルバイト店員が、理不尽なクレームにさらされれば、どうなるか想像に難くない。

 「 現場のアルバイトは、クレームを処理する技術なんて満足に教えられていません。 むしろクレームがあれば責任を背負わされ、真っ先にクビにされているのが現状です 」

 クレーム処理には高い能力が必要だが、人件費を削減したい企業は教育も対策もとらない。 ド底辺クレーマーの増加と企業の無策、そして労働力流出の負の連鎖はどこまで続くのか。 問題は思った以上に根深い。

<種類別クレームと対策>
確信犯型
 社内で悪質なクレーマー情報が共有されている場合、毅然とした姿勢で対応。 「 髪の毛が入っていた 」 というケースは 「 疑って恐縮ですが、DNA鑑定で確認します 」 と強い姿勢を見せることも必要。
せっかち型
 待てない客には、例えば 「 すぐに用意いたします 」 という言葉を使う、急ぐ表情や動作も一緒に付け加える。 言葉に動作や表情が伴うと説得力が上がり、相手の気持ちも和らぎやすくなる。
感情優先型
 感情が先立っている相手の話は腰を折らずに最後まで聞くのが大前提。 現場で頻繁に見られるのは、従業員のほうが我慢できず反論するケース。 話を最後まで聞かないと不満に油を注ぐことになる。
常連主張型
 「 常連さんなので、ウチのことよくわかりますよね。 ○○はできますが、○○はできないんです 」 と相手の論理の逆手をとる。 常連である事実は否定せず、感謝の気持ちを伝えるのが効果的。




( 2014.07.11 )

    


 すき家やワタミなど、 “ブラック企業” の烙印を押された飲食チェーンは従業員不足に泣いている。 その原因は多々あれど、ド底辺クレーマーに辟易して辞めていく店員もいた!




 1億総クレーマー時代を経て、ド底辺クレーマー時代に突入したニッポン。 これまで日本におけるクレーマーはどのように変化してきたのか。

 「 まず注目すべきは製造物責任法( PL法 )が施行された'95年。 同法の施行により企業に申し立てをしやすい環境が醸成されました。 消費者にとって法的な後ろ盾となったのです。 続いて'00年に雪印乳業の集団食中毒が起こり、産地偽装など、企業の不祥事が続いた。 消費者の不信感が募っていき、企業に対するクレームが増加する温床になっていったんです 」

 「 原因すべてではないが 」 と前置きしながらも、関西大学の池内裕美教授はクレーム増加とインターネットの普及には相関関係があると指摘する。

 「 ネットが発達し、他人のクレームや申し立てを目にすることができるようになった。 その方法や結果も共有されています。 他人の苦情に触れた人々は、 『 自分も言っていいんだ 』 という心理状況になる。 結果的に、それまで内に秘められていた多くのクレームが噴出するようになったのだと思います 」

 一方、そんな日本の “クレーム文化” に警鐘を鳴らすのはコラムニストの小田嶋隆氏だ。

 「 近年ではクレームが完全にゲーム化してしまっている。 当事者の不満に乗っかった第三者が、世論的なリンチや制裁を加える状況が当たり前になった。 いわゆる炎上や叩きですね。 一方、ド底辺クレーマー現象の背景には、行きすぎた顧客対応を一般化させてしまった、日本企業の問題もある。 というのも、企業にとって原料などのコストカットには限界があります。 そこでスタッフに対してサービスを向上させる競争をさせてきた。 現在、消費者は過剰なサービスに慣れすぎてしまっている。 それがド底辺クレーマー問題に繋がっているのではないか 」

 企業はお客を甘やかすべきか、厳しく育てるべきか。 それとも、消費者自ら不満をのみこむべきか。 いずれにせよ、この問題は新たな転換期に差しかかっている。





( 2015.03.15 )

  
    


 1947~49年頃の第一次ベビーブーム時代に生まれた人々は 「 団塊の世代 」 と呼ばれる。 この3年間は年間出生数がいずれも260人を超えており、世代別人口比率において大きな割合を占めている。 そんな現在60代後半に当たる団塊の世代をめぐり、公共の場でのマナー違反やクレーマー化がメディアなどでもしばしば話題に上っている。

 今回、20~40代の男女に団塊の世代に関するアンケートを実施したところ、特に多かった声が店舗内や電車内でのマナーに関するものだ。

 「 男性が電車の中で電話していたのです。 小声なら別に気にならなかったと思いますが、かなり大きな声だったので乗客全員の冷たい視線を集めていました。 本人は一切気に留めない様子でしたが 」 ( 42歳・男性 )

 「 駅のプラットフォームで帰宅ラッシュの時間帯に、大勢の人が順番に整列して電車を待っていました。 すると60代後半ぐらいの女性が、電車が着いた瞬間に現れたかと思うと、悪びれもせず横入りしてすーっと車内に入って行ったので唖然としました 」 ( 26歳・女性 )

 「 私が妊娠していた頃、気分が優れなかったので優先席に座っていたのです。 そこに突然、60代後半ぐらいの女性が現れて 『 あんたいい加減、席譲りなさいよ! 』 と怒り出したのです。 私はマタニティマークのキーホルダーを見えるように付けていたのですが、改めて 『 妊娠しているので 』 と伝えました。 でもその女性は自分の非を認めず、 『 私の若い頃はそんな世間に甘えてなかったわよ! 』 と逆ギレ。 ちなみに同じ車両の一般席には、空いている席があったにもかかわらずです 」 ( 32歳・女性 )




 また、団塊の世代が職場で軋轢を生むことも多いようだ。 定年が65歳まで延長されたり退職者の再雇用制度を導入している企業が増える昨今、この世代と共に働いていたという人々からの声も多かった。

 「 同じ工場で働く男性に、 『 最近の若いもんはダメだなー 』 と思いっきりステレオタイプなことを言われたことがありました。 毅然とした態度で 『 具体的にどこがダメですか? 』 と聞いたら 『 いや、もうなんか芯がないよ 』 と抽象的な言葉で濁されてしまいました 」 ( 25歳・男性 )

 「 団塊の世代の男性に Excel の資料を送った時、その人が 『 頼んだデータが入ってない! 』 と文句を言ってくるのですが、要求されたデータはきちんと sheet2 に入っていました。 要するに、いくつもの sheet があるというのを知らなかっただけだったので、丁寧にそのデータの見方を教えてあげたら 『 わかりにくいんだよ! 』 と一喝されてしまいました 」 ( 30歳・男性 )

 「 アルバイト先のコンビニエンスストアのオーナーが67歳なのですが、僕らには 『 最近の人はさ、 “ゆとり” っていうんだっけ? 自分で考えて動くってことはしないのかな? 』 などと遠まわしに嫌味を言ってきます 」 ( 24歳・男性 )




 そんな団塊の世代だが、彼らが10代後半から20歳前半くらいまでの時代は大都市への集団就職が盛んで “金の卵” と呼ばれ、日本の高度経済成長期を支えた層であることは間違いない。 そのため、次のような声も聞かれる。

 「 最近は悪い側面ばかり取り上げられがちですが、団塊の世代のバイタリティはやっぱりすごいと思います。 日本という国が、このまま右肩下がりを続けないためにも、あのパワフルさは見習うべきです 」 ( 36歳・男性 )

 「 年功序列、終身雇用が当たり前だったからなのか、しっかりした上下関係を重んじて、会社への忠誠心も高い世代なのだと思う。 今のご時世でその姿勢は一概に良いとも悪いともいえないが、まがりなりにも日本が今でも豊かな国でいられるのは、彼らのおかげです 」 ( 26歳・女性 )

 世代が違えば価値観も様変わりし、どの世代にも特徴的な長所や短所があるともいえる。 団塊の世代も下の世代も、お互いに理解を深めようと努力することが大切なのかもしれない。