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( 2016.10.26 )

  



 「都会の女はみんなキレイだ。 でも時々、みっともない」 ――。 こんな標語が印象的な、東急電鉄のマナー広告が物議を醸している。

 車内でのメイクを控えるよう呼びかけるものだが、ネットで 「『 みっともない 』 なんて全然思わない」 「女性への抑圧」 と批判が沸き起こり、逆に広告に賛成する声も相次ぐなど、賛否が大きく分かれる状態になっている。




 東急電鉄は16年9月16日から、 「わたしの東急線通学日記」 と題する啓発ポスターを全線( 世田谷線除く )に掲出している。 大学進学を機に上京し、東急線沿線に住み始めた主人公の女性がさまざまな乗車マナーに触れるといった趣旨だ。

 すでに第4弾まで公開されており、 「車内化粧篇」 は第2弾。 第1弾の 「歩きスマホ篇」 とともに9月16日から掲出されている。 「都会の女はみんなキレイだ。 でも時々、みっともない」 という一文に、座席シートでメイクする女性の写真が重ねられている。 しかし、ツイッター上では、この広告に対して、
「電車内の化粧のどこがマナー違反かよくわからない」
「女性への抑圧」
 と疑問の声が続々と寄せられた。 写真を見る限り、女性の座るシートは空いている。 ツイッターなどでは、男性の体臭や酔っ払い、騒音、痴漢など 「車内化粧」 より糾弾すべきものがあるという意見も相次いだ。 その一方で、
「電車内で化粧する女は無理です」
「マナーと明らかな犯罪行為をごちゃ混ぜにしても論点がずれる」
 とポスターに賛意を示す声も多い。 まさに賛否両論の状況だ。

 東急電鉄の公式サイトには、ポスターの動画版も公開されている。 座席でメイクにいそしむ女性を見つめ、 「みっともな ……」 とつぶやく主人公の女性。 やがて主人公の女性はすっくと立ち上がり、大きな身振り手振りを交えながら車内で踊る。 しかし、目の前の女性はメイクに夢中で、まったくダンスに気付かない。 そんな様子を切り取った、インパクトの強い動画だ。




 そもそもなぜ、 「車内化粧」 を取り上げたのか。 東急電鉄の広報部は、
『車内化粧』 に関わらず、電車内におけるマナー啓発として、ご利用いただいているお客さまのご意見などを踏まえて検討しました。
 と説明する。

 動画版については、
マナー啓発ポスター・CMというと、通常お客さまの目に留まらないことが多いため、印象に残り、かつメッセージ性の強い内容を検討しました。
 とその制作意図を明かした。

 ただ、ネットで 「車内化粧篇」 への反対意見が出ていることに関しては 「回答なし」 とした。

 なお、同社によると、 「車内化粧篇」 を含め16年度は8テーマについてのマナー広告を展開する予定だという。








 電車の中で、化粧をする女性について話題。
 この問題は、賛否が飛び交う。 地雷を踏むような話題にもなっている。

 東急電鉄 「車内で化粧はみっともない」 啓発広告に賛否両論の嵐。
 「都会の女はみんなキレイだ。 でも時々、みっともない」 ――。 こんな標語が印象的な、東急電鉄のマナー広告が物議を醸している。

 車内でのメイクを控えるよう呼びかけるものだが、ネットで 「『 みっともない 』 なんて全然思わない」 「女性への抑圧」 と批判が沸き起こり、逆に広告に賛成する声も相次ぐなど、賛否が大きく分かれる状態になっている。

 そのポスターと動画は以下にある。
わたしの東急線通学日記 | いい街いい電車プロジェクト
東急電鉄 「車内化粧篇」 ポスター
 動画に関してツッコミを入れると、 「車内でのダンスはOKなの?」 といいたくなってしまう。
 演出であることはわかるが、実際にダンスしている人がいたら、化粧よりもダンスの方が迷惑だけどね。

 さて、論点は、車内化粧は 「マナー」 なのかどうかだろう。  賛否の意見を見てみると、そもそもの立脚点が違っている。
 ある人は 「マナー」 を問い、ある人は 「モラル」 を問うている。
 なにをベースにするかの基準が違っているので、論戦が噛み合わなくなっている。

 言葉の意味を復習しておこう。
《 マナー( manner ) 》
 もとは英語なので、訳すと 「礼儀作法」 だが、和製英語化されているので、意味は少々広がっている。
 態度、礼儀、行儀作法、エチケットと併記している辞書もある。
 あるシーンにおいて、その場にふさわしい所作を形式化、あるいは明文化したルールが 「マナー」 だといえる。 洋食でのテーブルマナーや、茶道での振る舞い方がその典型。
 つまり、マナーがマナーとして成立するためには、共通認識として共有されていることが必要になる。

 Wikipedia には、以下の定義を引用してある。
 「他者を気遣う」 という気持ちを所作として形式化し、わかりやすくしたものが形式としてのマナーである。
   (中略)
 マナーとは 「他者を気遣う」 という気持ちの現れであり、相手を不快にさせないように個人個人が考えを巡らして行動すべきものである。
 
《 モラル( moral ) 》
 「道徳」 「倫理」 「良識」 のことをいいます。
 モラル( moral )は、 「道徳・道義的な」 「教訓」 などを意味する英語から来ています。 現実社会や実人生に対する態度や気持ちのありようをいい、法的根拠による拘束力をもたないもので、宗教のように超越者との関係においてではなく、人間相互の関係において 「善悪の判断を伴う感性」 のことをいいます。 モラルというときは、特に 「現実生活に即した道徳」 という点がポイントです。
 モラルはさらに抽象的だ。
 
 現在と50~30年前とでは、あきらかにモラルは変わっている。 言い換えると、現在20代の人たちと、50歳以上の人たちとでは、共通認識としてのモラルは通じないということでもある。

 賛否が分かれることの諸悪の根源は、 「マナー」 という曖昧な言葉にある。 それぞれがマナーを拡大解釈しているために、意見の対立が起こる。マナーとモラルをごちゃまぜにしている人も多い。

 英語の manner の意味を厳密に適用するなら ……
1. やり方、方法
2. 態度、立ち居振る舞い
3.《 manners 》礼儀、礼節、マナー
4.《 manners 》〔 ある時代や社会の 〕慣習、風俗
 …… と、この4つに照らし合わせるのが適切だろう。 テーブルマナーのように、形式化・様式化しないことには、 「電車内でのマナー」 は共通認識されない。
 マナーではなく 「礼儀作法」 と日本語で表現すれば、堅苦しいかもしれないが意味合いはもっと限定される。 茶道では正座するが、あぐらをかくことは御法度だ。 そこに理屈やだめな理由の明示はなく、作法として認められていないというだけである。
 車内での化粧がNGであるなら、 「車内の礼儀作法として化粧は認められません」 と明示すればよい。 それが電車道の作法であると。 マナーの良し悪しの判断を、利用者に委ねるからややこしくなる。

 車内は 「禁煙」 になっているが、それはマナーではなく 「禁止」 だ。 飲酒は禁止されていないが、車内で酒臭いのはけっこう不快なのだから、 「禁酒」 にはしてほしいね。
 車内での化粧が、多くの人にとって不快であるなら、 「禁化粧」 にすればいい。 反発もあるだろうが。

 ポスターの写真では、スカスカの電車で化粧しているが、それはまだいい。
 朝の通勤電車の、ギュウ詰め状態でも化粧するのは勘弁してほしいとは思う。
 わずかな隙間を作って、口紅を塗ったり、ビューラーでまつげを整えたり、あげくにはヘアースプレーを使う人までいる。
 ビューラーを使っているときに電車が揺れて、前後から押されたら目を突いてしまうんじゃないかとヒヤヒヤする。 スプレーは強烈な臭いが周囲に充満するから、禁煙と同じく禁止にしてほしい。

 あと、暑い時期の扇子も禁止だ。
 本人は涼しいかもしれないが、汗臭い体臭がこっちに漂ってきて、 「おまえの体臭など、嗅ぎたくないぞ!」 と、文句をいいたくなってしまう。 加齢臭が加わっていると、腐った残飯のような臭いになる。

 
 化粧は他人へのアピールであると同時に、自己満足でもある。 ときどき、化粧する女性が目の前にいる場面に遭遇するが、すっぴんの状態から化粧が完了するのに要する時間は、長くてもだいたい10~15分くらい。 そのくらいの時間なら、30分早く起きればいいのに。 それができないルーズな性格なんだと思う。
 すっぴんと化粧後を比較しても、あまり変わらない、という人が多いように思う。 そこが自己満足なんだろう。

 うちの彼女は、外出するときはきっちり化粧をするタイプだが、多少時間に遅れても手抜きはしない。 そのへんは、化粧に対する哲学というか美意識なのかなと思う。
 車内で化粧をするかどうかは、美意識のレベルの問題な気がする。





( 2016.11.04 )

 
  



 電車内で化粧をする女性の姿を批判的に描き、ネット上でも論議を呼んだ東急電鉄のマナー向上広告の動画について、タレントのデヴィ夫人( 76 )が自身のブログを更新し、 「公共の場で人目もはばからずお化粧なんて恥知らず」 「本当に情けない」 と批判した。

 デヴィ夫人は3日付の投稿でこの論争に触れ、 「そもそも、自分の家を一歩でも出たら、そこは公共の場。 人目もはばからず、飲食したり、お化粧したりするなんて恥知らず」 とバッサリ。 「一心不乱にお化粧をしていると他人には見せられない顔になる。 それがどんなに人に不快感を与えているか」 と続け、 「羞恥心をなくすなんて、世も末ですね」 と嘆いた。

 この動画は、 「都会の女は みんなキレイだ。 でも 時々、みっともないんだ」 のコピーで話題となり、公共の場での振る舞いをめぐる論争に火を付けた。 デヴィ夫人の目には車内化粧は嘆かわしい事態のようで、ブログも 「常識を兼ね備えた素敵な大人になって」 と結んだ。





( 2016.11.12 )

 



マナー違反や迷惑行為 電車内での嫌な思い出は?

 東急電鉄のマナー広告がきっかけで論争が起きた 「女子が電車内で化粧をするのはみっともない」 問題。 実際にそう思っている人は、どれくらいいるのだろうか。

 電車のマナーというと、半年ほど前のことを思い出す。 私はJRの四ツ谷駅から終電に乗り込んだ。

 車内はぎゅうぎゅう詰め。 新宿駅で少し乗客が降り、ロングシートの目の前の席が空いたので座った。 他社路線の接続待ちで電車がしばらく止まっているうちに眠ってしまった私だが、車両が揺れた拍子にふと目を開けて、ぎょっとした。 目の前に腹があったからだ。 目の前って、ほんとに目の前。 眼前15センチくらいで腹が揺れている。

 何が起こっているのかわからないまま顔を上げてみると、吊革につかまった男性とおぼしき乗客が、プロレスの逆エビ固めをかけられているかのごとく、私に向かって腹を突き出している。 なるほど、そういうことか。 いや、納得しかけたが、おかしい。 目の前に腹がある理由はわかったが、なぜこの人は1人で逆エビ固め状態に陥っているのか、それがわからない。

 見上げてみても男性の表情はうかがうことができず、 「席を譲ってくれよ」 とプレッシャーをかけられているのかなと考え、 「座りますか」 と尋ねてみた。 男性がこちらを見る。 見下ろしているその顔は40代後半といった感じ。 うっとうしそうに首を横に振る。 逆エビ状態で立ったまま、その男性の目は座っていた。

 どうもその男性は酩酊しているらしく、なんで吊革を掴んでいられるのか不思議になるくらい、体がぐにゃんぐにゃんに揺れている。 新宿でまた大勢が乗り込んだせいで、行き場を失った男性の体は座っている私のほうにしか動けない。 だから、私の目の前に腹がデーンと出っ張るのも道理ということか。

 「こんなにへべれけになって電車に乗るなよ」 と内心いらつきながら、 「座りますか」 ともう一度声をかけるが、先ほどと同じように拒否される。 私も疲れていたので、座る気がないならもういいやと思ったのだが、しばらくして頭上からうめき声。 見れば、男性、口をぱくぱくしている。 あ。 これ、あかんやつや。 このままやと、ワイ、頭から吐物をかぶってまう ――。 緊迫感のあまり思考言語がエセ関西弁になる。 と、次の瞬間 ……。


迷惑行為トップは 「会話」 だが 「車内での化粧」 は?

 その後どうなったかは一旦置いておいて、私が電車や駅構内で最も迷惑に感じるのは、べろんべろんの酔っぱらいだ。 ホームですっ転んでしこたま頭をぶつけたおじさんを見てハラハラしたり、前後にフラフラ( 下手すれば電車に轢かれる )したあげく、柱のところに吐いてる青年に 「水、飲みますか」 と訊いたら、 「らいじょうぶれ …… うっ …… す」 ( 全然大丈夫じゃない )と言われたり。 そういうとき、私は心配する以上にいらついてしまう。

 と、随分長い前置きになってしまったが、皆さんが駅や電車で迷惑だと感じるのはどんな行為だろうか。

 東京・神奈川で路線を展開する東京急行電鉄( 東急電鉄 )のマナー広告が話題になっている。 『 わたしの東急線通学日記 』 と題された一連のシリーズは、地方から上京してきた女子大生が駅や電車でマナー違反に遭遇したり、自分がマナー違反を犯してしまったりする場面で構成されている。

 ポスターと動画による広告だが、リリカルなポスターとは一転、動画では主人公の女子大生が突如として激しく踊り出す( 実際には心象風景なのだろう )。 そんなマナー広告らしくない打ち出し方もさることながら、シリーズのうちの1つで電車内での化粧に言及したことにより、さらに多くの人の注目を集めることになった。

 主人公の女子大生は電車内で化粧をする女性を見て、 「みっともない」 と感じている。 ポスターでも、動画でも 「車内での化粧はご遠慮ください。」 という文字が入る。 はたして、車内での化粧は 「みっともないこと」 「マナー違反」 なのだろか。 正直、私はワイシャツに口紅でも塗られない限り、どうでもいいかなと思ってしまうのだが ……。

 一般社団法人日本民営鉄道協会が毎年行っている 「駅と電車内の迷惑行為ランキング」 アンケート を見てみると、2009年以降、チャンピオンの座を守り続けているのは 「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」。

 2015年度版においては 「あなたが電車を利用される場合、迷惑と感じる行為を3つまでお知らせ下さい」 という質問に、 「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」 を挙げた人が38.0%だった。 それ以下は 「座席の座り方」 ( 31.4% )、 「乗降時のマナー」 ( 29.8% )、 「携帯電話・スマートフォンの着信音や通話」 ( 25.5% )、 「ヘッドホンからの音もれ」 ( 25.1% )、 「荷物の持ち方・置き方」 ( 23.9% )、 「ゴミ・空き缶等の放置」 ( 19.7% )、そして、8位 「車内での化粧」 ( 16.5% )と続く。
 昨年までのアンケート結果においては、「車内での化粧は」上位に食い込んだときでも5位。あとはだいたい6位から8位をうろうろしている。ただ、挙げる人の割合が極端に少ないわけでもない。取り立てて迷惑だと感じない人がいる一方で、迷惑だ、みっともないと感じる人も確実にいるようだ(ところで「駅と電車内の迷惑行為ランキング」のページでは、2010年以降、ずっと見出しが『音に関する迷惑行為が今年も上位に!』になっている。見出しの付け方、手を抜きすぎじゃないかと思ってしまったのはナイショだ)。


女性の2割弱が 「化粧なしでは外出は無理」 という徹底ぶり



 化粧品の匂いがきつい、粉が舞うなど、具体的な根拠を挙げて迷惑だと主張する人もいて、それは理解できないこともないのだが、 「みっともない」 という主張が私にはよくわからない。 化粧の音がうるさいわけでも、眉ペンシルで刺されるわけでもないんだから、そんなに目くじら立てなくても ……。

 ただ同時に、不安定な揺れる車内でわざわざ化粧をする女性の気持ちや事情もよくわからない。 化粧なしじゃダメなの? 私自身は化粧をしない。 仕事でなければ髪のセットもしないし、ヒゲもあまり剃らない。 寝間着にサンダルで街中に買い物に出かけたりもする。 だからわかろうとするのがそもそも無理なのかもしれない。 しかし、ヒントになりそうなものを見つけた。

 メガネ量販店 「眼鏡市場」 が20代~50代の女性600人を対象に今年行った 「メイク・肌に関する意識調査」 では、 「自分のすっぴんに自信はありますか?」 という問いに対して、 「とても自信がある」 「やや自信がある」 と答えたのは全体の12.6%。 自信がある、というのがどういう状態なのかよくわからないので、次の 「誰にならすっぴんで会えますか?」 という質問を見てみると、全年代で5%前後の女性が 「家族にも会えない」 と答えている。

 え、マジっすか。 20代を除けば、他の年代では親戚や友人ともすっぴんでは会いたくないという人が半数超え。 さらに 「すっぴんで行ける場所はどこまでですか?」 という問いに、20代の9.3%、30代の18.0%、40代と50代では20%超が 「どこにも行けない」 と答えた。 全体では18%超の女性が、化粧をしない限り家から、下手をすれば部屋から出られないというのだ。

 女性心理にそこまで疎いつもりもなかったが、この結果は衝撃だ。 何故なのかはやっぱりわからないけれど、多くの女性にとって、化粧はそのくらいのレベルでやらなければならないものらしい。


電車内でのメイクは 「仕方なく」 夏休みの宿題と同じ心理では?

 この結果を見て、思い浮かべたのが夏休みの宿題だ。 夏休み終了直前に慌てて宿題やる人って必ずいましたよね。 車内での化粧って、それと同じなんじゃないかな。 出かけるために化粧しておきたいけど、時間がなかったり、やる気が起きなかったり、あるいはなんで化粧なんてしなきゃいけないんだよと思いながら、しぶしぶやらざるを得なかったり。

 結果、電車内でメイク道具を取り出すことになる、と。 「やっとけよなー」 と思う人はいるだろうが、当人は色々あってできなかったんだから、もうしょうがないじゃないか。 夏休みの宿題を期日通りに提出しない子どもだって、将来、何かでっかいことをやるかもしれないじゃないか。 …… なんの話だっけ。

 さて、冒頭の1人逆エビ固めおじさんだが、結論を言えば私の頭上で戻すことはなかった。 口をぱくぱくさせた後、壁際に座っていた私と壁の間に無理やり体をすべりこませ、驚いた私が 「え、ちょっ、大丈夫っすか」 と慌てて立ち上がった瞬間、そこにドカッと座り、すぐさまいびきをかき始めた。 私だけでなく周囲の視線を集めた中で、一瞬で眠りに落ちたのだ。

 なんかもう、ここまでくるとマナー違反というか、未知との遭遇だった。 目が合ったパンクな風貌のお兄さんが、 「ぱねーっすね」 ( 「半端じゃないですね」 の意 )と話しかけてきた。 そのパンクお兄さんがリュックを体の前に背負い直して周りに配慮していたのが、また印象的だったなあ。





( 2016.11.13 )



 東急電鉄のマナー向上広告動画の対象となっている電車内で化粧をする女性について、女性たちに話を聞いてみたら、批判的な意見が多かった。 その半面、 「体臭や携帯電話の方が迷惑」 という声も。 マナーをめぐる意識の差がありそうで …。

立ったまま 「つけま」

 「電車内で化粧をしているなんてみっともない」

 こう憤るのは、東京都板橋区の会社員女性( 45 )だ。 朝の通勤電車でよく見かけるのが、ドア近くに立ち、つけまつげの装着をしている20代半ばくらいの女性。 カーブが多く揺れる車内で、のりをつけ、目に装着するという繊細な作業を行い、乗換駅に着く頃には、つけまつげによって変身が “完了”。 目の大きさが変わっているという。 見ていてみっともないと思うだけでなく、 「カーブが多いから指が目に入ってしまわないか心配。 危ないからやめたほうがいいと思う」。

 特に嫌われるのがファンデーションなど粉を使うタイプの化粧だ。 4歳の娘と出かけているときに、電車内でフェースパウダーをはたいて、 “最後の仕上げ” をしている若い女性を見たという40代の母親は 「 天気が良かったので粉が光で反射して見えた。 吸い込むのも嫌だし、娘もいたので、離れました 」。

 ただ、電車で化粧は、若い女性だけの問題というわけではなさそうだ。 「何かにおうと思ってふと周りを見たら、優先席に座っていた50代くらいのおばさんがマニキュアを塗っていてびっくりしました」 という証言もあった。


「におわないなら良いのでは?」

 実際に電車で化粧をしている女性には、どんな事情があるのだろうか。

 週に数日は通勤電車の中で化粧をしているという都内の女性会社員( 28 )は 「できるだけ満員電車の中ではやらないように、比較的空いている始発の電車を選ぶようにしています。 周囲からの目が気になることはあるが、どうしても出かける時間までに終わらないことがあって …」 と話す。

 出社時間に遅刻してしまいそうなとき、女性は電車の中で、眉毛をかき、アイラインを引き、アイシャドーを塗る。 ただ、においの強いものは使用しないようにしたり、ミニサイズの化粧品や鏡を使うことで周囲にバレないように工夫したりと、 「( 車内での化粧に )罪悪感はある」 という。 スマートフォンを鏡替わりに使ってカムフラージュすることも。

 なかには “一部容認派” も存在する。 「リップクリームを電車で塗ることはあります」 「粉が飛んだりにおいがしたりするのは良くないが、口紅程度ならOKなのでは」 といった意見もあった。 変身過程に興味を持つ人もいた。 40代の男性会社員は 「メークで顔が変わっていくさまがおもしろいので観察してしまうこともあります」。

 また、 「体臭や携帯電話など、ほかの迷惑行為のほうが気になる。 なぜ女性の化粧ばかり話題になるのか」 という指摘もあった。 一般社団法人、日本民営鉄道協会が毎年行う、マナーアンケート 「駅と電車内の迷惑行為ランキング」 によると、平成27年度は、 「車内での化粧」 は8位。 1位は 「騒々しい会話・はしゃぎまわり等」、2位は 「座席の座り方」、3位は 「乗降時のマナー」 だった。

 男女別に見ると、 「車内での化粧」 は男性で9位、女性で7位。 ほぼ毎年、女性のほうで順位が高くなる傾向にあり、同性ならではの厳しい視線がありそうだ。


地域社会の “他人化” 影響?

 「羞恥心はどこへ消えた?」 ( 光文社新書 )などの著書のある、聖心女子大学の菅原健介教授( 社会心理学 )は 「都市化が進み、地域社会が機能しなくなったことが、電車での化粧という行為につながっているのではないか」 と指摘する。

 電車での化粧については、平成に入ってから、メディアでマナーの問題として取り上げられるようになったという。 「恥ずかしいという感情は、自分が大事にしている集団から外されたくないというときに起こる。 周りがみんな他人なら、どう思われてもよいと考えてしまう」 と菅原教授。

 かつては地域社会が機能し、電車は近所の人も乗っている可能性のある場所だった。 また、 「家でやることを外でやるのは恥ずしい」 「どこで誰が見ているのか分からない」 という意識があったという。 地域社会のつながりが希薄になり、他人の目を意識する必要がなくなったことが影響していると分析する。

 「他人の視線を意識する場所が変わってきているのでは」 と推測するのは、東京大情報理工学系研究科の特任研究員、久保友香さんだ。 久保さんは、女性が化粧や写真加工などの技術によって変身し、新たなアイデンティティーを得るといった研究をしている。

 日本では昔から、巫女みこ花魁おいらんなど、不特定多数の人に姿を見せる立場の人は強い化粧で素顔を隠してきた。 久保さんは 「女性はかつては家族にも化粧していない顔を見せませんでした。 女性の社会進出が進むことで、対人関係で重視する対象が( 身近な人々から )変わってきたのではないか」 と分析している。



vs






( 2016.05.02 )



 電車は、見ず知らずの人が乗り合わせる空間。 それゆえ、 さまざまなトラブルや目を疑う光景が起こりやすい。 これまでに電車内で見かけた 「ちょっと困った乗客」 を調査してみた。

目を疑う!電車内で見かけた 「非常識な人」


(1)優先席でオムツ交換

 平日の昼下がりで、電車内はそこまで混んでいなかったんです。 でも突然すごい汚物臭が立ちこめて、周囲の乗客も 『 ん? 』 って騒然としだして。
 よく見たら、優先席に赤ん坊を寝かせてオムツを取り替えている母親がいました。 これって、育児業界では常識なんですかね?
 ( 男性/22歳 )


(2)ゲームにブチ切れ

 iPad を使ってゲームをしている若者がいたんですけれど、ヘッドホンを使っていて音漏れもしていなくて、一見は害はなさそうに見えました。
 でも、ゲームで失敗すると 『 あー!! 』 って叫び声をあげたり、舌打ちをしたり、画面を叩いたり。 乗客全員が注目していましたが、その人は全然気にしていませんでした。
 ( 女性/36歳 )


(3)コーヒーをぶちまける

 そこそこ混雑気味の電車内で、スタバのコーヒーを飲んでいた大学生くらいの女の子。 揺れが大きくなったときに、バランスを崩してそのまま隣の女性の洋服にバシャッと。
 『 あ〜あ 』 って空気が流れる中、こぼした子も固まっていて。 そこからすぐに駅に着いたんですけれど、こぼした子はその女性に会釈して逃げるように降りて行った。 弁償しろよ ……。
 ( 男性/32歳 )


(4)香水プンプン、心もプンプン

 電車がガラガラで、座席も一列誰も座っていないところがあるくらい空いていたのに、私の隣に座ってきた男性がいて。
 それだけでも不愉快なのに、すんごい香水くさい。 息ができないレベルだったので、ちょっと離れた座席に移ったら、 『 なんでそっちに移ったんですか? 僕なにかしました? 感じ悪い人ですね! 』 って絡んできました。
 ( 女性/22歳 )


(5)車内の飲食の匂いでゲロンパ ……

 妊娠初期でつわりがヒドかったんですけど、仕事は続けていたので電車通勤していたんです。
 仕事から帰ろうと電車に乗ろうとしたら、車内でマックを食べていた人がいて。 その匂いに一発KOされて、そのまま駅のホームで吐きました。 車内飲食はやめて!
 ( 女性/32歳 )


(6)その手で触らないで!

 中学生のときに、男の人が自分のズボンのなかに手を入れてアソコを触った後に、吊り革を触っているのを見てしまって。
 それ以来、気持ちが悪くて電車内の吊り革とかバーが触れなくなってしまいました ……。
 ( 女性/23歳 )


 

 


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