( 2016.03.29 )


 入社や転職、異動などで人が入れ替わり、心なしか職場がざわつく季節。 多くの人が職場で一緒に働くのは、理解のある上司、気の置けない同僚、かわいい後輩ならいいのにと願っているはずだ。 そうは言っても世の中には、笑いながら傷つける言葉を吐いたり、周りに迷惑をかけたりするやっかいな人がいる。 仕事がらみだとどうしても言い返せず、 苛立 いらだ ちをためこみ心身に異常をきたすケースもある。 職場のやっかいな人たちから身を守る方法はあるのか。




 やっかいな人はどんな職場にもいます。

 そういう人に振り回されて、食欲不振、吐き気、動悸どうき、不眠、気分の落ち込み、意欲低下などの症状が表れたという方を長年観てきました。そこで、やっかいな人の心理について解説し、うまくかわしながら自分の身を守る方法を探っていきたいと思います。

 まず、具体的に職場にいるやっかいだと思う人を考えてみましょう。 どうでしょう? 1人や2人はすぐに顔が思い浮かぶのではないでしょうか。 うっかり口に出して名前を挙げると、それこそやっかいなことになりますので控えましょう。




 何げない会話の中で、こちらが傷つくことを平気な顔でズケズケと言う人がいますよね。 「これを言ったら相手がどう思うのか 」 といった想像力が欠如している鈍感なタイプです。 暴言だなんてこれっぽっちも思っていない本当に鈍感な人もいますが、鈍感なふりをしている 「知能犯」 もいるので要注意です。 後者の場合は、相手が傷ついていることに気づかないふりをしながら、グサッと刺さる言葉の矢を投げつけます。 言われた側は 「故意なのか、それとも悪気のない天然なのか」 わからず、ただただ、思い悩んでしまうわけです。

 「あれ、顔が疲れているね。 残業続きなんじゃない?」

 ただのあいさつのようにも聞こえるこんな言葉。 いつも定時に帰っている後輩に投げかけられたらどうでしょう。 悪意が潜んでいる可能性もあります。



 いずれの場合でも、先輩の不用意な言葉で傷ついていることを気づかせることが有効です。 立場によっては、あまりきつい言い方はしにくいという場合もあるでしょう。

 「心配していただいているようですが ……」
 「冗談のつもりかもしれませんが ……」

 こうした “クッション言葉” を置き、 「そんなこと言われると気分が落ち込みます」 などと伝えてみてはいかがでしょう。




 先日、日本生産性本部が発表しましたが、2016年の新入社員は 「ドローン( 無人航空機 )型」 だそうです。 今後、さまざまな場面で活躍が期待できる一方、操縦を誤るととんでもないことになりかねないという意味が含まれているとのことです。

 電話が鳴っていても出ない、ファクスが届いていても取りに行かない、共有スペースのゴミなんて気にもしない。 雑用はまったくやろうとせず、 「手伝いましょうか」 とは決して口にしない。 職場のこんな後輩にイライラすることがあるかもしれません。

 こういう気が利かない人は、二つのタイプがあるように見受けられます。

 まず、 「本当に鈍感で、気づいていない」 タイプ。 自分の仕事だけで精いっぱい。 周囲に気が回らない人です。 「言われたことをやればいい」 という “指示待ちタイプ” である場合も多く、指示されていないことはやらなくていいとさえ思い込んでいます。

 もう一つのタイプは、 「そんな雑用は自分の仕事じゃない」 くらいに思い上がっているタイプです。 なんの根拠もない 「オレ様」 もいれば、 「自分はちゃんと成果を出しているのだから、雑用なんかやらない」 と天狗てんぐになっている 「カンチガイさん」 もいます。




 こういう後輩がいたら、「それも、あなたの仕事だからね」と根気強く教育するしかありません。オレ様やカンチガイさんになっているようなら、「社会人としてみっともない」ときちんと言う必要もあるかもしれません。




 さて、ベテランの方にもやっかいな方がいらっしゃいます。 振り回されている部下がたくさんいるのに気づいていますか。
 「企画書を提出したところ、上司から何度も修正を命じられ、そのたびに徹夜で直していたのに、結局最初に提出したときの形に戻すことになった」

 はっきりとした指針もなく、振り回された部下が指示通りに従ったがゆえに、心身ともにボロボロになってしまった朝令暮改の典型的なパターンです。

 そもそも、こういう上司の方はその能力に疑問符がつきます。

 また、うがった見方をすれば、自分は上司なのだから 「自分のひとことで部下たちはどうにでも動く」 などという 「おごり 」 があるのかもしれません。 部下がどんなに時間を費やし、疲弊しようと、 「大した問題ではない」 と思っている可能性すらあります。




 こういう上司に対する防御策は、とにかく記録に残すことです。やりとりをできるだけメールや書類で行い、口頭の場合でも常にメモを残すことをお勧めします。「迷惑をかけたくないので……」「お手間をとらせたくないので……」などと、一応持ち上げるふりをするのも有効です。




 自分が指示しておきながらうまくいかないと、すべて部下のせいにします。 場合によっては、激しく叱責するケースもあるでしょう。 保身のことしか考えていないからです。 責任を他人に押しつけて自己正当化しようとしているのです。

 「これ、前に教えたよな」
 「以前も同じ注意をしたはずだ」

 まず、自分には非がないことを念押しします。

 「なんでできないの?」
 「どうしたらこんなことになるんだ?」

 問いかけになっていない非難を浴びせます。 言い訳を受け付けない方法です。

 しかも、こういうタイプは、反論しない相手に対しては、どんどん調子に乗る傾向があります。 フラストレーション解消のターゲットにならないように気をつけましょう。




 自分の立場を守ることしか考えていないタイプには、保身という 「急所」 をチクリと刺すしかありません。 「私に責任を押しつけると、課長の損になってしまうかもしれません」 と軽く揺さぶりをかけるのも一つの手です。




 こういうった女性( 実は男性版の 「お局つぼね君」 も大勢います! )は大迷惑です。

 噂話うわさばなしが大好きで、誰と誰が付き合っているとか、あの人は離婚協議中だとか、こういったたぐいの情報をどこからか集めてきてはしゃべりまくります。

 「他人の不幸は蜜の味」 というところがありますし、他人の生活をのぞき見したいという 「窃視せつし願望」 も強いようです。 私生活に欲求不満を抱いている人ほど、誰かをおとしめるようなネタを探さずにはいられません。

   「あの人は、前の会社をリストラされたらしい」
 「不倫がばれて、前の職場にいられなくなったようだ」

 職場の人間関係を十分に把握しきれていない新入社員や異動してきたばかりの人は注意が必要です。




 この手の話題が好きな人にはあまり深入りせず、興味がなさそうな素振そぶりをします。 「人それぞれ、いろんな事情があるからね……」 と適当にあしらっておくのが賢明です。 へたに調子を合わせて、 「へえ、そうなの」 などと関心を示そうものなら、逆にプライベートをリサーチされ、噂話のネタにされてしまいます。





 「本当は悪い人じゃない」 「きっと悪意はないのかも ……」。 やっかいな人たちは、こんなふうに擁護されることがあります。

 一方、やっかいな人のターゲットにされていて、大変な目に遭っていながら 「ちょっと考えすぎなのかも」 「気にしすぎだろうか」 「私が神経質なのかも」 などと、自らを責める被害者もいます。

 これは、やっかいな人の多くが 「自分は悪くない」 と主張する自己正当化の達人だからです。 ですから、自責の念に思い悩むのはやめましょう。

 やっかいな人は、職場に限らず、学校にも、地域のコミュニティーにも、ときには親族内にもいます。 そこで、気持ちが楽になる3つのことを頭に入れておいてください。




 欲求不満、羨望、怒りなどの 「負の感情」 は誰にでもあります。 むしろ、あって当然です。 こうした負の感情が 「やっかいな人」 になっている要因の1つでもあります。 ねたみや嫉妬を、嫌みや暴言として吐き出さないようにするには、自らの境遇と向き合い、自分自身を認めてあげることが大切です。




 当たり前のことのようですが、これまで紹介してきた 【 対処法 】 は感情を小出しにするための方法なのです。 なんだ、そんなことかと思われることかもしれませんが、これは、感情をため込んだ結果、爆発して < キレる > という事態を防ぐためにこそ必要なのです。




 「納得いかない」 「我慢できない」 「傷つけられた」 という感情が沸き立つことが、多々あるでしょう。 それでも、 「ちょっとクールに」 ふるまうことをお勧めするのは、他人の性根を変えるのは至難の業だからです。

 その意味では、 「あきらめる」 ことにつながるのかもしれません。 「あきらめる」 ことにはネガティブな面だけでなく、 「明らかに見る」 という側面もあります。 つまり、目の前の現実を直視したうえで、上手にかわすということなのです。




 最後に、あなた自身がやっかいな人にならないために気をつけるべき2つの点を申し上げておきます。



 やっかいな人ほど、 「自分では周りが見えている」 「相手のことを考えている」 などと言い張ります。 自覚がないということが、周囲にとって 「やっかいな人」 になっている一因です。 「人のふり見て、我がふり直せ」 という言葉を座右の銘にしましょう。



 自分自身が鈍感な人にならないために、 「どこまで許されるのか」 を見極めましょう。 自分勝手な解釈を押し通していないか、常に自分自身を振り返るまなざしを持つことが大切です。 自分とはまったく異なる感じ方をする人もいるのだということをお忘れなく。