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 この御時世では政権の命取りになると思ったのか、政府は 「社会保障費」 の削減を先送りしている。 が、その一角をなす生活保護制度がどんなモラルハザードを引き起しているか御存知か。

 東京の下町、隅田川の流れる区部の保育園に勤める保育士は不思議でならなかった。
  「母子家庭のはずなのに、毎年お腹を大きくしては子どもが増えていく若いお母さんがいたんです」
 しかも、“母子家庭”のはずなのに、時として“お父さん”が子どもを送り迎えにやってくる。
  「母子家庭だから生活保護を受けている、と聴いていました。 ところが、子どもは増えていく一方で、仕事をしている気配もない。 昼間から駅前のパチンコ屋に出入りしている姿を、他の園児のお母さんや近所の人が目撃しています」
 実のところ、彼女は男2人女8人合計10人の子どもを産んでいた。 少子化対策を掲げる日本政府には十分に貢献しているのだが、家計はすべて生活保護費で賄われていたのだ。
  「これは本人が話していたのですが」 と、他の保育士が述懐する。
 子どもを抱え、土木関係の仕事に就いていた夫が、あるとき事故にあう。 仕事にいけなくなったところへ、保険金が入ってきた。 これが、仕事をしている時よりも実入りがよかった。 嬉しくなった夫婦はこれをすべて遊びに使ってしまう。 すると、いつしか保険金も底を突き、食費にも事欠くようになって、電気、ガス、水道までを止められてしまった。 家賃も払えない。 夜も真っ暗な中で生活していると、あるとき区のケースワーカー( 生活保護の相談・指導員 / 以下CW )が訪ねてきた。 子どもを心配した児童相談所から話がまわったようだ。 あまりの子どもの惨状に、CWが言ったそうだ。
  「偽装でいいから、離婚しなさい
 そのときに、母子家庭になれば生活保護費が月にいくらもらえる、と示してくれた。
  「その金額がよかったから離婚したんだ、と本人が吹聴していました」 ( 前出・保育士 )
 それからも、離婚したはずの夫との間に子どもをもうけ、ついには10人になった。
 「それで職に就けない母子家庭となれば、月に60万円は生活保護費を受け取っている はずです」 ( 同 )
 そもそも生活保護は、憲法第25条の生存権に基づき、国が困窮する全ての国民に対し、必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに自立を助長することを目的としている。 保護を必要とする本人が市区の福祉事務所などに申請し、CWが資産や就労状況などを調べて、必要な金額を支給する。 いわば、国民の善意と自立支援の精神が基調となった制度だ。
 支払い額は地域によって異なるが、年齢別の1人当りの生活扶助( 第1類 )に、人数に応じた世帯毎の生活扶助( 第2類 )、それと住宅扶助に加えて教育扶助などが必要に応じて支給される。 例えば東京23区の場合、3人世帯( 夫38歳、妻29歳、子4歳 )で月額26万190円が、母子2人世帯( 母30歳、子4歳 )で22万4380円が支給される計算になる。
  「子どもが多くなるほど1人当りの扶助( 6~11歳は3万4070円 / 12~19歳では4万2080円 )が増えることになります。 ですが、子どもを10人も抱えて、生活保護だけで暮らしている母子家庭なんて、まずありませんよ」 ( 東京都福祉保健局 )
 しかし、現実に東京の片隅にそうした家庭がある。
 単純計算でも生活保護費、60万円は下らない これに学校給食費や教材費なども支払われ、保育園にも優先的に入園でき、しかも保育費用は全額免除される。
 そこで、先程の保育士たちは怒りをあらわにする。
  「毎朝、子どもを預けに来るのはいいのですが、その度に子どもが真っ黒になってやって来る。 あまり酷いので保育園のお風呂に入れて、備え置きの服を着せて家に帰す。 ところがその翌日には、また汚くなって保育園にやって来るのです」
 ある時、この子ども達が保育園にも、小学校にもやって来なくなった。 心配になった教育関係者が自宅を訪問すると、汚い家の中で上の子どもが下の子どもの面倒をみながら生活していた。
 「鍵を開けて、と言っても、お母さんが開けてはダメだと言った、となかなか開けようとしなかった。 それほど健気に生きているのに、お母さんは生活保護を受け取って、働くどころか育児さえ放棄している。 私たちが毎日子どもの面倒を見て、しかも税金で生活を保障しているなんて、こんなバカな話はありませんよ」( 同 )


《 市の職員にも拳銃を持たせろ! 》

 こうした実例は極端なものだが、生活保護の本来の目的と照らして、どうも首を傾げたくなるような事象も少なくない。
 2006年度、生活保護を受けているのは全国で107万5820世帯、金額にして2兆6749億円にのぼる。 このうち、不正受給とされたのが1万4669件、89億7618万円になる。 これは世帯数で全体のわずか1.36%、額面でO.33%に過ぎないが、それでも89億円もが不正に支払われる実態は、納税者からすると納得のいく話ではあるまい。 まして、これが07年度になると1万5979件、91億8200万円と、確実に増えている。 しかもこれはあくまで違法として露見したものだけの数値だ。
  「潜在的にはもっとあってもおかしくはない」 とは、関西地方で10年以上のキヤリアを積んだCWの話。
  「不況の影響もあって、被保護者の95%は本当に困っている人たちとしても、5%ほどはどうも“クロ”という人がいる」
 過去の不正受給の大きな事件といえば、07年に北海道滝川市でタクシー会社と結託して通院移送費2億円以上を不正受給していたものがある。 この場合も含めて、不正受給者は圧倒的に暴力団関係者が多く、自治体も弱腰の対応が目立った。
  「過去には京都市の担当課長が府警に出向いていって、『市の担当職員にも拳銃を持たせろ!』 と窮状を叫んだという逸話が残っているほどです」 ( 同 )
 暴力団が関与する場合は、生活保護費がそのまま上納され組の資金源となる場合が多かった。 そこで06年以降は市区と警察が連携し、申請者が構成員であるか照会を行えるようになった。 もちろん、関係がわかった時点で申請は認められない。 それでも昨年、埼玉県深谷市で暴力団関係者に惘喝されたことから約1940万円を不正に支給していた事件が発覚している。
  「警察への照会や、組との絶縁状を提出させるなどして、確認をとってから生活保護を認めるようにしていますが、それもどこまで関係を断っているのか判然としません。 まして、覚醒剤や違法ドラッグの密売などをしている関係者は、収入所得を裏付けるものがありませんから、稼動収入がゼロと申告されれば支給せざるを得ないのが実態です」 ( 同 )
 ひと昔前までは、資産価値のある自動車を他人名義にして生活保護を受けるなど、裏で派手な生活を送るための不正が多かったようだが、最近では限り無く“クロ”に近い受給の仕方で、働かないで済ませたい、という地味な申請者も多いようだ。


《 池田大作氏の著作を買う受給者 》

 生活保護を受ける理由のひとつに 「就労阻害要因」 がある。 仕事をしたくても仕事に就けない理由なのだが、東京ではそのうちの3~4割を傷病が占める。
  「傷病による受給が認められるには、医師の診断書が必要になります。 このうちの半分は精神科の診断書ばかりです」 ( 東京のCW )
 例えば、会社に行くとうつ状態になって働けない、というのも立派な病気。 それを役所に提出すれば、生活保護の対象となるのだ。
  「明らかなケガや病気の痕跡がなくても、本人が“痛い”と訴えれば、医師は診断を下さなければならない。 その領域を役所が侵すこともできません」 ( 同 )
 前出の関西のCWによると、福祉事務所へ相談にやって来る女性の多くは 「離婚したらいくらもらえる?」 と、質問するという。 離婚した後の暮らしも国に面倒を見てもらおうというつもりらしい。
 あるいはこんな水商売の女性のケースも。
  「不景気で仕事もあがったり。 そこでDVをでっちあげて保護を受け、DVシェルターのアパートに入れてもらった。 すると、廊下には鰻やら鮨やらの店屋物の器がずらりと並んでいて驚いた」 ( 元銀座ホステス )
 古今東西を問わず、生活保護の申請を積極的に後押しするのが地元の市区会議員。 特に申請に共産、公明の2大政党の議員が立ち会うケースが多い。
  「公明党の議員が付き添ってきた独り暮らしのお年寄りの家を調査にいったら、ろくな家財もないのに池田大作全集だけがずらりと並んでいたことがあった」 ( 別の関西CW )
 さすがにこれは 「売っていくらになるものかわかりもしない」 と資産とは認めず、支給の対象にした。 ところが、この老人はその生活保護費で、再び池田大作氏の著作を買い込んでいく。
  「保護費で何を買うかは本人の自由ですから。 それが心の支えというなら、妨げる理由は何もありません」 ( 同 )

 そもそも、生活保護受給者の半分は高齢者。 年金が受け取れなくても、その分を生活保護が補ってくれる。 東京都で68歳の単身世帯の場合、住宅扶助も含めて月に13万4520円が受け取れる自営業の年金加入者が月に7万円も受け取れないのと比べると、医療費もすべて無償となる生活保護を受けて暮らしたほうがずっといいに決まっている

 いったい何を基準にして 「最低限度の生活」 とするのか、甚だ難しいところ。 母子家庭だってたまには鮨や鰻を食べたくもなる。 しかし、生活保護はあくまで自立支援を目的とした善意の制度なのだ。 働かなくても国が面倒を見てくれるそんなモラルハザードを許容などできるはずもない
 世界同時不況や非正規雇用の問題もあって、貧困が社会問題化し、セーフティーネットの破損を指摘する声もあがるが、毎年確実に生活保護費は右肩上がりで増えている。 1997年度に1兆6649億円だったものが、06年度には2兆6749億円と、この10年で1兆円も増えている。 異常な膨張ぶりだ。
 ここで根本的に社会保障制度の在り方を見直さなければ、この国の先行きこそが限り無く真っ黒に近づく。




( 2010.06.14 )


  


 生活保護受給世帯が全国最多の大阪市 で、外国人の受給者が初めて1万人を突破したことが13日、市への取材で分かった。 10年前の2.2倍で、市内の外国人登録者の12人に1人の割合。 最も多い在日韓国・朝鮮人で国民年金に加入していない 「無年金世代」 が高齢化した ことが理由とみられる。

 無年金者が年老いることで年々増加している外国人の生活保護受給者。 きちんと保険料を納めてきた年金受給者との支給額の逆転現象 という モラルハザード( 倫理の欠如 )も問題化 している。

 学習院大の鈴木亘教授( 社会保障論 )は 「眼前の困窮者は救済せざるを得ないが、日本にも本国にも保険料を払っていないのは問題」 と指摘。 「確信犯的に年金に加入しなかったケースは、一義的には本人の責任だ」 とみている。

 一方、将来的な無年金者の増加を見越して制度を整備してこなかった国の怠慢ぶりも浮かぶ。 鈴木氏は 「問題解決には、2国間で年金の加入期間を相互に通算できる社会保障協定を早急に各国と結ぶしかない」 と指摘。 韓国との間では2004年に締結し、ブラジルとは09年から協議中だが 「対応が後手に回り過ぎている」 と批判する。

  「これ以上、安易に生活保護に 『ただ乗り』 させてはならない。 保険料を払っていない人は強制的に帰国させるぐらいの仕組みが必要だ」 と鈴木氏。 「早く手を打たないと、外国人労働者らが集中する 都市部で将来、大問題に発展する 恐れがある」 と警鐘を鳴らしている。






( 2010.07.03 )


 誰がみても怪しいと感じるはずだ。
 2年前に帰国した中国残留孤児の老姉妹を介護するため、と親族と称する中国人48人が、5月から6月にかけて集団で日本にやってきた。 在留許可を受けると、すぐさま大阪市に生活保護を申請したのだ。

 この時点で、あるいは入国の段階で、来日の狙いを疑うべきだが、お役所はそうは考えなかったらしい。 法律にのっとり、申請に不備はないからと32人に生活保護の受給を認めた。 6月分として既に26人に計184万円が支払われ、7月分はさらに6人を加えて計241万円にもなる。 生活保護費は日本国民の税金である。 あまりにも審査が甘すぎる。

 入管難民法は 「生活上、国または地方公共団体の負担となる恐れのある者は上陸を拒否する」 と規定しており、入国審査の際には生活を支える身元引受人が必要だ。 今回の中国人たちも第三者の身元引受人が用意されていたが、1年以上の在留資格を得た直後に、この身元引受人が扶養を放棄したという。 ここからして不自然だ。

 外国人の場合、在留資格があり要保護状態であれば生活保護法を準用するとの国の通達がある。 これも問題だが、申請を受けた大阪市は形式的に要件が整っていれば受理せざるをえないという。 お役所仕事というしかない。

 最近、路上生活者らに生活保護を受けさせてピンハネする貧困ビジネスが相次いで摘発されている。 今回のケースも、組織犯罪的な生活保護費の不正受給が疑われ、大阪府警も注目している。

 大阪市は生活保護の受給率が全国でも群を抜いて高く、受給者は4月現在で14万1672人、市民の20人に1人に達する。 外国人の受給者も1万人を超えた。 しかも毎月3千件前後の新たな申請があり、審査に十分な人手と時間がかけられないのが実情なのだ。 そこに貧困ビジネスがつけこみ、さらに申請が増加する悪循環だ。

 生活保護は困窮者に最低限の生活を保障する最後のセーフティーネットというが、このままでは制度そのものがしかねない。

 大阪入国管理局は今回の中国人グループの入国経緯について再調査を決めた。 在留許可の取り消しも含め厳しく対処してほしい。

 これは氷山の一角かもしれない。 貧困ビジネスの跋扈ばっこや不正受給を許さぬために、水際で食い止めなければならない。





外国人受給
  「

 生活保護は生活困窮者に最低限度の生活を保障する “最後のセーフティーネット”。 しかし、膨大な保護費は国家財政を圧迫しており、政府は働ける受給者に就労や自立を求めたり、不正受給への罰則を強化したりするなど、保護費抑制方針を打ち出している。 そうした中で、増加を続ける外国人受給者。 専門家は 税金が外国人の生活保護費に回り、際限なく増えている現状は問題だ」 と指摘する。


ニューカマー急増

 本来、生活保護の対象は生活保護法で日本国民に限定されている。

 しかし昭和29年、当時の厚生省が外国人の生活困窮者に同法を準用すると通知して以降、永住や日本人配偶者など在留資格を持つ外国人にも人道的見地で支給されてきた。

 近年増加傾向が目立つのが、1980年代以降に来日した 「ニューカマー」 と呼ばれる外国人だ。 平成22年7月現在、中国人の受給世帯は4018世帯( 前年同期比664世帯増 )、ブラジル人は1455世帯( 同516世帯増 )に上る。

 「単純労働目的で入国し、失業後に生活保護を受給する外国人が増えている。 本国に帰りたいという人は少ない」。 政令市の担当者はこう打ち明けた。

 フィリピン人の受給世帯は4234世帯( 同835世帯増 )。 日本人配偶者と結婚後に受給するケースも少なくないという。


医療券「通行手形」

 横浜市郊外の住宅街。 2階建てアパート12世帯のうち6世帯がフィリピン人世帯だ。 市内の病院で医療事務を担当する60代の女性は、ここの複数のフィリピン人女性が保護受給者に発行される 「医療券」 を手に病院を訪れると証言する。

 医療券を病院に提出すれば医療費は無料になる。 「彼女たちは性病検査や 『肌がかゆい』 など緊急性の低い症状でも受診に来る。 ブランド品の財布を持っていたのは驚いた」 と女性。 現在、医療扶助は保護費の半分を占める。 生活保護に詳しい熊本県立大の石橋敏郎教授( 社会福祉法 )は 「医療券がどこでも使える通行手形になっている。 窓口負担もない医療扶助は見直しが必要」 と話す。


年金との逆転現象

 外国人、特に全体の3分の2を占める韓国・朝鮮人の中には国民年金未加入者が少なくない。 老後は生活保護に頼ることが多く、年金未加入の外国人は今後の受給予備軍だ。

 問題はさらにある。 「働いて保険料を納めた人の年金額が、生活保護受給額より少ない逆転現象が起きている」。 石橋教授はこう指摘する。 東京23区の場合、68歳の人の 生活保護は、住宅扶助を含め月13万4520円。 だが、保険料を40年間納めた人が受け取る老齢基礎年金は月6万5541円保護費が国民年金を2倍以上も上回る 計算だ。

 2年前には中国・福建省出身の日本人の親族とされる中国人48人が入国直後、大阪市に保護申請した問題もあった。 石橋教授は 「来日後まもなく生活が苦しいからと保護を受けることに厳しい意見もある。 入国管理行政をきっちりする必要がある」 と話している。




 最初に 「人道的見地から」、なんて甘い事してくれたもんだから今になってこの様か。 「単純労働目的で入国し、失業後に生活保護を受給する外国人が増えている。 本国に帰りたいという人は少ない」 …… だってさ! そりゃそうだろ! こんな至れり尽くせりしてくれる国、 他にある?

 にもかかわらずだ、 国民年金は収めず、 老後は生活保護でと、 まじめに保険料を払っている日本人よりも2倍以上も多い額を受け取っている奴ら の大半がッ! 反日の南北朝鮮人っていうんだから あっははははははははっは !! ふざけてんのかっ !!!

 日本には、こいつらの老後を何としてでも保証してあげたいっていうサヨクの連中が沢山いる。 そいつらだけからさっ引いて外国人の保険料を賄ってあげたらいいんじゃないでしょうか?
 元々そうしてあげたい心の優しい人達でしょうから、きっと喜んで引き受けてくれるはず。 ていうか、そうした提案を自ら申し出てこないのが不思議なくらいです。
 何かって言うとしゃしゃり出て来る親切で心優しいサヨク連中はこういう時こそしゃしゃり出てこなくちゃだよ? 遠慮すんな!
 こんな連中に使われたくないって人達からも今まで問答無用で使われてきた訳だから、 まさか自分たちだけから引かれるのは公平じゃない! なんて言う訳がないよね。






( 2013.02.24 )

 

 中国人一族はチェック態勢の不備を突き、公金を食い物にしていた。 堺市南区に住む中国人が、国民健康保険の加入者が海外で支払った医療費の一部が給付される 「海外療養費支給制度」 を悪用し、療養費をだまし取った事件。 大阪府警が詐欺容疑で逮捕した20~50歳の中国人男女13人はほとんどが親族関係にあり、2年近くの間に9件の虚偽申請を繰り返し、約240万円を詐取していた。 同区では近年、一族以外の中国人による療養費の申請が相次いでいたが、事件の発覚以降はぴたりと止んだという。 捜査関係者は 「口コミで広がり、公金に群がっていた可能性がある」 と指摘する。

不自然な申請

 「これはおかしい」

 平成23年7月、同区の職員は、中国人の一家から提出された療養費の申請書類に首をかしげた。 書類には、同じような時期に中国人の男( 42 )と娘が中国で入院したと記されていたためだ。

 不審に思い、府警に相談。 府警が現地の病院に確認したところ、入院していないことが分かり、虚偽の申請で療養費をだまし取ろうとしたとして、24年2月、男とその妻らを詐欺未遂容疑で逮捕した。

 同制度は、国民健康保険の加入者が対象。 3ヵ月を超えて日本国内に滞在する場合、国保への加入が義務付けられる外国人にも適用される。

 仕組みはこうだ。 被保険者が海外に滞在中、病気やけがで治療を受けると、帰国後に区役所や市役所の窓口で、症状や治療内容を説明する 「診療内容明細書」 などの書類を受け取る。

 それらを現地の医療機関に郵送し、診療した医師に記入して返送してもらったものを窓口に提出すると、現地で支払った医療費の一部が被保険者に戻ってくる。 ただ、日本国内で保険診療が認められた治療が対象で、臓器移植など治療目的で渡航した場合は適用されない。

 詐欺未遂容疑で逮捕された中国人一族はこれを悪用し、男と娘が滞在先の中国・黒竜江省の病院に風邪で入院したと偽装、治療費の一部の約50万円を請求していたのだ。

 ところが、男と娘の書類は別の医師の名で記入されていたが、筆跡が酷似していることに職員が気付き、不正が発覚した。 ただ、これは事件全体の入り口に過ぎず、その後の捜査で、親族ぐるみの虚偽請求の実態が明らかになる。


親族間で役割分担

 府警によると、一族は中国残留孤児の家族として入国。 一連の事件を主導したのは、詐欺未遂容疑で逮捕された妻の弟( 38 )だった。

 弟は19年ごろ、中国に滞在中に病院を受診。 帰国後に偶然知った同制度を利用したことで、 「書類を偽造すれば、治療を受けていなくても療養費がもらえるのではないか」 と思いついたのだという。

 申請には、病院の領収書なども必要なため、姉の夫である詐欺未遂容疑で逮捕された男に、中国で病院の印鑑が押された偽の領収書を入手するよう依頼した。

 さらに、兄の娘で、日本語が堪能な女子大学生( 23 )に文書の偽造や申請書類の作成を手配。 こうして役割を分担した上で、ほかの親族らに入院したように装って次々と療養費を請求させていった。

 不正受給額は、府警が立件した分だけで21年10月~23年7月の9件の 虚偽申請で約240万円 に上った。

 さらに、最初に詐欺未遂容疑で逮捕された家族が以前、 生活保護を受給していたことも判明 した。 生活保護受給者の場合、長期間海外に滞在する際は自治体に届け出る必要があるが、この家族は無断渡航を繰り返し、中国に滞在していた期間も保護費を受給していたため、保護を打ち切られたという。

 生活保護受給者は医療費が無料のため、保険に加入する必要はなく、この家族は保護が打ち切られた後、国保に加入。 海外療養費の虚偽申請をしており、捜査関係者は 「別の形で金を得ようとして、この制度を狙ったのではないか」 と憤る。


難しい不正防止

 なぜ、虚偽申請は長期間見過ごされてきたのか。

 同区の担当者は、 「申請の真偽を調べようにも、言葉の問題で海外の病院関係者とコミュニケーションが取れなかったり、照会をかけても反応がなかったりして確かめるのは困難」 と打ち明ける。

 こうした事情は、同制度だけに限らない。

 府警が今年1月、生活保護費をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕した大阪府枚方市の60代の中国人夫婦は、 「無収入で資産もない」 と偽って保護を申請していた。

 だが、支給が始まった17年12月以降、夫婦の複数の預金口座には、保護費以外に約4100万円の入金があり、府警が捜査したところ、夫婦は中国にマンションを所持。 入金は、このマンション売却金の一部の疑いが強いことが判明した。

 同市の担当者によると、日本国内の資産であれば、税務当局との協力などで把握は可能だが、 「海外の資産を調べるのは極めて難しい」 という。

 行政関係者の話では、海外療養費支給制度はほかの自治体でも、申請の真偽を1件ずつ病院に確認することはほぼなく、不正受給の狙い目となる恐れはある。

 実際、堺市南区では、逮捕された親族ら以外の中国人からも頻繁に申請があったが、府警が事件に着手して以降はほとんどなく、周辺で虚偽申請が蔓延まんえんしていた可能性もある。 関東では堺市の事件後、暴力団関係者が同様の手口で虚偽申請し、療養費を詐取していた事件も発覚した。

 堺市は事件の発覚後、中国語のできる臨時職員を雇用。 現地の病院への確認を徹底するようにしたほか、渡航歴を確認するため、申請時にはパスポートを提出してもらうなどの不正防止策を取っている。

 




( 2010.07.10 )




 大阪市西区に住む中国福建省出身の日本人姉妹の親族とされる中国人48人が入国直後、市に生活保護を申請した問題が、国内の中国人ら向けの新聞( 華字紙 )で大きく報じられている。 不況の中、生活に困窮する在日外国人は多く、生活保護に対する関心の高まりが背景にあるとみられる。 ただ、中には受給ノウハウを指南するような特集記事もみられ、“生活保護のススメ”とも取られかねない内容が波紋を呼びそうだ。



 週12万部を発行している華字紙 「東方時報」 ( 東京 )は、8日付の1面トップで今回の問題を報じた。 主に日本の報道機関が伝えた内容を紹介したほか、2ページにわたって 「在日華人はどのように生活保護を申請すればよいか」 と題する特集記事を掲載。 厚生労働省や法務省入国管理局に直接取材して得た回答を一問一答形式で紹介している。

 この中で、外国人の生活保護受給の可否について 「生活保護法の対象外だが、昭和29年に出された当時の厚生省通知に基づき、生活が困窮している外国人には法が準用される」 と記載。 申請条件として、原則10年以上の日本在留など、一定の要件を満たせば許可される一般永住者や日系・難民などの定住者-といった在留資格が必要と説明しているほか、 「原則は本人申請」 「扶養義務者や同居する親族も申請できる」 などと具体的に伝えている。

 在日中国人が親族らを日本に呼び寄せるケースは多く、法務省によると、国内の外国人登録者は近年中国籍が急増。 平成19年に韓国・朝鮮籍を抜きトップとなり、21年末で68万518人と全体の3割超を占める。

 一方、大阪市によると、在日外国人の4月現在の生活保護受給率は、市全体の受給率( 5.3% )を上回る8.3%。 在日外国人の生活支援に取り組む同市のNPO関係者は 「外国人は生活基盤が脆弱ぜいじゃくで不況などの影響も受けやすい」 と指摘する。

 特集を担当した東方時報の男性記者によると、定住の在留資格を得て来日しながら、派遣切りや雇い止めで職を失うなど生活に困窮する中国人らは多いという。 記者は 「今回の問題が明らかになる前から特集記事の掲載は決まっていた。 ( 日本社会では )生活保護の受給に厳しい意見も多いが、外国人でも本当に困窮すれば受給の権利があることを知らせたかった」 と話す。



 また、週10万部発行の 「中文導報」 ( 東京 )も、8日付の1面記事で大量申請問題を報じた。 申請を受け付けた西区役所にも電話取材し、 「定住者の資格があり生活が困窮している以上、支給を認めざるを得なかった」 とする職員の談話を掲載。 大阪市の今年度の生活保護費は2863億円で、市税収入の5割近くに迫ることにもふれ、 「不正受給に敏感」 と解説した。 楊文凱編集長は 「大量申請問題は中国国内でも高い関心を集めている」 と話す。

 ただ、生活保護の受給を推奨しているとも受け取られかねない記事には厳しい声もある。 日中情勢などに詳しい中国出身の評論家、石平氏は 「中国国内では生活に困窮している人は何億人もいる。 華字紙の特集には、中国人永住者や帰化した人らに対し 『中国からどんどん家族や配偶者らを呼び寄せ、すきを突いて生活保護をもらえ』 というメッセージや発想が感じられる」 と話している。








  


 現在、総額3兆7000億円にのぼる生活保護費は、あと20年もすれば20兆円近くに達する可能性があるという。 年金より先に、日本の財政は生活保護によって破綻することになるかもしれない。


 年収は1000万円を超え、ワゴン車2台を保有。 全国を飛び回って商売をするなど、体力も気力も充実している ― 平均以上の生活を送るこの男には、さらに月30万円近い副収入があった。 生活保護である。
 今月7日、大阪府警は約6年半にわたり生活保護費約3200万円を不正受給していたとして、49歳の露天商の男を逮捕した。
  「男は全国の祭りやイベントを飛び回って、月100万円以上を稼ぎ出しとった。 それやのに、保健福祉センターを訪れて 『俺は病気で働けないんや』 とウソをついて生活保護を受けていた。 容疑は認めたが、 『もらえるものはなんでももらえ、と思っていた』 と開きなおっとるもんやから、呆れるばかりや」 ( 大阪府警関係者 )
 高齢化の急速な進行、ワーキングプアの増加、そして不正受給の増加 ― 。 いま、生活保護制度は爆発寸前の段階にあり、年金制度と同様、いつ破綻してもおかしくない状態にある。
 昨年11月、生活保護を受給している人の数が全国で207万人を突破し、過去最多を更新した。 受給世帯数も150万7940世帯と、同じく過去最多となっている。 厚労省の官僚が、その背景を説明する。
  「昨年7月時点の受給者の数は205万人だったのですが、それがわずか4ヵ月で2万人も増えた。 東日本大震災の影響で失業した方々が、生活保護を一斉に申請したこともありますが、根本的にはリーマンショック以来続く不景気で非正規雇用者が増加したこと、また、年金を受け取れない、あるいは年金だけでは暮らせない高齢者が増加したことが、大きな要因です」
 受給者の急増に伴い、国家と地方自治体の予算に占める生活保護費の割合も大きくなる一方だ。
 '10年度に支払われた生活保護費の総額は3兆3000億円だったが、政府は '12年度の当初予算案で、 「生活保護費支給のために、約3兆7000億円の予算が必要」 と提示している。 2年で4000億円の増加である。
 生活保護の問題に取り組む、民主党の梅村聡参議院議員が解説する。
  「現状で3兆円超えというのも恐ろしい数字ですが、日本では、無年金者、国民年金しか受け取れない高齢者、失業者がさらに増えていくことはほぼ確実です」
 そもそも生活保護とは、 「生活に困窮する人に対し、健康で文化的な最低限の生活を保障する」 ために支給されるものである。
 自治体によって定められている 「最低生活費」 よりも収入が低い、あるいはまったく収入がない場合、その最低生活費を支給してもらえる、というものだ。
 たとえば東京都の場合、一人暮らしなら最低生活費は15万円前後。 夫婦と子どもの3人暮らしの場合、25万円前後が支給されることになる。
 生活保護を申請するにあたり、 「預貯金は最低生活費の半分まで」 「車は原則的に認められない」 「ローンが完済していない不動産は売却すること」 「生命保険は現金化すること」 などの条件があるが、これさえクリアーしてしまえば、ほとんどの人が生活保護を受給できる。 本当に生活が苦しい人の 「最後のセーフティネット」 として、生活保護は機能してきた。




 だが、長引く不景気と高齢化により、生活保護というシステムに軋みが生じているのだ。
  「いまの日本では身寄りのない単身高齢者の割合が増えてきていますが、こうした人たちは年金が少ないため、生活保護に頼らざるを得ない。 さらに就職氷河期世代に限らず、現在労働者の4割が非正規労働者となっています。 彼らのうちの何割かが生活保護を受給する可能性を考慮すると、年金と同じく生活保護制度も破綻することになるでしょうね」 ( BRICs経済研究所・門倉貴史代表 )
 現に、地方自治体レベルでは、すでに生活保護費に財政が圧迫され、 「このままではわが町がつぶれてしまう」 と悲鳴を上げているところが現れている。 地方自治に詳しい、静岡大学の川瀬憲子教授が説明する。
  「静岡県内をみると、特に下田、伊豆、熱海の生活保護率が上昇しています。 近年の不況に加えて、昨年の東日本大震災の影響で観光客が激減し、職を失った観光業者が急増したことが原因です。 伊東市の場合、市財政の約4割弱を民生費( 生活保護費も含まれる )が占めています」 今後、生活保護受給者はどれくらいまで増え、どれくらいまで支給額は増えるのか。 総合研究開発機構( NIRA )は、こんな衝撃的な試算を公開している。
 〈 就職氷河期が社会に与える影響の大きさについて、老後の生活保護給付の潜在的支出額を試算した。 仮に就職氷河期に増加した、非正規雇用者及び無業者が、高齢期に生活保護を受給すると、追加的に必要な費用は累計で20兆円程度必要となる 〉
 現在、年金や医療などを含めた国の社会保障関係費は約29兆円。 それが、就職氷河期世代が60代を迎える20~30年後には、生活保護費だけで20兆円程度必要となるかもしれない、というのだ。
 支給額を減らすのか、支給条件を厳しくするのか。 早急に対策を取らねばならないのだが、同時に進めなければならないのが、不正受給の取り締まりである。
 '09年度に不正受給と認定された件数は全国で約1万9700件、総額は100億円を超えた。 生活保護の総額3兆円超と比較すると少なく見えるが、発覚していないケースが数多くあることと、その10年前の '99年度は4665件( 約33億円 )であったことを考えると、生活保護制度の 「穴」 が急速に拡大していることがわかるだろう。
 冒頭では極端な不正受給のケースを紹介したが、2月3日には45歳の男性が、収入がないと偽って約176万円の生活保護費をだまし取ったとして、高知県警に逮捕されている。不正受給のケースは、枚挙に暇がない。




 最近では 「偽装離婚」 をしてまで、生活保護費を受け取るケースも頻発しているという。 東京都内で活動するケースワーカーが解説する。
  「形式上離婚をして、妻あるいは夫が無職で蓄えもないとなれば、生活保護を受け取ることができるので、離婚する必然性がないのに、生活保護目当てで離婚する人たちが増えていますね。
 さらに、生活保護は子どもの分も支給されますから、生活保護を受け取るほうに子どもを渡して、少しでも多く生活保護を貰おうと考える人もいます。 7人家族の夫婦が偽装離婚して、5人の子どもを引き取つた妻が月30万円以上の生活保護費を受け取っていた、なんていうケースもありました」
 また、路上生活者や低所得者に 「生活保護がもらえるから」 と声を掛けて施設に囲い込み、支給された生活保護費をピンハネする 「貧困ビジネス」 も跋扈ばっこしている。
 生活保護が必要ないのに、もらえるものはもらっておけ。 そんな考えが日本に蔓延しつつある。 不正受給が増えれば増えるほど、国の予算は圧迫され、制度が破綻し、本当に生活に困っている人に生活保護費が渡せなくなるという状況も想定されるのだ。
 また、近年ではネット上で、 「働きたくないので、ナマポ( 生活保護を表すネット用語 )の受け取り方教えてください」 「ナマポの審査が緩い自治体はどこ?」 などの情報交換がさかんになされている。
 不正受給ではないが、働ける環境があるのに、体調などを偽って生活保護を受給するモラルハザードも問題となっているのだ。
 ただ、こうしたモラルハザードは 「けしからん!」 の一言で一蹴できるものではない。
  「虚偽の申告をして生活保護を受け取るのは問題ですが、現行制度では簡単に生活保護申請が通るので、 『もらえるのならもらっておこう』 という考えが出てくるのは仕方がない」
 というのは、経営コンサルタントの城繁幸氏だ。
  「生活保護を月に10万円受け取れば、年収は120万円。 一方、時給800円でアルバイトなどで働いて、月に10万円程度稼ぐのなら、働かずして10万円を貰える方が、当然楽だと考えるでしょう。 また、生活保護を受け取っている人は、働いて稼ぎがあれば、その分だけ生活保護費を減らされてしまうので、一度受け取ってしまえばなかなか働こうという気にはならない。
 今後は小額の年金を受け取るよりも、社会保障費を払わず、生活保護を受けた方が経済的だと考える人が増えていくのではないでしょうか。 結局現行制度のままだと、こうしたモラルハザードが減ることはないでしょうね」
 前出の梅村議員は、 「不正受給も、今後の受給者の急増に対応するのも、結局は制度そのものを変えるしかないのです」 として、こう続ける。
  「生活保護法が制定されたのは1950年。 現在生活保護を貰っている方の45%が高齢者ですが、その当時はそんな状況になるなど、考えもしなかったはずです。 今から60年も前につくられた制度を、現代にマッチするように大胆な変革を行わなければ、国の財政が耐えられなくなるときがきます」




 しかし、残念なことにその取り組みは遅々として進んでいない。 たとえば、不正受給の防止対策ひとつをとっても、次のような“障害”があるのだという。
  「不正受給を防ぐには、不正に生活保護を受給していると思われる人の金融機関の口座をすべてチェックし、ほかに収入があったり、多額の預金がある場合は、支給を打ち切ればいい。
 現状ではすべての金融機関の口座を照会できるシステムが確立されていないので、各自治体が近くの金融機関の支店に、個別に照会をお願いしているという有り様です。 であれば、金融機関が協力して、すべての預金口座の照会ができるようなシステムをつくればいい。 そうすれば一定程度は不正受給を防げる、そう提案しているのです」
 ところが、銀行に 「不正受給防止のために協力を」 と呼びかけても、返ってきたのは、煮え切らない反応だったという。
  「地方銀行はこの提案に協力的でしたが、都市銀行が難色を示したのです。 『同姓同名の人の口座を誤って提示した場合、銀行の信用に関わる』 『非常に負担のかかる作業で、多くの時間を必要とする』 といった言い分かあるようですが、モラルハザードを防ぐことに、銀行側も協力してほしいと思いますね」 ( 梅村氏 )
 生活保護のカネでもいいから、少しでも預金を確保したいという銀行の思惑が透けて見える。 ほかにも、都市銀行のように、本音では 「生活保護費が削減されることを嫌っている」 機関は少なくない。 病院はその典型例だろう。
  「生活保護受給者の場合、病院で治療を受けると、その医療費はすべて国や自治体が負担することになる。 病院も生活保護受給者が通院すれば 『定期収入』 につながるので、ある意味では歓迎しているんです。 彼らが入院すると、国からたくさん診療報酬を受け取るために、必要もないのにレントゲンやらCTスキャンやら、ありとあらゆる検査をする福祉系の病院は少なくない」 ( 都内の医療関係者 )
 受給者以外にもその恩恵に与っている人や機関がある。 だから生活保護制度の改革は、遅々として進まないのだ。
 生活保護は困窮者の生活を支え、社会全体の安定をはかるために導入された制度である。 しかし、これまでみてきたように、生活保護の急増によって日本の財政が破綻してしまうおそれがある。 国の財政が破綻すれば、社会の安定など望むべくもないのは、明白である。






   


 生活保護費の予算が3.7兆円にまで膨れ上がった。 病気や障害などでやむを得ない事情がある受給者も多いが、 「働いたら負け」 の社会になりつつある とすれば、これを放置することは許されない。
 消費税増税の前に、政府の歳出削減を求める意見は多い。 中でも、生活保護費予算が3.7兆円にまで膨れ上がった背景について、与野党が 「年金や最低賃金より生活保護の受給額が高いため、生活保護に流れる」 「医療費の自己負担がないため、医療費が激増している」 などとモラルハザードを指摘している。 病気や障害などでやむを得ない事情がある受給者も多い。 だが、 「働いたら負け」 の社会になりつつあるとすれば、これを放置することは許されない。

  「東京都では、圧倒的に年金加入よりも生活保護の方が得。 医療費無料など、さまざまな特典がある。 年金保険料を払わずに好き放題やって、最後は生活保護に行くというのが一番安易な道だ。 ( 年金保険料を )払った人の方が恵まれるようにならないといけない」

生活保護世帯と一般世帯の格差例
【支給額】
 生保東京
都区部等
生保地方
群部等
国民年金
高齢者単身世帯(68歳)8万820円6万2640円6万6000円
【措置】
 生活保護世帯一般世帯
介護保険介護扶助(原則無料)1割負担
老人医療医療扶助(原則無料)1割負担
JR運賃割引通勤定期3割引対象外
NHK受信料免除対象外
NHK受信料非課税所得に応じ納税
※民主党・桜井充参院議員の事務所作成資料
 民主党の桜井充参院議員は、4日の参院予算委員会で、こう政府に詰め寄った。 桜井氏が示した 「特典」 とは、別表の通りだ。

 生活保護受給者は、月額6万6000円を切った国民年金受給者よりも手取りが多い。 介護や医療費は原則無料で、NHK受信料、住民税なども免除されている。 このほか、地域ごとに上限が定められている( 最大5万3700円 )家賃も受け取れるうえ、光熱水費の減額や母子家庭なら加算もある。

 厚労省によれば、今年1月時点で、全国の生活保護受給者は、戦後混乱期の1951年度( 月平均 )の204万6646人を突破して、209万1902人で過去最高を記録した。

 2012年度予算の生活保護費予算は3兆7000億円で、同年度の税収見込みが42.3兆円だから、ほぼ約9%に上る。 全国最多は、橋下徹市長の大阪市で、18人に1人が生活保護を受給している。

 世帯主が 「働ける層」 ( 15-64歳 )の生活保護受給が急増しているのも大きな問題だ。 リーマン・ショック前の08年8月には、この層の受給割合は9%だったが、11年3月には21%にまで急増している。

 1000万人いるという年収200万円以下の 「ワーキングプア層」 は、年収200万ならば月収は16万7000円ほどになる。 家賃や税金、社会保険料を支払えば、生活保護受給者に比べて可処分所得が下回るケースもある。 「生活保護の方が得」 となってもおかしくはない。

 自民党生活保護プロジェクトチーム座長の世耕弘成参院議員は 「自民党時代は若者が申請に来ても受けなかった。 09年に民主党政権になって、これが一変した。 年越し派遣村の村長・湯浅誠氏が内閣参与に入った厚労省が通達で 『窓口に来た人は、できるだけ早く認めよ』 と出して、タガが外れた。 09年度の生活保護費は2兆8000万円だったが、12年度は30%も増えた」 と話した。

 同党の片山さつき参院議員は先月末の参院予算委員会で、生活保護受給者の中で、在日外国人への支給率や増加率が増えている実態を明らかにした。 人口比で見ると、支給率は3倍以上になる。

 膨れ上がった生活保護費予算のほぼ半分、1兆8000億円超は医療費だ。 1人当たり医療費( 年額 )は、09年度のデータで81.5万円。 国民健康保険( 国保 )加入者は45万円だから、1.8倍となる。

 医師でもある民主党の桜井氏はこの点を問題視して、こう追及した。

  「医療費の自己負担がないので、好き放題とは言わないが、( 本当に )必要な医療だけなのか。 大阪市では生活保護の人以外は看ていない病院が34ある。 新薬を処方してもらったうえで、ネットで販売する貧困ビジネスもあると聞く。 ここにメスを入れていかないと、相当、不公平感がある」

 厚労省保護課は、11年7-9月の段階で、国保と後期高齢者を除く、外来または入院の患者がすべて生活保護受給者だった医療機関が、全国で何と104もあることを明らかにした。

 自民党の世耕氏は 「生活保護の患者は、取りっぱぐれがないので病院にとっては最高のお客様だ。 大きなモラルハザードが起きている」 と指摘する。 財務省の政務三役経験者も 「4500億円は削れるはず」 と話した。

 生活保護の 「家賃補助」 が、 「不正受給」 の温床になっているとの指摘もある。

  「貧困ビジネス」 ( 幻冬舎新書 )の著書があるエコノミスト、門倉貴史氏は 「ホームレスを1ヵ所のアパートなどに囲い込んで生活保護を受けさせ、ピンハネするというビジネスもある。 これが暴力団の資金源になっている場合もある」 と話した。

 下手をすれば国を食いつぶしかねない生活保護だが、一体、どうすればいいのか。

 小宮山洋子厚労相は4日、 「仕組み横断的にやる」 と述べ、具体策は今後に委ねた 自民党は給付水準を10%下げたり、住宅や食事を現物支給することを次期衆院選の公約に盛り込む方針だ。

 消費税と並ぶ、大きな論点となりそうだ。

生活保護
 一般的に高齢や病気などによって、生活費や医療費に困り、ほかに取りうる方法がないときに、困窮の程度に応じて各地方自治体が保護、自立に向けた援助を行う制度のこと。 本人などから申請を受けて、収入・資産・扶養の状況などを調査したうえ、国の決めた保護基準( 基準額 )とその世帯の収入を比較して、収入が保護基準を下回る場合に不足する分が保護費として支給される。 自治体・家族構成・年齢によって保護を受けられる基準額は違い、例えば、東京都杉並区の50代の単身世代の基準額は13万5310円となっている。





( 2012.07.10 )


 最低賃金で働いた場合、1か月の収入が生活保護の水準を下回る都道府県は、11に上ることが厚生労働省の調査で分かりました。

 この調査結果は、10日夜開かれた最低賃金の引き上げについて協議する厚生労働省の審議会で示されました。
 最低賃金は、企業が従業員に最低限、支払わなければならない賃金で、毎年、審議会が示す目安を基に都道府県ごとに決められ、現在の全国の平均は、時給にして737円となっています。
 厚生労働省によりますと、最低賃金で1日8時間、週5日働いた場合の1か月の収入が生活保護の水準を下回る都道府県は、北海道、青森、宮城、埼玉、千葉、東京、神奈川、京都、大阪、兵庫、広島の11に上るということです。
 生活保護の受給額を時給に換算した場合、差額が最も大きかったのは北海道で30円、次いで東京が20円、宮城が19円、神奈川が18円などとなっていました。
 厚生労働省によりますと、こうしたいわゆる逆転現象は、去年、3つの道と県で起きていましたが、生活保護費のうち住宅への手当が増加するなどしたため、最低賃金を上回る自治体が増えたということです。
 審議会では、労働組合側が 「逆転現象を早期に解消すべきだ」 と求めたのに対し、経営者側は 「円高などで経営環境は厳しい」 として引き上げに慎重な姿勢を示しました。
 審議会は、早ければ今月中に最低賃金の引き上げ額の目安を示したいとしていますが、労使の主張には隔たりが大きく、協議は難航することが予想されています。









( 2015.06.09 )

 

  
   



 ニュージーランドのヘッジファンドオーナーの英国の別荘を訪問した際、建造中のヨットの設計図を見せてもらった。 別荘には、なんと、ヘリポートと潜水艦の収納庫もついていた。 別荘のすごさに驚いている場合ではなかった。 さらに息子と娘の成人祝いにおのおのジェット機を買い与えた話を聞いてズッこけた。

 また英国人のファンドマネジャーが 「趣味は農場経営だ」 と言うので 「家庭菜園に毛が生えたものか」 と思っていたら 「南アフリカに4千人の従業員を雇ってやっている。 その農場の作物の生育状況を1日30分聞くのが私のリラックスタイムだ」 という。


 私が見ている限り、外国にいるような大金持ちなど日本にはいない。 それなのに格差是正と称して小金持ちを引きずり下ろそうとしているのが日本社会だ。 本来、格差是正を言うなら、低所得者層を引き上げることに焦点を置くべきだ。 なぜ他国では法人税率の引き下げに対して、日本ほど反対が起きないのか? なぜ日本だけが相続税増税に走り他国は相続税を軽減ないしは廃止する方向に向かっているのか?

 外国人にいろいろ聞いてみたら、どうも法人税や相続税は二重課税だからのようだ。 二重課税だと 「合成の誤謬ごびゅう」 が起きてしまう。 格差是正の名目でただでさえ累進性のきつい所得税をよりきつくし、相続税も重税化した結果、日本は、小金持ちにとって並外れて厳しい国になってしまった。

 所得税+住民税の最高税率55%、相続税の最高税率55%だから、ある一定以上の収入を稼ぐと、さらに100万円を稼いでも子供に20万2500円しか残せない( 100万円×45%×45% )。 これでは、その段階に達した時点で働くのをやめてしまうだろう。 そこから失敗して大損の可能性がある一方、成功してもリターンが少ない 「ハイリスク・ローリターン」 の世界に突入するなら当然の判断だ。

 これでは産業の新陳代謝を促し、将来の労働場所を提供してくれるベンチャーは育たない。 経営者がすぐ降りてしまうからだ。

 ところで、 4月13日の参議院決算委員会での国税庁の話しでは、 勤労者の平均年収は414万円だが、 年収400万円の人の手取り額( 税金と社会保障費を引いた額 )は、 配偶者と高校生の子供2人がいる家庭では、 330万円だそうだ。

 次に厚労省 「配偶者と高校生の子供2人がいる50歳代の生活保護者への給付額」。 東京都三鷹市では340万円だという。 税金や社会保障費は払っていないだろうから、 勤労者の平均と同レベルの手取り額だ。 さらには、 弱者救済ということで、 生活保護家庭は医療費、介護費用、都営地下鉄、バスなどが無料だそうだ。 勤労者は当然これらのコストを自分で払う。 生活保護者のほうが平均的サラリーマンより実収入が多いことになる。

 健康を害して働けない人ならともかく、 働く能力があるのに職が見つからないという理由で働かない人が平均的勤労者より手取り額が多いのは、 明らかに間違いだ。 自衛隊の定員不足や介護要員の不足のニュースを聞くたびに疑問に思う。 これでは誰も働かなくなる。 各役所が 「弱者救済、格差是正」 を金科玉条にバラバラに優遇措置をつけるせいではないか?


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