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遠い自立、受給者の孤独

  「保護費を大切に使う事 117280」
 大阪市住吉区に住む京都出身の元日雇い労働者の男性( 72 )の部屋には、そんな張り紙があった。 11万7,280円が、男性が毎月手にする生活保護の受給額だ。
  「住居費42000 光熱費・電気3500 ガス2500 水道( 2ヵ月 )5500 衛生費・銭湯3日に1回4000+? 散髪2000 洗たく( コインランドリー )2000 食費25000+?( 米含む )…… 小計101500」
  「残った額は肌着、衣類、布団乾燥機代などに残して置く事」 と但し書きもある。 「弁護費5000円」 とあるのは、消費者金融などの借金で自己破産した際の弁護士費用を分割払いしているからだ。 教養費5千円からスポーツ新聞を一紙購読している。
 酒は飲めない。 たばこも20年前にやめた。 ただ月に2回くらい、運の向きそうな日にロト6を買う。 電気代を節約するため、エアコンには黒いカバーが被せられ、粘着テープが厳重に貼り付けられていた。
  「生活保護天国というような報道もあるけど、そんな贅沢とてもでけへん。 ほんまにぎりぎりです」 という。
 男性の生活は驚くほど孤独だ。 月1回、新聞代を近所の新聞店に支払いに行くときに従業員と立ち話をするのが、ほとんど唯一の人との会話だという。
 取材中、男性がテレビを買い換えるかどうかで真剣に悩んでいると打ち明けた。 プロ野球の阪神の中継に力を入れるサンテレビが映らず、好きな野球がなかなか見られないのだという。 ただ、テレビの買い換えは、受給者の生活では相当の出費になる。
 取材を中断し、チャンネルを少し調整すると、ほどなくして、サンテレビは映るようになった。
  「ああこれで、プロ野球の間は生きる楽しみができた」
 男性が、思わず漏らした言葉の孤独な響きが耳にこびりついた。
 30歳で家を飛び出し、約30年間、西成を拠点に日雇い労働者として全国の工事現場を転々とした男性の半生は、そのまま日雇い労働者の街が歩んできた歴史と重なる。
 昭和50年ごろには、その当時でも7~8千円の日当があったが、稼いだ金は翌日には使い切った。 将来のことなど考えたこともなかったという。 昭和から平成の移り変わりも、広島の現場で迎えた。
 50歳を超えたころから、 「保険も年金もなんにもない、これからどないすんねんやろ」 と思うようになった。
 そのうち、建設の仕事はなくなり始めた。 月1万8千円のアパートを借り、屋台でラーメンを売った。 手引きで午後5時ごろから午前2時ごろまで、一杯5百円のラーメンが日に3、4杯しか売れないときもあった。 雨が降ると休み。 年とともに、体も足も悪くなり、平成12年から生活保護をもらうようになった。
  「周りのもんをみるかぎり、生活保護はまだまだ増える。 これから何年世話になるのかと思うと、月1万でも2万でも返したいと思うんやけど」
 昨年は、北新地の飲食店で皿洗いの仕事を見つけ、高齢を押して半年働いたが、足の調子が思わしくなく断念した。
 若い時に親や兄弟と縁を切り、保険も年金もかけず、稼いだ金を使い果たし、年を取ったら生活保護か。 そんな批判は当然あるだろう。 それでも、男性はまだ人として生きるための何かを探して、一人、老いのなかをさまよっているようにみえた。 市の担当者によると、そんな受給者はまれだという。
 男性は言った。
  「医療も受けさせてもらえるし、生活保護はありがたい。 けど、人に迷惑がかからないなら、明日にでも死にたい。 ただ、死んでも、その後始末の金を役所に出してもらわなあかんのです」


申請は毎月3千件

 大阪の生活保護を取り巻く実態を背景に、全国の現場を取材し、産経新聞大阪社会部として、『 生活保護が危ない~ 「最後のセーフティーネット」 はいま~ 』 ( 扶桑社新書 )を出版したのは、平成20年9月だった。 その直後に起きたリーマン・ショツク以降、生活保護受給者数の増加はさらに加速し、制度の底が抜けた。
 21年以降の生活保護の申請件数は毎月約3千件、20年度から倍増し、高止まりしたままだ。 取材を始めた18年度当時、年2,290億円だった大阪市の生活保護予算は、22年度は2,863億円。 わずか4年で1.25倍、20年前の3倍に増加し、3千億円台が目前になっている。 これは、22年度の市税収入6,091億円のほぼ半分を占める規模だ。
 市の直接の負担は4分の1で、残りは国が負担するが、すべて税金でまかなわれていることには変わりはない。 国も地方も危機的な財政状況のなか、制度としてどこまで持ちこたえられるのか。 まさに末期状態と言えるが、国や地方自治体は責任をなすりあうばかりで、議論が深まる気配は一向にない。
  「生活保護の見直しは、どう転んでも票を減らすだけ。 そんなところに本気で手を付けようとする国会議員は自民でもいなかったし、民主政権ならなおさらいない」 とは、政治部員の分析だ。
 生活保護の概略を理解してもらうため、もう少しデータをみてもらいたい。
 22年度の国の生活保護予算は、2兆2千6億円。 最新の受給者数は、135万3236世帯、187万4335人( 22年4月現在 )なので、単純に22年度予算を最新の受給者数で割ると、生活保護は、受給者1人当たり年約120万円、月約10万円の費用で運営されていることになる。 ただ、ケースワーカーなど公務員の人件費はこれとは別だ。
 生活保護は、様々な事情で世帯全体の収入が、国が地域や世帯構成などによって定める最低生活費に届かないと認定されて初めて、不足分が支給される仕組みになっている。 現役の暴力団員には支給しない方針が示されているものの、元ヤクザであれ、前科があれ、生活に困窮していれば、無差別平等に最低限の生活を保障するのが、わが国の最後のセーフティーネットだ。
 最低生活費は、地域や年齢ごとに細かく決められ、医療費や介護費を別にした生活費が1人暮らしで6~8万程度、2人で9~12万円程度、3人で12~15万程度がおおまかな目安。 これに、たとえば大阪市などの都市部では家賃4万2千円か別に支給される。
 多人数世帯ほど受給額は高額になる傾向があり、大阪市では、7人世帯で月約40万円を受給する男性がおりいかがなものかと、市議会で取り上げられたこともあった。 この男性は定職につかない一方、少年野球の監督をしていた。
 国の被保護世帯の構成比を見ると、高齢世帯38.1%、傷病・障害者世帯34.4%、母子世帯9.9%、その他17.5%( 20年度 )。 従来は、高齢者と傷病・障害者、母子家庭がほとんどを占めていたが、リーマンーショツク後、これまで稼動年齢層とされてきた65歳以下の受給者も急増している。
 政令市として全国で最も保護率が高い大阪市だけをみると、受給者は10万8690世帯、14万0946人( 22年3月現在 )。 保護率5.29%( 全国1.47% )。 市全体では、20人に1人、24区のなかで最も保護率が高い西成区では5人に1人、同区のなかでも日雇い労働者の街といわれているあいりん地区( 釜ヶ崎 )では、実に3人に1人が生活保護を受ける状況になっている。


瞬く間に消えた現金5億円

 そんな西成区の生活保護現場はどうなっているのだろうか。
  「生活保護の現状を取材するなら、支給日の西成区役所を見てほしい」
 ある大阪市幹部から、最初にそう聞いたのは平成18年、職員厚遇問題や同和行政の不祥事に揺れる大阪市役所の担当になって1年が経過したころだった。 早速、月初めの支給日に西成区役所を訪ねた。 会議室に運び込まれた5億円の現金が、瞬く間になくなっていく光景に思わず息を呑んだ。
 午前9時、受付開始と同時に庁舎4階の会議室のドアが開け放たれると、月1回の生活保護の現金支給を受けるため、フロアを埋めていた生活保護受給者の一団が、小走りに窓口に向かった。 ほとんどは高齢の男性だが、なかには、子供連れの母子の姿もある。 数分の手続きで、番号ごとに新札の入った現金入り封筒を手渡される。 出口のそばにある事務机では早速、封筒を破り、現金を財布やポケットにしまい込む人が列をなした。
  「危ないから、ちゃんとポケットにしまってから帰ってやあ」
 胸ポケットから封筒を出したまま足早に立ち去ろうとする人に、女性職員が何度も注意する声が会場に響いた。 市役所近くでは、支給日を狙つた、このあたりでいう 「シノギ」 、つまり強盗事件が実際に発生しているからだ。
 会議室前のロビーでは、7、8人の受給者が、セカンドバッグを待った貸金業者らしき男に、受け取ったばかりの茶封筒から現金を渡す姿もあった。
 あいりん地区では、生活保護受給者が平成17年度末で6,200世帯を突破し、10年で5倍近く増加している。 一方、あいりん労働公共職業安定所が日雇い労働者に発行する雇用保険被保険者手帳、通称 「白手帳」 の所持者は、18年度で4,617人とピーク時の5分の1以下に減少し、すでに生活保護受給者と逆転。 日雇い労働者の街は、元労働者たちの高齢化に伴い、生活保護の街へと急速に転換している。
 この日、窓口で生活保護費を現金で受け取ったのは、約4,200世帯。 銀行口座払いなどを加えると、受給世帯は計1万7,800世帯で、支給額は月20億8千万円だ。
 実は、生活保護で支給されるのはこれだけではない。 大阪市の場合、生活保護費の50%以上を占めるのが、医療費の全額を公費で負担する医療扶助費だ。 人口13万人あまりの西成区だけで、平成18年当時で年間約500億円、21年度( 決算見込み )では、607億円か保護費として支給されていることになる。
 大阪市の多くのケースワーカーが、 「生活保護を取―巻く状況は、ここ数年で急激に変わった」 と口をそろえる。 「『もらわな損』 と、権利ばかりを主張する人が増えた」 と。 市内には、住民全員が生活保護を受けている マンションも少なくない。 別のケースワーカーは受給者を訪問したさい、同じアパートの住民に囲まれ 「兄ちゃん、うちにも保護かけてえなと口々にせがまれた」 と苦笑した。
 区役所で離婚届を出したその足で、生活保護の申請に来る人もいる。 「母子家庭になったら保護を受けられるって聞いたのに」 と、役所の玄関先に 「元夫」 を待たせ、あけすけに不満を口にする母親。 「母子家庭でもがんばってはる人はいくらでもいてはるで」 。 担当者はそう返すのが精一杯だった。
 大阪市幹部は 「高齢化が進み、自立できない人が増えている。 今日的な生活保護の意義を考えなくてはならない。 戦後65年の社会状況の変化に制度がついていっていない。 制度は疲れ切ってしまっている」 と話した。


拡大する貧困ビジネス

  「最盛期は、約50人の受給者から毎月100万円ぐらい集金した。 収入はすべて保護費だった」
 そう供述したのは、大阪府警捜査四課が詐欺容疑で逮捕したNPO法人 「いきよう会( 解散 )の元代表だ。 同和関係団体を匂わせる名刺や動物愛護団体の名刺を持ち歩き、大阪市だけでなく和歌山市、石川県金沢市、広島県福山市などでも保護申請に同行していた。
 22年度に入り、大阪では 「囲い屋」 など、生活保護を食い物にした貧困ビジネス業者の摘発が相次いでいる。
 生活保護受給者の敷金や引っ越し代などを詐取した疑いで、府警捜査二課が逮捕した自称NPO法人幹部は、自身も元受給者。 その経験をもとに 「外形的な状況さえそろえておけば、役所はあれこれ聞いてこない」 と仲間に貧困ビジネスのツボを伝授していた。
 こうした敷金がらみの貧困ビジネスだけで、大阪市が 「要注意」 と警戒する団体・業者は30を数えるが、行政にとって要注意の業者でも、受給者が 「保護を受けさせてくれた」 と恩義に感じるケースが少なくない。
 大阪市旭区のマンションに住む男性( 61 )は、自動車修理や建築業など職を転々とするうち生活苦に陥った。 知人から西成区の団体を紹介され、保護を申請したのが約三年前。 「あの団体がなければ、飢え死にしていたかもしれない」 と率直に明かす。
 一方で、団体の指示により、別の区に転居したこともあった。 なぜ引っ越すのか、説明はなかった。
  「団体の代表が保証人になってくれた。 嫌とはいえない。 敷金などは役所が出してくれたはず」
 この団体の代表者は、 「路上生活者の支援に一定の経費がかかるのは事実。 ゼロゼロ物件と思って斡旋しても、実際は誇大広告でいろいろ条件がついて費用が必要になる場合もある。 ピンハネはしていない」 と正当性を主張、現在も活動を継続中だ。
 長年、困窮者支援に取り組んできた市内の団体幹部は、 「生活保護関連のビジネスで、悪質かそうでないかの線引きは難しい。 底辺にいる人には、天使でも悪魔でもいいから救いあげてほしいという考えもある。 国が生活保護以外に路上生活者を救う仕組みを持たない以上、貧困ビジネスは今後も拡大していく」 と予測した。


中国人の大量申請

 生活保護のプロジェクトチームを設置し、不正受給や悪徳業者の告発にも積極的に乗り出すようになった市が次に狙いを定めるのは、貧困ビジネスの最大の温床とされる医療機関だ。 生活保護受給者の医療費を全額公費で負担する医療扶助は、保護費全体のほぼ半分を占め、大阪市では平成20年度に1,129億円。 敷金や家賃などとして受給者に支給される住宅扶助363億円の3倍以上にのぼる。
 医療扶助をめぐっては、奈良県大和郡山市の医療法人雄山会 「山本病院」 ( 廃止 )で、受給者への不正な医療行為や診療報酬詐欺が発覚したばかりだ。 同病院の20年度の入院患者のうち、6割にあたる264人が大阪市からの受け入れ患者で、府内の病院との間で受給者を紹介し合う不ットワークの存在が判明した。
 大阪では、 「ナイチンゲール主義」 を標榜し、身寄りのないお年寄りや精神障害者など、引き取り手の少ない生活保護受給者を食い物にしていた旧安田病院グループの診療報酬詐欺事件が知られているが、医療関係者は 「そのノウハウは今も多くの病院で引き継がれている」 と打ち明ける。
 今年4月には、大阪市西成区の受給者から向精神薬を買い取って転売した男が麻薬取締法違反容疑で摘発される事件があり、精神疾患で医療機関を受診した受給者322人のうち、80人が基準以上の向精神薬を受け取っていた実態も表面化し ている。
 市は、 「専門性の高い医療行為に役所が介入することは難しい」 「患者の受け入れで協力してもらうことかあり、病院と対立すると仕事ができなくなる」 と及び腰だったが、生活保護費の急増を受けて、ようやく重い腰を上げた。
 レセプトデータに基づく市の調査では、府内の34医療機関に入院または通院していた患者全員が受給者だったことがわかり、当面、市内の16医療機関を対象に、立ち入り調査に乗り出す方針だ。
 さらに今年、新たに発覚し、市を揺るがしたのが、中国人の生活保護大量申請問題だ。 中国・福建省出身の日本人姉妹の親族とされる中国人48人が、今年5月から6月に入国した直後に生活保護を申請し、うち32人の受給が決まっていたことが判明した。
 実は、市では外国人の生活保護受給が1万人を突破している。 長年放置されてきた在日韓国・朝鮮人などの無年金問題などがその要因とされている。 なぜ外国人が日本の生活保護を、と思われるかもしれないが、 「永住者」 「日本人の妻」 など在留資格がある外国人が生活に困窮した場合、生活保護を準用するという昭和29年の厚労省通知がその根拠になっている。
 とはいえ、生活保護が膨れ上がるなかでの今回の中国人の大量申請に、市は厚労省や入国管理局などと折衝を繰り返した末、 「結果的に生活保護受給を目的として入国したと見なさざるを得ない場合などは、市が独自に打ち切りを判断できる」 とする回答を厚労省から取り付け、支給打ち切りの方針を決めた。
 騒動は今のところ収束に向かっているが、帰国する中国残留邦人が高齢化するなか、在留資格を得た親族が生活困窮に陥った場合、その対応をどう考えるのかという根本的な問題はそのままになっている。


受給目的で大阪へ転入

  「大阪は自治体が甘く、よそに比べて生活保護を簡単に受けられるからこういうことになるのではないか。 同和問題や在日外国人、暴力団がらみでは今でもかなり弱腰だと聞く。 そういう体質が生活保護でも出ているんじゃないか」
 大阪で生活保護の取材をしていると、そういった類の質問を受けることが一度や二度ではない。 いわゆる 「大阪悪玉論」 だ。 インターネット上などでは、 「ダメ大阪を日本から分離すればいい」 というような意見も珍しくなくなった。
 実際、 「別に組員を名乗るからといって、個人ならそれほどたじろぐことはない。 でも、政党や労組がらみであれ、新左翼系であれ、右翼系であれ、行政に圧力をかけることに長けた団体には、窓口では基本的に強くは出られない」
 市のケースワーカーがそう打ち明けるのを聞いたことがある。
 私は、大阪悪玉論のすべてに、根拠がないとは思わない。 しかし、生活保護の問題は、国全体の問題であり、今の大阪の姿は近未来日本の姿だと考えている。
 昨年12月に市に生活保護を申請した2,816人のうち、1割近い274人は、半年以内に31都府県から転入していたことが判明している。 なかには、自治体から大阪への行きだけの交通費、いわゆる 「片道切符」 を渡されてきた事例もあった。
 送り手側の見識が問われるのは当然だが、かつて日雇い労働者のための簡易宿泊所だった 「ドヤ」 の多くが、生活保護受給者にターゲットを絞った 「福祉マンション」 へと名前を変えつつあるように、生活保護が地域経済に組み込まれつつあるという現状が大阪にはある。
 一度入ったらなかなか抜け出せず、そのままでいるうちに周囲からは孤立していく。 そんな 「生活保護の罠」 に、都市ごとはまり込んでしまったのが今の大阪の姿ではないか。


年金より生活保護

 私は、今の生活保護制度は、少なくとも5つの深刻な問題を抱えている と考えている。
 第1は、年金や雇用対策、在日外国人政策などの不備を、すべて生活保護にカバーさせてきたことによる制度破綻。 年金との乖離一つを例にとっても、それは明らかだ。
 厚労省によると、国民年金の基礎年金のみの受給者は1,151万人いるが、老齢基礎年金では、40年間かけ続けても支給額は月6万6千円あまり。 未加入期間のある人も多く、平均支給額は月4万9千円にとどまっている。
 これに対し、都市部の65歳の単身世帯の生活保護費の算定モデルでは、生活扶助7万9,530円、住宅扶助が4万2千円の計12万1,530円だ。
 貧困問題の研究者の間では、所得だけで見れば本来、生活保護が受けられる水準にあるにもかかわらず、保護を受けていない人は受給者の3~4倍にのぼるというのが定説になっている。 「年金と生活保護では、制度の性格が違う」 と厚労省は繰り返すが、これでは 「年金などかけなくても生活保護をもらえばいい」 という声が増えて当然だ。
 2つ目は、すでに触れたように受給者の増加による財政問題。
 3つ目は、3代、4代にわたって生活保護を受け続ける世帯が出始めたように、制度からの自立の難しさ、貧困と生活保護の連鎖の問題だ。
 そもそも、生活保護法はその第一条で 「最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする」 と謳っている。
 生活保護法の制定時に厚生省社会援護局保護課長だった小山進次郎氏( 故人 )は、著書『 生活保護の解釈と運用 』 のなかで、自立に込めた当時の思いをこう書いた。
 《 最低生活の保障と共に、自立の助長という目的の中に含めたのは 「人をして人たるに値する存在」 たらしめるには単にその最低生活を維持させるというだけでは十分ではない。
 おおよそ人はすべてその中に何らかの自主独立の意味において可能性を包蔵している。 この内容的可能性を発見し、これを助長育成し、しこうして、その人をしてその能力に相応ふさわしい状態において社会生活に適応させることこそ、真の意味において生存権を保障する所以である 》
 制度開始から60年、当時の高い理想とは裏腹に、世代をまたいだ生活保護の連鎖が全国で相次いでいる。 関西国際大学の道中隆教授が、堺市理事時代の平成18年に実施した抽出調査では、生活保護受給世帯のうち25.1%が、過去に生活保護受給世帯で育った経験があることが判明した。 記録はないものの、成育歴などから、受給世帯で育った可能性が高い例は他にも多数あり、実際の継承率はさらに高いとみられる。


貧困はひとごとではない

 20年7月の国の被保護者全国一斉調査をもとに、独自にデータを分析してみた。 同調査によると、収入増による自立( 死亡などによる廃止を除く )は1月に2,569世帯。 同年の生活保護受給世帯は114万8,766世帯なので、自立世帯数を12ヵ月分に換算して単純に割ると、生活保護からの自立率は年2.7%という数字が出る。 これは、現場で聞いたケースワーカーたちの実感とほぼ一致する割合だ。
 ただ、厚労省の担当者は 「そうした計算ができることは否定しないが、経済的な自立だけが自立ではないと考えている。 受給者に、高齢者や障害者が数多く含まれるなかで、そうした単純計算で出した割合をそのまま自立率として国が示すことには問題がある」 とする。
 厚労省がなぜ自前の分析を行おうとしないのか、その理由がわからない。 この危機的な状況にある制度を改善するためには、まず正確な実態把握こそ必要ではないか。
 問題の4つ目は、制度をとりまく規範意識やモラルの崩壊だ。 不正受給や貧困ビジネスの問題についてはすでに触れた。 児童虐待事件を起こした家庭の多くが、生活保護の受給世帯である事実からも目を背けるべきではないだろう。 アルコール中毒やギャンブルヘの依存から抜け出せず、生活保護費を使い込んでは、借金に手を出す受給者も少なくない。
 不祥事が相次ぐケースワーカーたちの荒涼とした現場にも、目を向ける必要がある。
 生活保護の急増に伴い、慢性的なケースワーカー不足に陥っている大阪市は、今年から3年の任期付職員220人あまりを追加募集したが、ただでさえ厳しい職場を 「期間職員」 で埋め合わせてしまった。 新人ケースワーカーたちがその士気をいつまで保ち続けられるか心配だ。
 生活保護の問題は、決して受給者と行政だけの問題ではない。 生活保護の窓口では、いとも簡単に放棄される扶養義務が大きな問題になっている。 自分は関係ないと思っていても、親戚や友人にまで話を広げると、どこかで貧困に突き当たるのが、現代の多くの日本人ではないか。
  「誰にも迷惑をかけずに普通に暮らしていきたい」 と思っても、倒産やリストラ、病など、わずかな偶然が重なれば、いつ自分自身が貧困に陥ってもおかしくない。 貧困がひとごとでなくなったとき、生活保護以外に頼ることができる選択肢を、我々はいくつ持ち合わせているだろうか。
 5つ目の問題が、国や行政の思考停止だ。 これには、報道の責任も大きい。 生活保護を巡る報道は、長らく主に2つのパターンしかなかった。 生活保護を希望する人をすべて 「弱者」 として正当化し、悲惨な餓死事件などをきっかけに支給不足を徹底的に批判する行政たたき。
 そして、逆に不正受給などをきっかけに手のひらを返したように展開する受給者たたきだ。 最近は、財政面での問題や、貧困ビジネスの報道なども相次いでいるが、冷静な議論のための材料をどこまで提供できているだろうか。 自戒を込めて取り組みたい。


国の根幹を揺るがす

 そんな生活保護に、はたして処方箋はあるのだろうか。 抜本的な解決は至難の業だということを承知したうえであえて私見を述べると、象徴的な意味からも、まず世代をまたいだ生活保護の連鎖を断ち切る必要があると考える。 教育支援はもちろん、場合によっては親権の制限も検討するべきだ。
 現状では、ほとんど機能しているように見えない生活保護にいたる前の第二のセーフティーネットも重要だ。 踏み台として、分かりやすく使いやすい制度に設計し直す必要がある。
 高齢者や障害者、母子家庭、雇用難民、在日外国人など、すべてを対象にしてきた制度を見直し、必要性や自立の可能性などに応じた事業の仕分けを、ここでこそ行うべきだ。 生活保護だけでなく、年金や雇用対策の改善とも連動させていくことが不可欠になる。 そのためにも、正確な実態把握が欠かせない。
 不正受給への制裁措置、扶養義務の履行徹底、行政の調査権限の強化なども、早急に実現するべきだろう。
 そしてなにより、若者が 「働くより、生活保護がいい」 と冗談でも思うような風潮を断ち切るためにも、日本人がその衿持として持っていたはずの勤労、勤勉の価値を再評価する必要があるのではないか。 たとえ高齢や障害などの理由で経済的には生活保護から自立できないとしても、誰かのために役に立てる場が、生きるためにはどうしても必要だ。
 高みから見ればなんとでも言えても、いざ現場に立ってみると、なかなか思うような言葉も対策も見つからないのが、生活保護制度の取材者としての実感だ。 しかし今こそ、その現場に立脚しながら、何とか改善策を見いだせなければ、国はその根幹から崩れていくだろう。





  Oo
 給与収入があればわかるでしょうに。 なんで5年間もバレなかったんでしょう。 市と税務署はちゃんと情報伝達してたんでしょうか。 してなかったんだろなあ。 大阪にはまだまだこんなイカサマがはびこってまっせ。

大阪府警察HP 不正受給事犯対策について
http://www.police.pref.osaka.jp/02jyoho/fuseijyukyu/index.html

 欠損家庭による生活保護や助成金の不正受給は全国的に行われており、これは氷山の一角。
 5月には、偽装離婚して助成金を不正受給していたバツイチが逮捕される事件も。
 なんだか、生活保護から支給されるお金は沸いてでると思ってる人達が多い!!!!

 
( 2006.07.25 )
秋田市役所駐車場で男性が練炭自殺
  生活保護却下され? 秋田魁新報


 24日午後1時40分ごろ、秋田市山王の秋田市役所駐車場に止めていた乗用車内で、車の所有者の同市の30代男性が死亡しているのを市職員が発見、消防を通じて秋田中央署に届け出た。 車内に練炭を燃やした火鉢があることなどから、同署は自殺とみている。

 男性はことし2度、市に生活保護を申請したが却下されていた。 車は生活保護を担当する保護課が入っている福祉棟の前に止められていた。

 調べなどによると、車はエンジンが掛かったままで、ドアのすき間は内側からビニールテープで目張りされていた。 遺体は後部座席に横たわっていた。 着衣の乱れや外傷はなく、遺書は見つかっていない。





( 2010.02.28 )


 昨年12月25日、西成区区役所( あいりん地区 )では,単身世帯に12万円が生活保護費として年末支給された。 大阪市の生活保護受給者は全国最多の13万8000人。 西成区だけでおよそ2万6800人を受け持っている。 233人のケースワーカーが受給者の相談にのっている。 ケースワーカー1人あたりの持ち分は80世帯と社会福祉法に定められているが、西成区ではおよそ倍の160世帯を受け持っている。

 かってのあいりん地区は建設業者などの仕事の人々が列をなした。 しかし今ではこの地区に住む3万人のうち,1/3の9000人が生活保護受給者になっている。
 昨年3月、厚労省は派遣切りなどで、仕事や住まいを失った人たちを、積極的に支援するよう通知した。 これ以来、大阪市では稼働年齢層( 30代、40代 )の受給者が前年比の4倍に増えた。 まだわりと体も元気な人が、生活保護を受ける事態になってきているのだ。

 大阪市の来年度の保護費は2,863億円。 ふくれあがっていく保護費。 その一部が違う目的に使われているらしい。 居酒屋も支給日には人が集まったが、今は博打場( 違法賭博 )に集まっているという。 壁一面に12台のモニターが映っており,全国各地の競輪や競馬・競艇の専門チャンネルが映っている壁には同じく競輪競馬競艇の新聞が貼られている。 中では飲み物や食べ物が無料でもらえる。 競馬や競艇は売り上げの一部が税として国や地方の財源に当てられる。 正式な売り場以外での販売は法律で禁じられている。 警察もこれを摘発しているが、場所を変えては営業が再開されて、警察の取り締まりとのイタチごっこだという。
 また一方、コインロッカーの近くでは、どうやら覚醒剤( 麻薬 )の売買にも使われているようだ。 0.1gが1万円前後で売られているという。 昨年保護費が支給された日、この現場で覚醒剤の客となった者は40名以上に上るという。 生活保護費の一部はこうしたものに使われている。

 受給者急増の裏には、他の自治体から勧められてあいりん地区にやってくる( 役所が片道運賃を出している )というのも現実のようだ。 大阪府の他の市のみならず、近畿、中国地方などでも、役所から片道切符をもらっている人がいる。 暗に 「西成へ行くと仕事があるんと違いますか」 と仄めかされてくるようだ。 香川県高松市役所で 「職員から大阪行きの高速バスの切符を受け取った」 と話す人がいる。 高松市役所に聞いてみると 「低額宿泊施設があるところで」 と聞かれたので、 「倉敷とか神戸とか大阪市、東大阪市そのあたりにあると説明した」 「ホームレスの人には低額の宿泊施設などを紹介しているのだ」 という。 「そこに行ってくださいとは言わない」 旅費をなくした場合の 「旅費を貸し付ける制度」 でチケットを購入し渡しているのだ。 「低額宿泊所を聞かれたから言ったまでです」 「ですからそこに行ってくださいとかは一切申しておりません」 あくまでも大阪行きを誘導したのではないと言いきる高松市の担当者。 子どもか、どこかのモンスターが言っているのと同じような話だ。 根底には仕事がないということに対応せず、 「生活保護は他所で!」 というだけの対応になっているだけなのだ。 これはある意味、地方の問題ではなく、日本全体の問題でもあるのだ。 地方に一律的に任せると、こうしたお荷物のなすり付け合いが起こるといういい例なのだろう。 こうなると地方自治も難しい段階に入っていくだろう。

 他府県からの流入問題は、2月9日大阪市の特別調査プロジェクトで初めて、公の問題として取り上げられた。 大阪市の平松市長は 「大阪のどこ」 と聞かれて 「そこそこ」 と言われて( 大阪に来た)人が厳密に言うと 『 生活保護申請に来たのではない 』 という向こう( 他府県の )言い分」 だという。 これは、さっきの覚醒剤などの暴力団組織のやり方と同じである。 生活保護費を他( 大阪 )で取らせて、自分の肥やしにするか、自分の責任逃れに使うかの違いだけである。 生活保護者を使って、自分の責任を避難させている。 これは責任の擦り合いでは解決しないだろう。 なぜなら、問題の所在は、 「仕事がないこと」 にあるからなのであって、その対策が取れない限り、問題の解決にはならないだろう。
 生活保護費の費用は、国が 3/4 で自治体が 1/4 を請け負っている。 「西成へ行ったらどうですか」 と暗にほのめかし( 認めはしないが )誘導する。 そして、生活保護費の支給日に、保護費が賭博や覚醒剤に使われている。 それもこれも、仕事のために集まった人に仕事がないからである。 この不景気風に活況を与えるにはどうしたらいいんだろう。 将来的な所得もなくなり、消費を求めても無理だろう。 安さよりも将来に対する所得の安定性が見込めれば消費は伸びるだろう。 成果主義はこの安定性をはぎ取ったのだ。





( 2011.03.05 )

  


 2009年度に 「生活保護の不正受給」 と認定された件数は、全国で1万9700件にのぼる。 なかでもトップは大阪市で2012件。 実に全国の1割以上を占めているが、そこには驚くべき不正受給の実態があった。

 大阪市では現在、18人に1人が生活保護を受けている計算で、生活保護費は市の予算の約17%を占めている。 生活保護費の4分の3は国庫負担だが、それでいてこの額なのだ。

 「こうした現状をなんとかしようと、2009年9月に 『 生活保護行政特別調査プロジェクト( PT ) 』 を立ち上げました。 不正受給や不正請求に対する監視、調査も行ない、これまでに16件の不正案件が逮捕に至っています」 ( 大阪市の健康福祉局生活保護調査担当課 )

 そのひとつが、昨年11月に詐欺罪で有罪となった女性占い師のケース。 「住む家も資産もない」 として生活保護を受給していたが、実は神戸市内に豪邸を構え、数千万円もの預金を持っていたという。

 「この占い師がたまたまテレビ出演したのを市の担当者が見て、おかしいと気づきました。 他には受給者の住宅扶助( 最高で4万2000円の家賃補助 )をピンハネしていたNPOや、医療扶助でタダで処方された向精神薬を売りさばいていた受給者の存在をつかんで、警察に情報を提供したケースもあります。 しかし、逮捕者は “氷山の一角” でしかないといわれれば、否定はできません」 ( 同前 )

 悪質な受給者は少なくない。 大阪市のホームレス支援団体職員がため息まじりにこう話す。

 西





( 2012.05.26 )

  


 今年度予算の生活保護費は約3兆7000億円で、受給者は約209万人( 152万世帯 )。 その中でも受給者の多い大阪・西成区では、毎月1日の支給日は通称 「給料日」 と呼ばれ、区役所前には9時に始まる支給手続きを待つ受給者の長蛇の列ができる。

 その後の光景も独特だ。 今度は付近のパチンコ屋に200人以上の行列ができ、10時の開店と同時に1円パチンコの席が埋まる。 そして生活扶助が遊興費に消えていくのだ( 中には増やす者もいるのだろうが )。

 生活保護費の給付は、 「最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長すること」 ( 生活保護法 )を目的としている。 が、このように生活保護費が自立( 就職 )どころか生活費にもならず、遊興目的に消えている現実がある。 制度の趣旨に照らせば、 「これも一種の不正受給ではないか」 と思う納税者も少なくない。

 大阪府のケースワーカーとして勤務した経験を持つ道中隆・関西国際大学教授( 社会福祉学 )は自身の経験を踏まえてこう語る。

 「私が現場にいた20年ほど前までは、 受給者自身に “保護を受けることが恥ずかしい” “早くこの状態を脱したい” という意識があり、 その親族も “身内から受給者を出したくない” という考えが強かった。
 受給世帯の子供がいじめられたりするという差別意識とも関係するので、 無条件にはその考え方を美化できませんが、 個人主義で核家族化が進んだ今では逆に “生活保護で何が悪い” “貰えるものは貰っておけ” という権利の主張が当たり前になっている。 何のための生活保護制度か、社会全体で考えるべき時だと思います」





( 2011.06.25 )


 20年連続で生活保護費が増え続けている大阪市。 とりわけ市の試算で3人に1人が受給している日本最大級の労働者の街 「あいりん地区」 ( 西成区 )では、地区に来てわずか1年未満で生活保護の新規相談に訪れるケースが半数以上に上ることが24日、市の調査で分かった。 不況で日雇い労働者の求人数が減る一方、職を求めて全国から労働者の流入は続いており、職のない労働者がそのまま生活保護に押し寄せている状態。 市は 「社会全体のしわ寄せがこの地域に集中している。 一自治体の対応では根本解決は困難」 と悲鳴を上げている。

 厚生労働省の今年3月分の集計によると、大阪市の生活保護受給者は15万人を突破。 あいりん地区では、平成20年秋の 「リーマン・ショック」 などによる不況の影響で、日雇い労働者の求人数が激減。 求人数は18年度の72万8千人から22年度には33万2千人まで落ち込んだ。

 一方、全国から労働者の流入は依然として続いており、市の昨年12月の聞き取り調査では、地区にきて 「1年未満」 と回答した割合は12.6%、 「1年以上・5年未満」 が11.4%を占めた。

 こうした雇用の需給ギャップが大量の失業者を生じさせている。

 生活保護などの相談を受けている市の更生相談所( 西成区 )には昨年度、1529人が新規相談に訪れた。 市が、地区にきて経過した期間を聞き取り調査した結果、 「3カ月未満」 が697人、 「3カ月以上・1年未満」 が171人で、合わせると全体の56.8%を占めた。

 市の担当者は 「職を探してあいりん地区に来たものの、仕事が見つからない労働者が、そのまま生活保護制度に流れ込んでいる」 と分析する。

 市では、生活保護受給者が急増している背景として、失業率や離婚率、高齢者世帯率がいずれも全国平均より高い要因を挙げる一方、市特有の要因として、あいりん地区の構造的な問題を指摘する。

 あいりん地区では簡易宿泊所の利用者やホームレスも多いことから、市は国に対し、住居のない場合は生活保護費を全額国負担とするなど、制度の抜本見直しを訴えている。

 しかし国は今年5月、ようやく大阪市など地方自治体から制度見直しに向けた意見聴取を始めたばかり。 一方で増え続ける生活保護の受給者に、市の担当者は 「一自治体の対応や個別の取り組みではどうにもならない」 と頭を抱えている。





( 2012.06.02 )

  使


 人気お笑い芸人の母親が生活保護を受給していた問題をきっかけに、生活保護に対する関心が高まる中、全国最多の受給者を抱える大阪市で1日、保護費が支給された。 口座振り込みが増え、現金で受け取る人は減少しているが、それでも住民のほぼ4人に1人が受給者という西成区では、早朝から約100人が区役所前で列をつくった。

 「大切に使わんと」。 午前8時ごろ、列の前方に並んでいた無職男性( 67 )は、少しうれしそうに話した。

 30分後、区役所のドアが開くと、受給者らは先を争うように3、4階にある受付へ。 この日は正規と嘱託合わせて約360人いる生活保護担当の職員が総動員で対応にあたり、 「慌てないで」 と声をかけながら、現金と明細が入った封筒を次々と渡した。

 男性は午前9時過ぎに約12万円の保護費を受け取ると、その足で不動産屋と郵便局を回り、家賃や光熱費で計約6万円を支払った。

 ところが、この後に向かったのはパチンコ店。 「5千円までにしておかんと」 と言いながら開店を待った。 「負けても、ご飯を激安スーパーにすればいい」。

 庁舎内には、受給者だけでなく、名簿や帳簿のようなノートを持った貸金業者や不動産業者とみられる人たちの姿も。 一部の受給者らはその場で封筒を開け、もらったばかりの保護費を手渡していた。

 金融業者を名乗る男性( 61 )は 「今日は3人から1万円ずつ返してもらう。 自分で稼いだ金ではないためか、すぐにパチンコなどに使ってしまい、また借りに来る受給者もいる」 と話した。

 2008年のリーマンショック後、特に目立つようになったのは、若い受給者だ。 金髪にグレーのキャミソール姿の女性( 20 )は無職の内縁の夫( 34 )と子供2人の4人暮らし。 約20万円の保護費が唯一の収入源といい、 「世間の風当たりが強くても、保護費がないと生きていけない」 と訴えた。

 保護を受け始めて3カ月という男性( 34 )は 「最近の芸能人をめぐる騒動で肩身は狭いが、なかなか安定した仕事が見つからない。 14社面接を受けたが全部落ちた」 と話した。

 西成区によると、6月分の支給額は約2万5千世帯分の26億9千万円。 医療扶助はこれとは別に支払われる。 9割以上が口座振り込みで、現金での支給は3年前の約5億円をピークに減少。 それでもこの日、現金で区役所に用意された保護費は1700世帯分、1億9400万円に上った。





( 2012.06.11 )

 


 年収数千万円を稼ぐお笑いコンビ 「次長課長」 河本準一( 37 )の母親に続き、同じ吉本興業所属 「キングコング」 梶原雄太( 31 )の母親も受けていたことが発覚、生活保護( ナマポ )制度が社会問題化している。 過去最大規模で受給者が膨らむなか、ある重大リスクにも注目が集まっている。 就職氷河期世代( 35~44歳 )の非正規雇用者やニートらが老後に制度を利用すると、最大で約20兆円が支出されるというのだ。 衝撃的な試算の中身は ──。

 悲惨な 「未来予想図」 をシミュレーションしたのは、国政などに関する政策提言を行う政策研究機関の総合研究開発機構( NIR A )。 2008年4月に発表した 『 就職氷河期世代の老後に関するシミュレーション 』 のなかで “ナマポ予備軍” に関する重大リスクを指摘しているのだ。

 リポートを手掛けた辻明子主任研究員がこう説明する。

 「1993年から10年間続いた就職氷河期で、大規模な雇用調整が行われました。 この時期に正社員になれず、不安定な就労状況に置かれる若者を多く生んだのが、現在44歳から35歳の世代。 その世代の中で、65歳以降に生活保護受給者になるリスクを抱える人を試算すると、実に77万4000人が 『 受給予備軍 』 として浮かび上がってきたのです」

 辻氏が、調査対象としたのは、非正規就労を強いられて低収入にあえぐワーキングプアや、仕事にさえありつけないニートたち。 その中でも、国民年金も払えず、老後に何の保障も得られる見込みのない人たちだ。

 彼らが年金を受給できる65歳になったとき、一斉に生活保護を受給し始めたらどうなるのか。

 「彼らの寿命を( 65歳から )約20年間後と仮定すると、支払われる生活保護費は、総計で17.7兆円から19.3兆円に達する。 試算では、年間8000億円から9000億円が国の財政から支出されることになります。 これに彼ら以外の受給額も加算されるわけですから、全体では数倍の予算が生活保護費として必要になってくるわけです」 ( 辻氏 )

 累計約20兆円もの巨額の財政支出が必要になるとすれば、国家財政に与える影響は甚大だが、怖ろしいのは、現実がこの予想を超えるスピードで進行していることだ。

 試算が出されたのは、リーマン・ショック前の08年4月。 その後の景気減退を受けて、就職氷河期世代の雇用環境はますます悪化。 「65歳に達する前に生活保護に頼る貧困層が確実に増えている」 ( 厚生労働省関係者 )。

 厚労省によると、今年度予算の生活保護費は過去最大の約3兆7000億円で、受給者は209万7401人( 今年2月時点 )。 試算の対象となった35~44歳を含む30~49歳の受給者に目を向けると、07年に22万2567人だったのが、09年には26万5179人となった。

 「状況は悪くなる一方です。 就職氷河期以降の世代にも多くの 『 予備軍 』 が控えている。 企業側は雇用調整でコストカットに成功したかもしれませんが、若年層の貧困化が進行したことで、安定した雇用の枠からこぼれ落ちた層が生活保護に流れ込むリスクは高まった。 将来的に国が負うコストは、企業が雇用調整によって得た収益よりも重いものになるでしょう」 ( 辻氏 )

 追いつめられた困窮者にとって、生活保護が 「最後のセーフティーネット」 として不可欠であることに異論はない。

 だが、道義的責任を問われる受給者や、収入を偽って不正に受給する悪い奴らも急増中。 制度そのものが破綻する前に、明るい 「未来予想図」 に書き換えなくてはならない。





( 2012.06.11 )

  調


 大阪市が生活保護受給者の代わりに医療費を支払う 「医療扶助」 により昨年11月~今年1月に診療報酬を受け取った大阪府内の医療機関のうち、患者の95%以上が生活保護受給者だった医療機関が72カ所あり、そのうち34カ所は全患者が受給者だったことが、大阪市の調査で分かった。 同市は、不正な請求が行われたケースもあるとみて、調査に乗り出す。
 医療扶助は、生活保護受給者が診療や薬の処方を受ける際、市区町村が患者に代わって医療機関に直接医療費を支払う仕組み。 大阪市では2008年度の医療扶助は1129億円で、保護費全体の47%を占めた。 制度を悪用して診療報酬や薬代を不正に請求するケースが起きており、医療扶助を狙った貧困ビジネスの存在も指摘されている。 大阪市は、府内の約1万3900医療機関が、同市の生活保護受給者を診察した際に社会保険診療報酬支払基金に提出した診療報酬明細書( レセプト )を分析した。
 この結果、患者全員が受給者だった34医療機関のうち、最多の259人を診療した医療機関は3カ月で計8159万円の診療報酬を得ていた。 72医療機関のなかには、受給者1人あたりの診療報酬がほかの患者より突出して高かったケースもあった。
 同市幹部は 「受給者が不自然に多かったり、診療報酬が非常に高かったりした医療機関に注目している。 受給者に接しているケースワーカーの情報ともつき合わせ、実態を解明したい」と話している。
 大阪市内では、同市浪速区の不動産会社が生活保護受給者約300人をアパートに囲い込んで保護費の大半を吸い上げ、同社が実質的に経営していた診療所に受給者を受診させて医療扶助の一部も同社に渡っていたという疑いが出ている。


◇◇◇

 しかし、いくら生活困窮者を救う目的の生活保護制度であっても、そこには十数万単位の金が絡んでいる以上、それを悪用するよからぬ者( 団体 )が存在するのも事実です。

 この記事で出てきた医療機関の大半は 「経営破綻」 寸前の病院であり、そこに喰いつくのが妙な団体組織。 仮にその団体組織を とします。

  はまず街のホームレスを集め、自分の経営する自立支援センターなる宿舎に住まわす。 そしてホームレスを役所に連れて行き 「生活保護」 の申請を行う。 役所は個人が申請した場合は受理する可能性は低いが、 という 「うるさい団体」 が絡むと、すんなり申請を受理してしまう。 ( 所詮、お役所仕事 )。 この時点で、生産性も社会的にも価値のなかったホームレスが 「金の成る木」 となります。

 まず、受給者から三食寝床付の生活費を 「搾取」。 ここまでは良いが、問題はその後。

 住まわしている受給者に対し は 「定期健康調査」 を行う、それは受給者の立場から見ると 「入居者の健康管理にも配慮してくれるまともな施設」 と思われがちだが、実際それは入居者を病院に送り込む格好のネタなのです。
 受給者が病院で 「検査」 「治療」 してもその費用は行政が負担するからゼロ。 病院は受給者が 「診療、検査」 すればするほど役所から診療報酬が入る。 病院はとりっぱぐれはない。

 これが、まともな 「検査」 や 「治療」 ならまだ良いが …… 病院側が病を意図的に水増しする形で高額な 「検査」 や 「治療」 を行った場合でも、報酬は役所が払うので、当然とりっぱぐれはない。

 つまり、これは受給者と病院の間に、 がどっぷりと絡んでいるというカラクリなのです。
  がそこに絡んでいるということは、受給者を 「検査」 と称して病院側が意図的に 「おかしな薬」 を注入する事だって可能です。 「薬」 でおかしくなった患者を 「治療」 するのには高額な診療報酬が発生しますしね。

 まして、そんな 「治療」 に疑問を抱く患者がいても、そもそも生活保護受給者の医療費は全額公費負担。 ゆえに病院はその診療内容を患者に通知する義務がないのですから。

 





( 2012.06.13 )

  


【 生活保護を問う 】

 右肩上がりの生活保護費や不正受給について、多くの声が出されている。 社会のセーフティーネット( 安全網 )としての役割を理解しつつも、不公平感を指摘する意見が目立つ。 野田佳彦首相は12日、衆院予算委員会で 「真に困窮している人には必要だが、つけ込む動きがあるなら対策をしっかりやらなければいけない」 と表明した。 不公平感の是正は急務といえそうだ。

 生活保護の平成22年度の不正受給は過去最多の約2万5千件、128億円に及ぶ。 一方で、不正発覚後に返還された額が約37億円と3割弱にとどまる。 制度の不備の指摘が相次いだ。


■ 働けば損する

 東京都多摩市の男性( 32 )は 「不正受給は確かに悪い。 ただ、発覚しても返還させないのは暗に不正を容認しているようなものだ」 と訴える。

 自治体側は年に数回、受給者と面談しチェックする。 しかし、調査は受給者からの申告が前提で 「悪意」 は完全には防げない。

 前橋市の会社役員、石綿清平さん( 90 )は 「真面目に働く人が損をするようなもの。 制度そのものを見直すべきだ」 とする。

 生活保護制度では、日常の生活に加え、家賃補助が受けられるほか、医療や介護の費用も負担がなくなる。 生活保護費の半分を占める、その 「医療扶助」 に関する意見も相次いだ。

 神奈川県鎌倉市の横田初江さん( 68 )は 「私たち( の医療費 )は3割自己負担。 若いときからたくさんの税金を払い、老後のために準備してきたのに腹立たしい」 と憤る。 千葉市の女性( 71 )は生活保護を受ける知人男性から、医療費が無料のため服用できないほど大量の薬を処方されていると聞かされた。


■ 年金より多い

 生活保護費は地域や世帯構成によって異なるが、東京都心在住の高齢者夫婦世帯( 68歳、65歳 )で生活扶助基準額は12万1940円。 これに住宅扶助が加わる。 こうした支給額への不公平感の指摘もあった。

 生活保護は不動産や車、貯金などを原則処分した上でなければ受給できない。 現役時代に保険料を支払い、高齢となって支給される年金とは性格が違う。

 横浜市の女性( 68 )は月7万円の年金とわずかなアルバイト収入で夫( 78 )と暮らすが、体力的な不安が尽きない。 「( 年金よりも )受給額が多いのは納得できない。 一生保障ではなく更新条件を設けるなどすべきだ」 と訴える。 また、川崎市の女性( 78 )も 「国を信じ一生懸命年金( の保険料 )を払い続けてきたが、若いときの努力は何だったんだろうなと思う」 と漏らす。

 生活保護受給に際しては芸能人の母親のケースでも話題になったように、親族による援助が可能かの確認もされる。 ただ、援助は強制ではなく、拒否されれば無理強いはできない。

 一方で、生活保護は憲法で保障される 「健康で文化的な最低限度の生活」 を具体化するための制度。 「貧困の最後のとりで」 ともいわれる。 現在国会では消費税の増税に関する議論が大詰めを迎えているが、川崎市の女性( 65 )は 「本当に必要な人とそうでない人を完全に切り離せるような制度が必要だ。 がんばっている納税者のやる気をなくさせないようにしなければならない」 と政府に注文した。

帝京平成大学の池谷秀登教授( 公的扶助論 )の話
 「多くの人が不公平感を抱くのは、芸能人などによって際だった問題が明るみに出た点が大きい。 制度自体が分かりにくく、正しく認識されていないというのも考えられる。 要件だけを厳しくしても、受給者を減らすなどの根本的解決にはならない。 国民から不公平感が指摘されている年金なども含めた社会保障全体からの見直しが必要だ」





( 2012.06.18 )

  西


 生活保護受給者が患者の大半を占める大阪市西成区内の3つの診療所の職員が、過去に受診した受給者宅を訪問し、再来院を呼び掛けるような “営業活動” をしていたことが17日、関係者への取材でわかった。 来院患者には飲料を無料提供するサービスも行っていたという。 こうした活動は、営利目的の医療活動を規制する医療法に抵触する恐れがあり、大阪市保健所は、医療機関による 「受給者囲い込み」 の実態について調査を進めている。

 生活保護受給者の医療費は全額公費で賄われるため、本人に負担感はなく、医療機関には確実に受診料が入るメリットがある。 だが、医療扶助は生活保護費全体の約5割を占めており、保護費増大の中で著しく財政を圧迫している。

 関係者によると、西成区の3診療所では最近まで、患者数を確保するため、過去のカルテを調べて受給者宅を戸別訪問。 「悪いところはないですか」 「最近来ていないが、どうしていますか」 などと来院を促していた。 内部では 「キャッチ」 と呼び、事務担当職員が行っていたという。

 昨年秋ごろまでは、専用のコインを入れるとジュースやコーヒーが無料で飲める自販機を診療所内に設置。 診療所側は受診した患者にコインを渡し、事実上受診の “謝礼” として飲み物を提供していた。

 市保健所や関係者によると、3診療所は西成区内にある2つの医療法人が経営しており、生活保護受給者が全患者の9割以上を占める。 2法人の理事長は別人だが、職員の人事交流や一括採用を行っており、系列病院のような一体的な経営になっているとみられる。

 市保健所は今年4月下旬、外部情報に基づき3診療所を訪問したが、自販機はすでに撤去されていた。 診療所側からは 「近畿厚生局に指導されたため撤去した」 と説明を受けたという。 近畿厚生局は 「個別事案における指導内容は公表できない」 としている。

 3診療所は、いずれも産経新聞の取材に 「応じられない」 としている。

 市保健所では昨年12月、 「生活保護取扱」 と表記したのぼりを立てたり、ビラを配ったりした西成区内の別の診療所に対し、医療法の広告規制に逸脱したとして指導した例がある。





( 2012.06.25 )

  


 大阪府東大阪市の職員約30人の2親等以内の親族( 親、子または兄弟姉妹 )が生活保護を受給していることが24日、市関係者への取材で分かった。 職員はいずれも、親族が生活保護を申請した際に 「扶養することはできない」 と市に回答していたという。 市は 「職員なら一定の収入がある」 として、改めて扶養の可否について確認する方針。

 受給者の扶養をめぐっては、個々の事情があるため、収入だけで明確に可否を判断できないのが実情だ。 しかし、同市職員の大半が親族への仕送りすら断っており、公務員としての姿勢に疑問の声が上がりそうだ。

 生活保護法では、親子など、民法上の扶養義務者による援助を優先すると規定。 先月、人気お笑い芸人の母親の受給が論議を呼んだことを受け、厚生労働省は、親族に十分な扶養能力がある場合は扶養義務を果たさせるよう、自治体に徹底させる方針を打ち出した。

 こうした経緯を受け、東大阪市が受給者の記録を調べたところ、約30世帯が同市職員を扶養義務者として申告していたことが判明した。 市によると、記録上は 「公務員」 としか記されていないケースがあるため、さらに増える可能性もあるという。

 自治体は申請時に、扶養できそうな親族がいる場合、扶養の意思や能力の有無を尋ねる。 市もこの職員らに対して調査したが、いずれも扶養できないと回答。 仕送りを承諾したのもわずか1世帯の親族だけだった。

 市によると、同市の一般行政職員( 平均42.8歳 )の平均年収は715万5千円で、担当者は 「職員なら必ず一定の収入があり、扶養できる可能性が高い。 今後、優先して扶養の可否について調べたい」 としている。

 同市では今年3月現在、約1万4千世帯、約2万1千人が生活保護を受給しており、10年前からほぼ倍増。 生活保護費は、今年度の当初予算ベースで約365億円に上り、一般会計総額の18%を占め、財政を圧迫している。

 市は今年1月、市長を本部長とする 「生活保護行政適正化推進本部」 を設置。 市内の警察署とも連携を強化し、不正受給防止や自立支援などに取り組んでいる。





( 2012.06.27 )
! 

 大阪府東大阪市の職員約30人の親族が生活保護を受給していた問題を受け、堺市の竹山修身市長は27日、2親等内の親族( 親や子、兄弟姉妹 )が生活保護を受給している職員が22人いることを明らかにした。 いずれも市の照会に 「扶養できない」 と回答していたが、4人は仕送りをしているという。 市は、改めて扶養能力の有無を確認する方針。

 東大阪市の問題を受けて、堺市内7ヵ所の保健福祉総合センターが把握しているデータを調べた。

 市によると22人のうち、親が受給している職員は14人、子が2人、兄弟姉妹が6人だった。 また扶養できない理由として 「住宅ローンを抱えている」 「扶養している子供の数が多い」 などを挙げているという。 同市職員の平均年収は約705万円。

 竹山市長は 「不正受給に結び付くようなことはないと思うが、念のため扶養能力の有無を確認させる」 と話した。 同市では今月1日現在、1万7579世帯、2万5332人が生活保護を受給している。





( 2012.07.01 )

 

 京都府久御山町にある寺の前住職や現住職の僧侶が、事実上解任した元副住職の女性( 74 )に生活保護を申請させた上で境内のプレハブに住まわせ、保護費から家賃や電気代を徴収していたことが30日、複数の寺関係者らへの取材で分かった。

 女性は 「金額は一方的に決められ、拒めなかった。 監視され部屋から出られない時もあった」 と証言。 専門家は 「貧困ビジネス業者と同じ手口だ」 と指摘する。

 前住職らが実質運営する埼玉県毛呂山町の雑居ビルで、入居する元路上生活者の通帳を一時管理。 振り込まれた保護費から家賃などを徴収していたことも判明している。

 寺関係者らによると、前住職は2009年8月に住職に就いた後、女性を副住職から解任し 「生活保護を受けないと生きていけない」 と伝えた。 女性は前住職の付き添いで京都府内の自治体で生活保護を申請、約7万5000円の保護費が認められた。

 前住職らはその後 「女性のため」 として境内にプレハブを建設。 10年4月に女性が入居してから12年2月まで毎月、保護費から家賃約4万円と電気代約1万円の計約5万円を請求。 女性は支払いを続けた。

 女性の部屋は1階を仕切った約11畳。 風呂とトイレ、流し台があるが、地元不動産業者は 「同じ家賃で鉄骨マンションの2DKの物件もある。 プレハブでその金額は高い」 と話す。 電気代は前住職らが決めていた。

 女性は、前住職らが部屋に押しかけ、外へ出られない状態に置かれるなどしたため、今年5月に別の場所へ避難した。

 生活保護行政に詳しい花園大の吉永純教授は 「わざと高い家賃や電気代を設定して徴収し、保護費をピンハネするのは貧困ビジネス業者と同じ手口。 保護費は受給者の生活のために使われるべきで、制度の趣旨に反している」 と話している。





( 2012.09.04 )


 


 生活保護の申請・受給をめぐり、暴力団組員かどうかを警察に照会した件数が急増していることが判明した近畿の自治体。 現場の職員らは組員の脅しなどに頭を悩ませてきており、 「個人での対応には限界があった」 と “緊密な連携” を歓迎する。 ただ、組員側も身分を隠して申請するなど手口も巧妙化しており、警察当局は警戒を強めている。

 「昨日は早く帰宅したようだな」
 「娘は元気か」

 大阪府内の元ケースワーカーの男性はあるとき、生活保護の申請でやり取りしていた暴力団組員がささやく言葉に強い恐怖感を抱いた。 ほかにも、現場では暴力団組員とみられる男が大声を上げたり、入れ墨や欠損した小指を見せてきたりすることがあるという。

 こうした場合、以前はケースワーカー個人に対応が委ねられることも多かったが、最近では組員と疑わしい人の訪問があった場合、必ず複数の職員で対応するようになった。

 応接室のドアは開けて密室にならないようにし、会話を録音することも。 男性は 「執拗しつような個人攻撃を受けると耐えられない。 組織の危機管理として対応しないと」 と話す。

 ある警察幹部は 「暴力団排除条例の施行などで、組員のシノギ( 収入 )は厳しくなっている。 あの手のこの手でシノギを探す中で、生活保護に目を付ける組員が少なくない」 と指摘する。

 脅迫まがいの行為だけでなく、組員が身分を隠して不正受給するケースは後を絶たない。 大阪府警では、平成20年は組員による不正受給の摘発はなかったが、21年に4件、22年に5件、昨年は7件と増加傾向をみせている。

 府警によると、昨年2月には、山口組系暴力団組員が大阪市内の区役所に 「トラック運転手として働いていたが倒産した」 などと嘘をつき、約220万円の保護費を詐取したとして逮捕された。

 組員は 「組長の運転手をして、毎月10万円ほどもらっていたが、ゆとりのある生活をしたかったので組員であることを隠して申請した」 と供述した。

 兵庫県警が今年7月、同県西宮市から保護費約160万円をだまし取ったとして、詐欺容疑で逮捕した山口組系組員( 40 )は保護申請時、暴力団組員でないことを確認する項目に印を付けていた。

 警察幹部は 「公金が暴力団側に流れるのは決して許されない。 少しでも不審に感じたら積極的に照会してもらいたい」 としている。





( 2012.09.15 )

 


 飛び降り騒ぎを起こしたかと思えば、灯油を抱えて区役所に “突撃” したり、中には千枚通しを振り回して職員にけがをさせたりした女も ……。 生活保護の審査・支給をめぐり、 「受給者側」 が実力行使に及ぶ事件が相次いでいる。 大阪市では今年8月だけで3件発生。 思うように申請が認められなかったり、言い分を聞いてくれなかったりという不満が爆発したケースが多いという。 職員らが常に危険と隣り合わせの状態にあり、トラブル対応のため警察OBを採用する自治体も増えているが、根本的な解決策とはいえず、関係者は頭を悩ませている。




 「死んでやるわ」

 8月27日午後5時ごろの浪速区役所。 7階の屋外にある緑化スペースの庇に座り、足を宙に投げ出した男が絶叫した。 区役所にはパトカーや救急車が駆けつけ、周辺の道路も封鎖。続々と見物人も集まり、不安そうに区役所を見上げていた。

 さかのぼること約2時間半。 男はこの日の午後2時半ごろ、生活保護を担当する5階の保健福祉課の窓口を訪ねた。 男が同課を訪れたのは3回目。 経済状態など生活全般について30分間程度話し合っていたが、男は突然 「もういいです」 と告げると、表情を変えることなく席を立ったという。

 唐突な出来事に職員は面食らったが、特に後を追うこともなかった。

 その後、別の職員が、一般の市民らが普段立ち入ることのない7階に男がいるのを発見。 後をつけると、男はドアを開けて緑化スペースに立ち入り、高さ1.5メートルの柵を乗り越え、姿が見えなくなったという。

 「まさか飛び降りたのでは」

 驚いた職員が緑化スペースの奥をのぞくと、男が庇に座り込んでいた。 職員は何らかのトラブルがあったと察知し、 「戻ってきてください」 「もう1度相談に乗りますから」 と呼びかけたが、男は 「死んでやる」 「区役所の正面玄関に落ちてやる」 と叫び、聞く耳を持たなかった。

 間もなく、通報で警察官らが駆けつけ、説得を続けたが応じる様子はなく、男は靴を地上に放り投げたり、たばこを吸ったりしていたという。

 説得から約1時間半が過ぎたころ、隙を見た警察官や消防隊員らが男の身柄を確保。 建造物侵入容疑で現行犯逮捕された。 説得に当たった職員は 「一瞬、もうアカンと思いました。 救出されて本当によかった」 と胸をなで下ろした。

 大阪府警によると、男は大阪市浪速区のタクシー運転手( 58 )。 「生活保護の( 支給の )申請を断られた腹いせだった」 などと供述し、逮捕後は涙を流しながら深く反省していたという。





 大阪市では今年8月、生活保護の申請などをめぐり、暴力的な事件に発展するケースが相次いだ。

 「なかなか申請手続きが進まず、不満に思っていた」。 こう供述したのは、放火予備容疑で大阪府警に逮捕された無職の男( 54 )だ。

 8月14日、生活保護の申請相談で西成区役所の保健福祉課を訪れた男は、灯油の入ったペットボトルをかばんのポケットに差していた。 異臭を感じた職員がペットボトルを持っているのを見つけ、別の職員が警察に通報し、大事には至らなかった。

 男は 「火をつけるつもりはなかった」 としながら 「( 職員と )もめたら灯油をかけるつもりだった」 などと話したという。

 区役所によると、男は同月6日に生活保護の支給を申請。 14日までの間、特にトラブルはなく、最終的な確認などを終えれば申請が認められる見込みだった。 それだけに区役所の担当者も 「支給の判断までには2週間程度かかることも説明していた。 支給を急いでいたのかもしれないが、そんな素振りも感じられなかった」 と首をかしげる。

 こうした行政側と受給側の温度差は、浪速区の 「飛び降り騒動」 でも見て取れる。

 飛び降り騒動について、浪速区役所の担当者は 「支給の申請を断ったわけではない」 と説明。 捜査関係者も 「運転手という職にも就いており、簡単に生活保護を受給できるわけでないのは明らかだった」 とする。 両方の事件からは、職員の説明が十分に伝わらず、受給側も思い込みを募らせた可能性がある。




 実際に職員に危害が加えられたケースもある。

 西成区役所では同月3日午後、保健福祉課の担当職員が、無職の女( 73 )から千枚通しで刺されて手に軽いけがを負った。 女は午前中にも同課を訪れており、 「どうしたんだろう」 と思った職員が用件を尋ねようとしたところ、いきなり刺されたという。

 殺人未遂容疑で現行犯逮捕された女は、調べに対して 「言い分を聞いてもらえず、怒りがピークに達した」 と供述。 女は生活保護を受給していたが、過剰が発生し、区役所が返還を求めていたという。

 区役所などによると、女は平成17年から生活保護を受給していた。 22年7月になり、女は父親の遺産が入ったことを打ち明けたが、金額は明らかにしなかった。 このため区役所が調査したところ、まとまった額だったことが判明。 23年5月に生活保護を打ち切り、過剰に支給していた約300万円の返還を求めて交渉を続けた。

 しかし、女は 「払いたくない」 としてかたくなに返還を拒否。 さらに、不意に区役所を訪れてはペットボトルの水をまいたりすることもあったという。

 「『 実際に誰が暴れるのか 』 などの想定を立てるのは難しい。 新たな対策を考える必要性はあるのだが」 と西成区役所の担当者。 各自治体では、大声を上げて業務を妨害する恐れなどがあれば、複数の職員で対応したり、職員間で情報共有を行うなどの対策は取ってきている。




 しかし、今回続発したような実力行使に至るトラブルは少なく、具体的な対策を取ることは困難という。

 厚生労働省は3月、福祉事務所に警察官OBの配置を積極的に検討するよう全国の自治体に要請した。 OBは、トラブル防止のため、住民宅を訪問するケースワーカーに同行する役割を担っていたが、最近は不正受給に関する告訴手続きの円滑化や、暴力団関係者の早期発見なども期待されている。 雇用した自治体には人件費を全額助成する制度もあり、同省によると、平成23年度は全国94自治体の179人が対象となっている。

 大阪市によると、今年6月現在の市内の生活保護受給者は11万8532世帯、15万2649人に上る。 今後も受給者の増加が見込まれており、トラブルや事件防止へ向けた取り組みが急がれている。






 


 最近、大阪市の市役所職員の不正支払いや不当に高額な退職金について、新聞報道で騒がれていた。 しかしこれは市役所だけの問題ではなく、大阪市それ自体が著しく劣化していることの裏返しといえる。 かっての日本の商都というイメージはもはやない。

 近松誉文著 「生活保護天国、大阪市はここまでヒドイ」 ( 新潮45:2月号) によると、大阪市は、

1.平成12年の統計で、ホームレスは1万人で全国一位。
2.平成16年、被生活保護者は、10万人以上、市民の26人に1人が生活保 護を受け、全国一位。
3.最も被保護者の多いのが釜が崎のある西成区で、保護率150%、区民7人に1人が被保護者。
4.保護率40%以上の行政区が4。
5.市内には富裕階層は存在しない。 市内に勤務する高額所得者は郊外、事業を営む人は芦屋や西宮など郊外に住む。
6.高齢者、母子家庭、離婚者、行旅患者が多い。
7.戦後、いちはやく東京に本社を移したのが総合商社、次に製造業、最後が金融業。 現在、社長がいるのは電気ガス私鉄という地域インフラ業のみ。
8.本社移転とともに高級品を買うサラリーマンが消えた。
9.中部圏の企業と異なり、市内の企業は生産拠点まで海外に移転。
10.工場等制限法と近畿圏整備法によって、市内から大学を追放。 現在、国立大学はゼロ。 文化の衰退も著しい。
11.他の大都市と違い、それなりの高額所得者が住む町も持ち家を建てたいと思う町並みもない。
12.市内で起業しようとする人もなく、新たな雇用の場もない。 経済も文化も役人の脳も空洞化したまま。 目につくのは空き地と空き家と高齢のホームレスのみ。
 かくして、まちづくりの失敗が低所得者を呼び寄せ、 「社会主義」 を蔓延させた。

 日本は元気がないのに、中部圏だけは輝いているといわれる。 今年、愛知万博も 開幕する。 中部国際空港もできる。 トヨタも失われた10年をものともせず増 収増益で、世界2位になった。 原点は、企業、大学、高額所得者、事業者、サラリ ーマンがその地にできるだけふんばって留まり、役人も脳みそを活性化させ、文化 を盛り上げ、住みたいと思わせる町づくりに成功していることにある。





【大貧民国】
費 

 大阪民国は大貧民国。
 大阪市の平成18年度の生活保護費が前年比2.7%増の2311億7500万円となり、過去最高額を更新したことが、5日公表された平成18年度普通会計決算見込みで明らかになった。 平成3年から16年連続増で、全国の自治体でトップとみられる。 生活保護費は、平成17年度で国全体で総額2兆6363億7300万円支出されているが、大阪市分だけで全国の約1割。 他都市に比べても突出しており、2位の札幌市( 約914億円 )と比べても倍以上の額となっていた。
 市は人件費の削減や投資的経費の圧縮などで過去最大の下げ幅となる総額770億円の歳出減としたものの、生活保護費を含む扶助費は1.9%増えており、財政上の課題となっている。

 また決算見込みによると、生活保護費のうち市が支出している574億円と、自営業者らが加入する国民健康保険事業に市が繰り出している338億円をあわせると912億円にのぼり、市の個人市民税の収入の1155億円に匹敵する規模になった。 市民税として納められた税金がほとんど生活保護と国保事業に使われている計算になる。

 市は 「生活保護制度の抜本的改正や国保事業の広域化などに取り組む必要がある」 としている。

 大阪市が福祉負担だけで 「あっぷあっぷ」 となっている現状が具体的な数字となって出てきたわけですが、果たして大阪市はこれ以上 「乾いた雑巾を絞る」 ことができるのでしょうか。

 生活保護は国の憲法に基づいて出されている金だから、本当なら国が面倒を見るべきと大阪市は言っています。 現行では生活保護額の4分の1を自治体が負担することになってますから。
 本来、生活保護は最後のライフライン。 人権問題も関わるのでここをむやみにいじくるのは難しいです。

 どうしても一人身だし働けない体だからもらわなくてはしょうがない人もいますが、最初から年金も払う気ゼロでギャンブルや遊びに使い込んで、老いぼれてから貯金が底を尽きて、アホなご近所同士で、どーせなら生活保護もろたらええやん! と言うてるようなのも実際にいるでしょうし、それこそ不正受給だって後を絶たないでしょう。

 おそらく大阪市のケースワーカーは仕事が多すぎて死に物狂いになっていて、不正受給対策まで十分手が回らないんでしょう。 西成区なんか6人に1人が生活保護ですよ! まさに大貧民国。

 また関淳一市長が見かけだけでもかなり本格的な支出削減を断行している事も数字になっています。 総額770億円も削減できるというのは、それだけ派手に無駄遣いをしていた証拠でもあります。

 一部の利権談合共産主義に染まった議員 は関市長の改革を強引すぎると批判して、次回11月の市長選では別の候補を担ぎ出す動きに出ている。 わかりやすい構造だよね。










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