![]() 春はお花見、夏は田舎でお盆を過ごし、雪が降ったらクリスマス、年末年始は大晦日と正月で年越し、2月はバレンタインデー。 これがジャパニーズイベントのイメージのはずだ。 ところが近年、ハロウィンが日本に根付き始めている。 ハロウィンの経済効果は1000億円以上とバレンタインに並ぶ勢いだ。 いつから日本人はハロウィンで大騒ぎするようになったのか? 知らないうちに浸透してきていると言えるだろう。 そして浸透するということは、トラブルも増加するということだ。 渋谷のスクランブル交差点にバカみたいな数の人が群れを成し、意味も分からずコスプレをして大騒ぎ。 果ては逮捕者も出る始末だ。 そもそもハロウィンとは一体なんなのか? ハロウィン、渋谷では何が起こっていた? ハロウィンについて基本的な知識を抑えつつ、ハロウィンバカ騒ぎを振り返ってみる。 |
ハロウィン、またはハロウィーン。 英語では Halloween と書く。 クリスマスが12月25日であるように、ハロウィンも日にちがある。 ハロウィンは10月31日だ。 本来のハロウィンは、秋の収穫を祝ったり悪霊退散の宗教的な意味合いのある行事。 古代ケルト人が起源と言われている。 |
ケルト人は、古代ヨーロッパの中央・西部に住んでいたケルト語を言語とする民族だ。 ケルトという言葉自体は近代になって作られたもので、古代ローマ人はケルトの民をガリア人と呼んでいたようだ。 古代ケルト人は 1年の終わりを10月31日としていた。 この時期には悪霊や魔女といったものが現れるとされており、それらから身を守るために仮面を被り、魔よけの火を焚いていたと言われている。 |
ハロウィンの起源は古代ケルト人と言われている。 だが、現在のハロウィンはアメリカの行事としてのイメージが圧倒的に強いだろう。 魔よけの為にジャック・オー・ランタンというカボチャをくり貫いてロウソクをともしたランプ( 日本だと提灯みたいなもの )を作って、子供が魔女やお化けに仮装する。 『 トリック・オア・トリート 』 のセリフと共に家を 1件ずつ訪ねてはお菓子をもらう。 これが多くの人の持つハロウィンのイメージである。 |
近年の日本でもハロウィンは季節の行事として認識され、広まっている。 それは1000億円以上と言われる経済効果から見ても明らかだろう。 10月31日以前から盛り上がりを見せる日本のハロウィン。 盛り上がって高い経済効果をもたらすのは結構だが、それに比例してバカが起こす騒動も増えていくものだ。 過去のハロウィンにおける騒動をみてみよう。 |
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渋谷区には多数の苦情が届いたそうだ。 事態を重く見た東京都は、2015年のハロウィンに特製のゴミ袋を用意、無料配布した。 間違っても 「 ナイス!東京都 」 などと思わないでほしい。 これは税金で用意されたゴミ袋だ。 裏を返せば、バカがゴミさえ出さなければ使う必要のなかった税金ということになる。 『 税金でバカ騒ぎした人間の後始末? ふざけるな!? 』 と都民はもっと怒りの声を強くするべきだ。 |
渋谷はハロウィンだけの為の場所ではない。 当然、買い物客も大勢いるのだ。 買い物でバカみたいな人込みを移動する。 そんな状況を想像してほしい。 買い物客には同情を禁じ得ないだろう。 |
群馬県から買い物に来た中学生は 『 もういいです。 早く群馬に帰りたい 』 と疲れた様子だったとメディア取材に答えていた。 午後5時半ごろ、東京・渋谷のセンター街からスクランブル交差点へ向かう方向は人が増えすぎたため通行止めに。 |
あふれかえった歩道では歩行者が押し出され、道沿いのお店の外の置かれている商品と人がぶつかる。 商品は落下、溢れかえったバカに踏まれて売り物にならないという被害も。 誰が踏んだかもわからないので店は泣き寝入りするハメになった。 ハロウィン用の商品を置いていないお店は渋谷に人が増えたところで恩恵がない。 結果的に商品がダメになっただけだという。 店に対する悪意はないのだろうが、いい迷惑だ。 そんな中でも記念撮影する人が後を絶たない。 警視庁の懸命の交通整理で車道はなんとか車が通れるものの、歩道は混乱で収拾がつかない状態となった。 |
![]() どういうわけか渋谷のスクランブル交差点に大量に集まる。 コスプレしたまま電車に乗って渋谷に集まる勇気ある者もいたが、多くは衣装を持参して現場で着替えることになる。 着替え目的で利用するのが、飲食店や百貨店のトイレだ。 |
![]() 申訳ない気持ちからか、飲食店で食事をする人もいるようなので一概に文句だけを言えるものではないかもしれない。 しかし迷惑なことには変わりはないだろう。 イタリア料理店の男性店員( 29 )は、 「 食事をした後、トイレで着替えて席でメークをしている人も多い。 食事をしているお客さんなので文句はいえないが、イベントが始まる夜までいられたらどうしよう 」 と困り顔だ。 |
コスプレをした人間が歩道で自撮り棒を使って写真撮影。 こんな光景がハロウィンの渋谷で見られる。 自撮り棒が通行人にあたって迷惑を掛けているのだ。 自撮り棒についてはハロウィンだけではなく、外国人観光客の使用でも問題になっている。 テンションMAXになっているのかもしれないが、周囲には気を配ってほしいものだ。 センター街には多くのコスプレイヤーが集結し始めた。 コスプレイヤー同士が 「 コラボ 」 して写真を撮りあうなど和気藹々とした盛り上がりを見せているが、グループのコスプレイヤーたちは自撮り棒を多用しているため、通行人に当たったり、通行人が手荒く払いのけたりする光景も見られた。 これらの行為だけでも相当に迷惑だが、極めつけは逮捕者が出ているという情けない事態が起きていることだ。 |
渋谷ハロウィンのバカ騒ぎを傍観していた人間にとっては、逮捕者が出ることは予測されていたのではないだろうか? 渋谷はさっかーのワールドカップなどでたびたび人が集まってはトラブルが起こり逮捕者が出ている。 ハロウィンも同様の事態になるのでは? と推測するは難しくなかったが、まさか本当にバカが捕まるとは ……。 事件の概要はこうだ。 渋谷のスクランブル交差点付近で警察官をエアガンで殴って20代男性が逮捕された。 公務執行妨害、もちろん現行犯逮捕だ。 警視庁によると、午後10時ごろ、東京都渋谷区宇田川町のスクランブル交差点付近の路上で、迷彩服姿に仮装した20代の無職の男が警戒中の警察官をエアガンのようなもので殴打。 公務執行妨害の現行犯で逮捕された。 |
ここまで渋谷のハロウィンにおけるバカの大騒ぎを紹介した。 しかしこのままで終わると心がすさんだままになる。 渋谷のハロウィンにはバカだけではないという事例を紹介しておこう。 ハロウィンのバカ騒ぎが過ぎ去った翌日。 渋谷の街にはゴミ拾いをするボランティアの姿があった。 東京都がゴミ袋を配ったにも関わらず2015年の渋谷も一夜明けるとゴミの山。 大勢の人間がバカ騒ぎで集まった結果、 「 ゴミのポイ捨てはダメ 」 という小学生でも理解している常識が異次元に消え去ったのだろうか? しかしゴミで溢れかえった渋谷はあっという間にきれいになった。 それはボランティアの働きによるものだ。 一夜明けた1日、駅周辺や商店街の路上では、食べ物や飲み物、それに衣装などのゴミの山がいくつも積み上げられたほか、たばこの吸い殻なども散乱し、悪臭がただよう場所も見られました。 ボランティアの呼びかけと実行には素直に感服する。 しかし、元はゴミなど捨てないで持ち帰ればよい話だ。 今後はボランティアの出動が無くて済むようでなければ、いずれ渋谷でハロウィンは禁止になっても文句は言えないだろう。 |
これほど一か所に、様々なコスプレをして集まる日本のハロウィン。 人でごった返して誰が居るのかさっぱりわからない。 不審な人物が紛れ込んでも判別がつかないだろう。 こんな状況を犯罪やテロに利用されることだって考えられない話ではない。 渋谷のバカ騒ぎに警察が大量投入された理由は、騒ぎを収めることが目的ではなかったとの見解もある。 それは当然テロを警戒してのことだ。 近年の世界情勢を考えれば当然のことである。 数千、数万の仮装した人が街中にあふれるハロウィーンは、テロリストにとって格好の “標的” です。 お面をかぶれば、日本人か外国人かも分からなくなる。 紛れ込みやすい上に、不審物を持っていても、それとはバレにくい。 テロに限らず、強盗などの犯罪が多発する恐れもあります。 ハロウィンにおける渋谷への人の集まり方は尋常ではない。 明らかに人が多すぎる。 そうはいっても犯罪やテロだけを警戒して経済効果を無視するのも問題だろう。 警察の介入云々はともかく、街にゴミを散布して迷惑を掛ける行為だけでも反省してほしいものだ。 |
![]() おむつを替えるための部屋が仮装の着替えに占拠されたり、奇抜な仮装で周りの人が困惑したり、ごみが散らかったりする、というのがその理由だ。 ハロウィーンの経済効果はバレンタインデーを上回るという試算もあるが、警備や清掃にも莫大な経費がかかっているとも指摘され、年々派手になる一方の街頭でのハロウィーン騒ぎに、周囲からは厳しい目が注がれるようになっている。 |
水道橋博士は、2016年10月13日放送の 「 バイキング 」 ( フジテレビ )のコーナー 「 今日だけ言わせて!私の提言!! 」 で、「東京都はハロウィーンを全面禁止すべき!」と提言した。 ハロウィーンはケルト人が起源の農業を祝う祭りだとして、水道橋博士は 「 なんで都会でやってんだ 」 と指摘。 「地方でやるのは全然問題ない。東京でやることに様々な問題を含んでいる」と訴えた。 この提言に、出演者6人中4人が 「 賛成 」 の札をあげた。 「 賛成 」 の札をあげたお笑いコンビ 「 フットボールアワー 」 の後藤輝基さん( 42 )は、 「全面禁止かは分からないが、ちょっと訳の分からん方に盛り上がりすぎている。 いろんな騒動になったりとか ……」と話し、2015年のハロウィーンシーズンに体験した出来事を紹介した。 後藤さんは子どものおむつを替えようとショッピングモールのおむつ交換用の部屋に入った際、仮装のために着替えをしていた女性が 「 キャーッ! 」 と悲鳴をあげたという。 後藤さんは、 「ここまで盛り上がるか、っていう感じもする」と過熱ぶりに困惑していた。 |
相方の岩尾望さん( 40 )は、「自宅でハロウィーンパーティーとか、お店を借り切ってやるならいいんですけど ……。 街中に出る必要はあるのか」と、屋外での活動を疑問視。 所属事務所近くの歌舞伎町の路地で血まみれの人に遭遇して驚いたことがあるといい、 「いきなりだったらびっくりする」と話していた。 一方、タレントの横澤夏子さん( 26 )は、 「仮装している女の子は下品な子しかいない。 渋谷で仮装している子は本当に下品な女しかいない。 だって、お腹とか出して短いパンツでいるのに 『 痴漢された 』 って、いや、そんな格好しているから痴漢されるんだよって話で、痴漢を引き起こしてるのに被害者ぶっているのはなんでだろうな、って思う」などと仮装に参加する女性を非難した。 「警備、清掃の費用を考えれば経済効果あるとはない」水道橋博士に 「 反対 」 の札を掲げた薬丸裕英さん( 50 )でさえも、トイレを占拠したりゴミが散らかったりするといった問題を指摘し、 「別に 『全面( 禁止 )』 でなくてもいいが、マナーを守らない人とかには道路交通法を適用しても ……」などとして一定の規制はやむを得ないとの考えだ。 日本記念日協会による推計では、16年のハロウィーンの市場規模は前年比10.2%増の1345億円。 バレンタインデー( 1340億円 )を上回り、クリスマスに次ぐ規模になった。 通販大手のアマゾンが8月15日にオープンした 「 ハロウィンストア 」 では、15年より5割以上多い18万点のコスチュームを揃えた。 仮装グッズの伸びが市場規模を支えていることがうかがえる。 ただ、こういった経済効果については、水道橋博士は懐疑的だ。 水道橋博士は、整備、警備、清掃などに1200億円以上かかっているとして 「 経済効果があるとは言えない。 特に東京に限ってはひどい 」 と持論を展開していた。 |
それにしても、ハロウィーンの狂騒ぶりが日本でもこんなに話題になるとは思ってもみませんでした。 全国の街中でお化けや魔女などに仮装した人々が盛り上がり、今年の市場規模は1220億円とバレンタイン市場に迫る勢いだったそうです。 ハロウィーンの本場である欧米では、子供が主役となる行事ですが、日本ではとにかく大人もはしゃぐ。 死者を迎え入れるという行事本来の趣旨はさておき、日本流のハロウィーンはさながら 「 全国コスプレ大会 」 といったところでしょうか。 お化けや魔女ならともかく、奇抜な全身タイツやあの有名ラグビー選手の格好を真似ているさまは、誰が見たってただの 「 コスプレ 」 です。 いや、だからと言って、彼らの行動に難癖をつけるつもりなんて毛頭ありません。 せっかくのお祭りなんですから、思い切り羽目を外してもらって結構なんですが、せめてもう少しだけ他人や周囲に配慮するという 「 大人 」 の意識を持ってもらえたら、きっと誰も眉をひそめることはなかったのではないでしょうか。 こんなことを書くと、仮装に参加しなかったオッサンのひがみだとか、昔も今も日本中のありとあらゆるイベントでごみを散らかしているとか、コスプレ文化は日本だけではないとか、今年のハロウィーンを楽しんだ人たちから総スカンを食らいそうですが、ハロウィーンやコスプレに全く興味のないオッサンでも 「 参加してみたい! 」 と思いたくなるような節度ある楽しみ方が感じられれば、もう少し違った受け止め方ができたかもしれません。 東京・渋谷のイベントでは、警察官が出動して雑踏警備に当たり、ついには逮捕者も出たそうです。 イベント後には路上にごみがあふれ、近隣住民が苦情を訴えたり、一部の若者によるゴミ拾いの様子を取り上げるメディアもありましたが、言われてみれば全国各地の花火大会やお祭りでも同じような光景があちこちでみられます。 ハロウィーンだけが決して特別なわけではない気がします。 もともと日本になかった文化が近年、SNSとの相乗効果でものすごい勢いで広がっているわけですから、良い意味で日本の伝統的なイベントとは全く異なる楽しみ方が定着してほしいと思います。 そういえば、イベント後の渋谷では、ラブホテルにカップルの行列待ちができるほどの賑わいだったそうです( 笑 )。 日本の若者は、まだまだ行動力も性欲もあふれているようですから、この有り余るバイタリティーを生かして、来年のハロウィーンはきっと、興味がなかった人でも参加したいと思えるイベントに変えてくれると信じています。 ただし、 「 コスプレ魔法 」 でなんとかなると思ったら大間違いですよ。 |
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ハロウィン本番前の週末となった土曜の27日から日付が変わった28日午前1時ごろ、それは起こった。 テレビで繰り返し流された映像をご覧になった方も多いだろう。 軽トラに上がって若い男性2人が勝ち誇っているかのようなあのシーンだ。 スクランブル交差点に進入してきた軽トラックの荷台に、周囲の若い男性数人が乗り込み、踊ったり、騒いだりし始める。 危険を感じた運転手は軽トラから避難。 その後、ほかの男性らも加わり 「せーの、せーの」 の掛け声で軽トラを持ち上げ始め、ついには横転させてしまった。 さらに、横転した軽トラのドア部分に乗った上半身裸に黒いズボンの男性が、両腕をかかげて二の腕の力こぶを誇示。 荷台の側あおり( 荷物が落ちないようにするカバー部分 )に乗った半袖のド派手なシャツに半ズボンの男性は、ウイスキーとみられる酒瓶をラッパ飲みしていた。 もちろん軽トラはあちこちへこみ、傷だらけ。 運転手は被害届を提出し、渋谷署は器物損壊容疑で捜査している。 一方、この事件以外にも3人が暴行容疑で、2人が痴漢や盗撮による東京都迷惑防止条例違反容疑で逮捕された。 ほかにもラーメン店が自動券売機にペットボトルの水を流し込まれ壊されるなどの被害も出た。 28日朝には、渋谷駅向かいのセンター街の路上にビールや酎ハイの空き缶、ペットボトル、コンビニのレジ袋、紙くず、コスプレの残骸などが散乱。 ウイスキーの酒瓶が割れた破片や、道路の側溝にはたばこの吸い殻も落ちていたほか、おう吐したような痕跡もあちこちにみられた。 渋谷とハロウィンを巡っては、当日が金曜日だった2014年にコスプレした大勢の人で盛り上がって話題になり、それ以降は各地から集まるようになった。 渋谷区が主体となったイベントは開催していないが、渋谷駅からスクランブル交差点、センター街などを中心に人が押し寄せるようになったため、2016年からは道玄坂や文化村通りまでを交通規制して混雑緩和するようになった。 渋谷区の長谷部健区長は大手広告代理店 「博報堂」 出身で、イベントとして楽しんでもらおうと 「モラルとマナーを持ってほしい」 と呼び掛けながら、これまで渋谷ハロウィンを推進してきた。 しかし29日、あまりのひどさに 「ハロウィンに向けたお願い」 とのタイトルで声明を発表する事態に。 「お願い」 とへりくだった言い回しだが、声明は 「複数の逮捕者が出たり被害届が出されるなど犯罪行為も明らかになっており、大変憤りを感じております。 ( 中略 )警察との連携を改めて強く進めてまいります」 「日頃から真に渋谷の街を愛し、( 中略 )そういった方たちの努力や思いを踏みにじる一連の行為は、到底許せるものではありません」 と強い怒りをにじませている。 結びでは 「10月31日のハロウィーンにおきましては、決して周囲に迷惑をかけることなく、モラルやマナー、法令を守り、健全にお楽しみいただくよう、よろしくお願いいたします」 と文面は丁寧だが、全文を読むと 「あまりに目に余るようだと、来年以降はどうなるか知らないよ」 という 「最後通牒」 のようにも受け取れる。 |
コスプレの由来は魔物の仮装 |
そもそもハロウィンとはなにか。 諸説あるが、もともとは毎年10月31日に行われていた古代ケルト人( 現在はアイルランドなどに多く居住 )にとっての秋の収穫祭と、悪霊を追い払う宗教的な意味合いの行事だったとされる。 この日は秋の終わりでかつ冬の始まりという季節の境目に当たり、古代ケルト歴では1年の終わりで、現在の日本で言う大みそかだった。 そして、その日は死者の霊が家族を訪ねてくると信じられていたから、日本のお盆をイメージしてもらえればいいだろう。 そう、現在の日本の大みそかであり、お盆だったのだ。 日本のお盆と違うのは、霊と一緒に悪霊もついてきて、災いを起こすと信じられていたことだ。 悪霊は子どもをさらい、作物や家畜に害を与え、人々に疫病などをもたらすと恐れられた。 そこで悪霊を追い払うため魔除けのたき火をたき、魔物の面をかぶって仲間と信じさせることで被害を免れようとしたとされる。 このため魔物の仮装で悪霊から身を守る習慣が、現在のコスプレのもとだと言われている。 日本がまねているのは宗教儀礼的な意味合いが失われたアメリカの民間行事だが、子どもが仮装して練り歩くのは、ちゃんとした起源・由来があるのだ。 ご存じの通り、アメリカのハロウィンは子どもが 「トリック・オア・トリート」 と唱えて各家庭を回ってお菓子をもらい、そのお菓子を持ち寄ってパーティーを開く1年に1度の楽しい行事だ。 日本では1997年に東京ディズニーランドでハロウィンのイベントが行われるようになったが、当時はハロウィンというイベントそのものがあまり認知されていなかった。 その後、お菓子メーカーやコンビニなどが目を付け、クリスマスやバレンタインデーと同様にキャンペーンを開始して一般に広まるようになった。 最近ではイベントとして周知されるようになったのに加え、SNSの普及などによって、コスプレなどアメリカとは全く違う楽しみ方をする人たちが増えた。 |
渋谷以外はトラブル皆無 |
実は渋谷で若者が暴徒化し、犯罪や迷惑行為が相次いだ27~28日、首都圏各地でもハロウィンイベントは開催されていた。 東京都豊島区では27~28日、池袋駅付近で 「池袋ハロウィンコスプレフェス2018」 が開催された。 有料イベントで、ステージや更衣室なども用意。 禁止事項として 「盗撮や被写体の承諾のない撮影」 「公序良俗に反する行為や物品の所持」 「会場等を汚損、破損、物を投げる、振り回すなど他人の迷惑となる行為」 などを表示。 ルールを守れない場合は 「退場、公的機関への通報」 と厳しい姿勢で臨んでいる。 神奈川県川崎市では川崎駅を中心に、27日に 「キッズ・パレード」、28日に 「ハロウィン・パレード」 などが開催された。 主催者からのお願いとして 「周囲の皆様が不快に感じたり、不安を抱かせる可能性がある仮装は( 中略 )ご遠慮ください」 と断った上で、 「本物の武器、武器になりえるもの、本物ではないがリアルすぎるもの」 の所持を禁じている。 ほかにも期間はまちまちだが、大きな駅の周辺では何かしらのイベントが企画・開催されている。 しかし、厳しいルールは設定されていないにもかかわらず、特に大きなトラブルがあったとの情報は聞こえてこない。 では、なぜ渋谷だけ暴徒化するのだろうか。 かつて渋谷区に住んでいたという男性は 「暴徒化する連中は、別にハロウィンは関係ないのではないか。 酒を飲んで暴れられればそれでいいのだと思う。 各地の成人式で暴れる連中がいるけど、見た目は年齢的に近いからあれと一緒だろう」 と話していた。 そうであれば、純粋にハロウィンとコスプレを楽しみたい人たちにとっては、来年以降に中止される事態などになれば、いいとばっちりだ。 おなじみになったDJポリスだが、31日当日は優しく、楽しく呼び掛けてくれる警察官ばかりではなく、私服の警察官も大量動員されるとの情報もある。 厳戒態勢で27~28日のようなヤンチャをすれば、今度は即逮捕もあり得るだろう。 本来の宗教儀礼のようにストイックに、とは言わないが、せめて他人の迷惑にならないように、節度と常識を持って楽しんでほしいものだ。 |