窓際ライフを謳歌するラクチン型、人の手柄を横取りするアレオレ詐欺型 ……。 真面目な社員の足を引っ張る 「フリーライダー」 たちを4つに分類し、タイプに応じた対処法を、企業の実例を交えながら紹介する。


 


 職場で 「フリーライダー」 = タダ乗り社員が問題になっている。 フリーライダーに企業はどう対処していったらよいのかについて述べる。
 対策のためには 「分けて」 、敵を 「わかる」 ことが必要だ。
 そこで、まずは、フリーフイダーと言ったとき、どのような分類ができるのかを明らかにする。
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 フリーライダーは2つの軸を使って、4タイプに分類することができる。 1つ目の軸は、 「タダ乗りの方法」 である。 それには 「怠慢式」 と 「略奪式」 がある。 怠慢式は、文字通り職務怠慢のことだ。 略奪式とは、 「自分がもらうべき以上の分け前を持っていくこと」 である。
 2つ目の軸は 「タダ乗りの影響の仕方」 である。 それにはフリーライダーのせいで、 「実務的負荷」 が高まる場合と、 「精神的負荷」 が高まる場合がある。
 この2軸で分類されるそれぞれにネーミングしたのが 「ラクチン型」 「アレオレ詐欺型」 「過剰自己愛型」 「暗黒フォース型」 の4タイプである。

 図の第一象限の 「ラクチン型」 とは、給料に見合った分の働きをしないで、楽ちんな業務、楽ちんな仕事っぷりに安住をして、そこに問題意識を持たないような社員である。
 営業に行くと見せかけてパチンコをしているような 「サボリーマン」 はこの一種である。
 ほかにもこのタイプの代表例としては 「アガリーマン」 がいる。 会社人生をすごろくに例えた場合、すでにアガリを迎えているかのようなお気楽な仕事ぶりで、組織にぶら下がっているタイプのフリーライダーである。 これ以上頑張っても上にはいけないというあきらめからか、必要最小限の仕事しかやらないのが特徴的だ。
 第二象限の 「アレオレ詐欺型」 とは、他人の業績を自分のものとしてアピールしたり、他人のアイデアや助けを、自分ひとりで頑張ったかのように持っていってしまうタイプである。 「あれ、俺がやった」 というところから 「アレオレ詐欺」 と呼ばれる。
 結果偏重的な成果主義の広がりで増えてきたフリーライダーであり、自分の成績や出世のことしか頭にないタイプである。 このタイプの人が正社員の管理者の場合、契約社員や派遣社員等の立場の弱い人は、いいように使い倒されるリスクが高い。
 第三象限の 「過剰自己愛型」 とは、 「自分はできる」 「自分はできている」 という思い込みが強いタイプである。 フィード・パックをしても、行動の修正がきかない。 それどころか、自分の評価が過度に低いと食ってかかり、上司や先輩をほとほと疲れさせてしまうタイプである。
 第四象限の 「暗黒フォース型」 は、頑張ろうとする社員に無力感を与えるタイプである。 通常は、上司にいるタイプで、負荷がかかって大変そうなことや、失敗のリスクがあることに対して、 「できない理由」 や 「コマゴマとしたこと」 を言ってきて、部下の意気込みをつぶす行動をとる。 企業変革の 「陰のつぶし屋」 で、経営的な観点から見たときには、この存在が最もハイリスクとなる。



 


 それでは、各タイプのフリーライダーに組織として、どう対処していくのが効果的なのだろうか。

① 「ラクチン型」 への処方
 ラクチン型がはびこるのは、 「楽ちんをしていても、それなりの処遇が手に入る」 からである。
 それゆえ、 「健全な成果主義」 を入れることが対策 になる。 気をつけていただきたいことは、単に成果主義を入れればいいというわけではないことだ。 成果主義という名前の制度を導入していても、ラクチン型が多くぃる会社はたくさんある。
 では、ラクチン型がほとんど見られない会社の成果主義は何か違うのか。 「健全な成果主義」 と呼べるためには、どのような制度と運用の徹底が必要なのか。
 取材で、このタイプに対するモデルケースになったのが、教育の 「ベネッセコーポレーション」 と、アパレルの 「ワールド」 である。 この2社に共通する特徴は、 「上から順番に厳しい」 「上の人がよく働く」 ということであった。



 


 例えば、ワールドでは、期末・期初に部門長は大勢の社員の前で、自分があげてきた組織の成果とその方法、あるいは、今期の方針と戦略についてプレゼンテーションをする仕組みがある。 それは、発表前に社内調整を終えた後の、形式的なものではない。 経営者を含め、出席する社員から評価を受けるという、非常にプレッシャーのかかる場である。 部門長としての自分の実力が丸裸にされ、チェックされる場なのである。
 すでに10年以上続けている仕組みなのだが、運用当初は、その厳しさに耐えかね、自ら降格を申し出る人も出てくるほどであった。
 ベネッセでは、インタビュー中、社員が口を揃えて 「上司が尊敬できるほど働く」 と答えてくれた。 ある執行役員に話を聞くと、 「仕事ができるだけではリーダーにしない。 人を大事にできない人はリーダーにしない」 というほど、リーダー選びを慎重かつ健全に行っていた。
 いっけん、当たり前のことかもしれないが、こうした運用が徹底できていない会社は多い。 ラクチン型は、注意する人が少なくなる 「上」 ほど実行しやすいタダ乗りである。 また、上がラクをしていれば、下もそれを見習う。 ラクチン型がはびこらないようにするためには、リーダーの登用と運用の原理原則を徹底することが必要である。

② 「アレオレ詐欺型」 への処方
 アレオレ詐欺が通用する職場には、大きく2つの原因がある。
 1つは、評価制度が結果偏重 になっていること。 それによって、評価者がそのプロセスに関心を寄せなくなり、言ったもん勝ちになってしまうことである。
 2つめは、上司の一存だけで評価を下せる仕組み になっていることである。 この場合、部下は、その上司にだけ、いい子ちゃんのふりをすれば高い評価を得るチャンスがある。 それゆえ、アレオレ詐欺型社員の話が出てくると、決まってその人は、上に対する態度と同僚に対する態度か違う、あるいは上が見ているときとそうでないときの仕事ぶりが違う、という話が一緒に出てくる。



 


 したがって、処方箋としては、
仕事のプロセスを 「それなりの重いウエート」 で評価する仕組みにする
360度評価などにより多面的な評判情報を収集し、一元的な情報で評価ができないようにすること
 が必要となる。
 典型的なケースが、よく事例でもとりあげられるGE( ゼネラルエレクトリック社 )である。 GEでは、GEバリューと呼ばれる行動評価があり、上司、同僚、部下、他部門、時には取引先からも評価を受ける仕租みになっている。 そして、それは業績と同等以上の重みで評価され、いくら業績をあげてもGEバリューが低ければ昇進できない。
 このような形であれば、アレオレ詐欺で手柄をアピールしてもうまみがないので、そのような行為の動機は抑制されることになる。

③ 「過剰自己愛型」 への処方箋
 このタイプの問題は、自己客観視力の欠如 である。 したがって、この力を鍛えることが必須 となる。 上司や人事が厳しいフィードバックを嫌がって避けていると、本人には何も伝わらない。 伝わらないどころか、誤解を生み、 「自分はオッケーなんだ」 と認識してしまう。 いい顔をしたい気持ちはわかるが、それをやってしまうと、問題があとに持ち越されてしまう。 そして、まともなフィードバックをする人が、後にこのタイプの被害者となる。
 加えて、教育機会をしっかり与えることが必要となる。 ただダメ出しをしても、方法論がわからなければ、行動の改善は起きない。 そうすると、ずっとダメ出しをされることになる。 それはいつしか、会社や上司に対する 「逆恨み」 の感情を育ててしまうことになるので、危険 である。

④ 「暗黒フォース型」 への処方箋
 暗黒フォース型がはびこっている組織の典型的特徴は、 「挑戦をしても得にならない。 それどころか失敗でもしようものなら出世がなくなる。 出世のためには、そんなことよりも政治的にうまく立ち回ることのほう、が重要」 というものである。
 この真逆のモデルケースになるのが、ユニクロを経営するファーストリテイリングである。 成功体験を棄却しなければ達成できないような、大きな目標を常に掲げ、そこに挑戦することを強く奨励する。 言葉だけでなく、挑戦し成功をおさめれば、抜擢もされる。 逆に、挑戦しようとせず、既存の延長線で行動をしているようだと交代が行われる。
 挑戦するのが得であり、挑戦して成果を出すこと以上に出世に大切なことはないという人事が徹底 されている。 スターウォーズになぞらえて名付けた 暗黒フォースは、悪しき官僚病であり、企業の闇 である。 対処が遅れ、組織風土として席捲されてしまうと、本当に企業を倒しかねない負のパワーを持っている。 そうなったときには、自力では解決できない、深いフリーライダー問題になっていると認識しておいてほしい。

 以上、タイプごとの対策を見てきたが、最も本質的なことは、 「フリーライドするなんて考えもしない」 くらい社員から愛される会社にすることである。 そのためには、 「社員に支えられているんだ」 ということを心から思い、厳しいことも言うけれど、社員に対する感謝と認知を忘れないという経営者の態度が欠かせないことを最後に付け加えておく。











   






  「リーダーシップとは何か」 と問われると、色々な答えが返ってくる。 しかし、 「自分が実践するリーダーシップの具体的定義、具体的行動原則にしていることは何ですか」 と問うと、管理職をやっている人で、すぐに手を挙げて答えられる人は少ない。

 自分にとってのあるべき行動が具体的に定義できていなければ、自分の行動を内省する基準がなく、日々の実践を通じてリーダーシップを成長させていくことなどできない。

 あるいは、その成長はのんびりとしたものとなり、このスピード変化の時代に通用しない管理職になってしまう。

 ある企業から、 「抽象的なリーダーシップ論はいいから、個人個人に自分がコミットメントするリーダーとしての具体的な行動を決めさせて欲しい」 という研修依頼を受けた。 とても実践的で、面白い取り組みである。

 そのプログラム全体の中の1つのメニューとして、 「反面教師」 について考えてみるというワークショップもやった。

 よいモデルばかりではなく、 「こういうことをやったらリーダーとして信頼を失う」 「チームをダメにする」 ということも確認しておいたほうが、出席者のためになるからだ。 バカらしいと思うことでも、人は気づかぬうちに、自分がその行為をやっていたりするものだ。

 たとえば、電車の中で足を広げて座る男性。 自分の隣や前にそういう人がいたら腹が立つのに、気づかないところで自分もやっている人はいるのではないだろうか。

  「反面教師」 を議論する1つの題材として、 「暗黒フォース型のリーダー」 を取り上げた。 そして、社内で自分が出会ったことのある暗黒フォース型リーダーの言動分析を、実体験を基にグループ・ディスカッションした。

 その中身がとてもユニークで、反面教師の例示として多くの人の役に立つと思ったので、一部を紹介したいと思う。





 詳細に入る前に、 「暗黒フォース型リーダー」 について再確認しておく。 これは映画 『 スター・ウォーズ 』 に由来する命名である。 負のオーラ( 言動 )を放って、部下のやる気を削いでしまうリーダーである。

 調査によると、 「暗黒フォース」 は感染し、若いときにこのフォースでやられた人が管理職になると、今度は自分の部下に同じようなことをやってしまっているというパターンが、いくつかの企業で見られた。

 そんなことを繰り返していたら、この厳しい環境下で競争力を持つことなどできなくなる。

 スターウォーズはリーダーシップ物語として観ると、実に学び深いものがある。 ダース・ベイダーの誕生は、ジェダイたちのリーダーシップのミスである。 ジェダイとは、物語的には 「良いもの役」 である。 しかし、彼らはリーダーシップにおいてはミスをした。 若くて優秀なアナキン・スカイウォーカーに対して、いつまでも子ども扱いをした。

「お前には無理だ」 「お前は引っ込んでいろ」 「言うことを聞いていればいいんだ」 「信用がおけない」 と ―。

 やる気があって正義感も強いアナキンは、不満を強く持ちながらも、この言葉や扱いを我慢した。 しかし、その我慢も限界がきたところを、シス( 悪いもの役 )の甘言に乗ってしまい、悪に落ちた。

 こうしてジェダイたちは、自分たちの味方として最も頼もしい人材を、自分たちの最大の敵にしてしまったのである。 その最大戦犯は、シスではなく、当のジェダイたちのリーダーシップのミスだったのである。

 ここからわかることは、暗黒フォースはどうしようもないリーダーの独壇場ではなく、 「自分は普通」 と思っている人もその行動リスクがあるということだ。 意識をしていないと、気づかぬうちに部下のやる気を削いでしまっている可能性がある。





 さて、それではその企業のグループディスカッションで出てきた、 「上司のこの言動が部下のやる気を損ねる」 という実例を紹介したいと思う。 たった一言だが、やる気を削ぐパンチ力のあるものばかりを、5つ紹介する。

( 1 ) 「誰の指示?」

 「俺を通していないでしょ」 「何を勝手にやっているの」 という言い分を伝えたい一言。 内面には、 「お前らは俺の指示にだけ従って仕事をしていればいいんだ」 というボスイズム。

 自分の判断で自律的に仕事をしている人は、この一言で凍る( ところが、 「社長の指示です」 とか、その人よりも偉い人の名前を出されると、急に言うことがモゴモゴし始めるらしい )。

( 2 ) 「どーすんの、これ?」

 「俺は知らないからね」 「俺は責任取らないからね」 「お前らで何とかしろよ」 というオーラ全開。 「だって、あなたがこれやれ、これがいいと言ったからやったんでしょ」 と言いたいところだが、部下は言えない。 失敗の責任だけとらされてしまう。 今後、何か挑戦しようとするモチベーションはゼロになる。

( 3 ) 「好きにしたら?」

 「好きにやってごらんよ」 と似て非なるもの。 「好きにやってごらんよ」 という言葉からは、信じて任せてくれて、見守ってくれる温かさと安心感を得る。 しかし、 「好きにしたら?」 は、たいてい投げやりで冷たい言い方を伴い、上司の関心のなさが伝わってくる。

 そのくせ、本当に好きにやっていたら、時として 「忙しいときに何やってんだ」 とか 「そんなことをやって何の意味があるんだ」 という言葉を浴びせられる。 失敗したら、当然守ってくれない。

( 4 ) 「本社に聞いて」

 完全に責任回避。 本社に聞いたら説明に時間がかかるし、ややこしいから自分たちで進めてきたのに ……。 それをわかっていてのこの言葉。 戸惑っていたり、お言葉を返すと、 「本社に聞かないとダメでしょ、そういうこと進めるなら。 組織人としての常識を通せよ。 まったく今の若いやつは ……」 などとキレて脅される。 日頃、自分は本社の悪口ばかり言っているくせに ……。

( 5 ) 「……」 ( 機嫌悪そうな顔で無言 )

 人のやる気を削ぐのに、言葉はいらない。 たとえば会議室に入ってくるとき、たとえば営業店や事務所に入ってくるとき、なぜかいつも機嫌悪そうな顔。 そして無言。

 本人は 「大物オーラ」 を出したいのかもしれないが、周りはただただ迷惑。 そのくせ口を開いたと思ったら、 「何だよ、意見がちっとも出ないな。 もっと頭使って、考えて仕事しろよ」 などと言う。 部下は 「誰のせいで思考停止しているのか」 と言いたいが、言えない。





 どうであろう。 暗黒フォースが持つ 「負の力」 は本当に馬鹿にできないことに気づいてもらえたであろうか。 たった一言でも、十分やる気を削ぐ力を持っているのである。

「暗黒フォース型リーダーの」 罪は、そればかりではない。 「自分はこれで仕事をしている」 という気になっていることも罪である。

 彼らは、 「指示をすれば部下は勝手に動くものだ」 という誤解をしている。 リーダーシップを 「リーダーたちの研ぎ澄まされた行動」 という理解ではなく、 「権威」 という解釈をしているのである。

 しかし、そう解釈してしまっているので、これまで例示したような言葉を使うことで 「自分は管理職としての仕事をしている」 と思い込んでいるのである。 こうしたことでヘコまされる部下のモチベーションは、多少のお給料のインセンティブだけでは、埋め合わせが効かないのではないか。

 社内で 「モチベーション」 がテーマになると、すぐに報酬制度の話題を持ち出す企業は相変わらず多い。 報酬ももちろん大切なことだが、それ以上にまず、自分たちの会社のリーダーシップのあり方、リーダーの登用のあり方に目を向けて手を入れたほうが、社員のモチベーション回復は早いと考えるのだが、いかがであろうか。






   ワースト3



 バラバラな職場には、共通の特徴があります。 もし、結束力が不足していると感じている職場なら、その特徴が見え隠れしているでしょう。

 たとえば、真剣になれてワクワクする組織の共通目標がないと、結束に向かうことは難しいでしょう。 チーム全体で前向きなことを考える時間がない場合も同様です。 目標もなければ、未来に目を向けて考える時間もないのでは、日々の仕事をこなすだけになっていき、結束力を発揮するにはほど遠い状態です。

 キーボードを叩く音しか聞こえてこない職場、リーダーがメンバーのやっていることを把握できていなかったり、リーダーが打ち出した方向性をメンバーが信頼していなかったりする職場も、結束力は強くなりません。 意思決定がブレることが多い職場も同様です。

 リーダーが積極的にメンバーの悩みを聞いているのに、きちんと解決していく動きにつながっていないときも結束力は低下します。 これもリーダーに対する信頼が揺らいでいる状況です。

 仕事のやり方でも結束力の弱い職場には、特徴がいくつかあります。 メンバー同士でサポートし合う役割がハッキリとしていないので、助け合うことができない職場。 誰からも業績や結果を向上させるアイデアの提案がない職場。 リーダーの指示がなければ、メンバーは動かず、安心してものを言えない雰囲気の職場。 「見ない・聞かない・言わない病」 になっている職場も問題です。

 こうした職場では、お互いの行動に関心を持たず、無反応であることが多くなりますし、アイデアを出した人、提案した人にそれを実現する責任が割り振られてしまう、といった結束力を低下させる事態が常態化します。

 そしてなにより、このようなバラバラな職場では、仕事のできる人ほど、さっさと辞めていく傾向があるはずです。 「ここにいても、いい仕事はできない」 とか 「この上司の下では自分は成長できない」 と不満ばかりが募っていくからです。

 せっかく、優秀な人材を集めても、このような職場に配属すると、大きな成果は期待できませんし、辞める口実を与えているようなものです。

 チームがバラバラな状態にあるとき、その責任の多くは、リーダーにあります。 リーダーの何気ない言動が、信頼関係を崩しているのです。




 リーダーも十人十色。 いろいろな事情で、いろいろな性格の人がリーダーとなっています。 それでも、結束力を低下させているリーダーには共通の特徴があります。

 リーダー本人は意識していなくても、メンバーはリーダーのおかしな行動をよく見ています。 そして 「こんなリーダーでは ……」 とか 「こんなチームでがんばっても ……」 とネガティブな気持ちになり、チームはバラバラになっていくのです。

 職場をバラバラにするリーダー。 そのワースト3位は、 「朝、不機嫌なリーダー」 です。 自分がチームの意思決定を遅らせていることに気づいていないのです。

 「今朝のリーダーは機嫌悪そうだな。 じゃ、この話は午後にしよう」 とメンバーは先送りしてしまいます。 意思決定の遅れと、リーダーの顔色を窺うメンバーばかりになっていき、チームはまとまりを失っていきます。

 チームをバラバラにするリーダーのワースト2位は 「主役でいたいリーダー」 です。 トップセールスマン、開発のエースなど、主役として光り輝いてきた人たちです。

 リーダーになっても、いつまでも自分が主役でいたいと考えているとしたら、後継者を育てることはできません。 自分を追い抜くような優れたメンバーは他へ移ってしまい、ただ従うだけのメンバーばかりが残り、結束力は弱いままです。

 そして、チームをバラバラにするリーダーのワースト1位は 「叱れないリーダー」 です。 いつもニコニコしていて、人当たりがよく、いい人そうなリーダーの中に、メンバーを叱れない人がいます。 または、いつも気分次第で怒鳴り散らしたり、特定のメンバーだけを攻撃するようなリーダーも、実は、叱れない人です。

 こうしたチームでは、誤った行動をそのままにしているので、チームは成長せず、結果も出せず、バラバラになります。

 ほかにも、まだまだ問題のあるリーダーの言動があります。

 「私のやり方に間違いはないんだと叫ぶリーダー」 は変化を恐れるため、言われたことをやるだけのメンバーと、変化を求めるメンバーが分離していきます。

 「会議で自分の言いたいことだけでまとめてしまうリーダー」 は、議論を聞いていないのと同じことになるので、チーム内に無力感が広がり、結束力は低下するでしょう。

 「約束を守れないリーダー」 は、チームから退場勧告が出されたも同然です。 約束を守らない、時間を守らないリーダーは、チームからリーダーとは認められないのです。 求心力を失った職場は結束どころではなくなります。

 「人から指摘を受けないリーダー」 は、腹心のメンバーが離れ、結束力が失われていくのです。 「もったいない」 と私が思うのは、このタイプのリーダーです。 仕事はできます。 そして今後も、高いレベルでの成果が見込めるリーダーです。

 しかし、メンバーからの指摘は受けない、たとえ聞いても、受け入れて自分を変化させないとなると、そのリーダーが生み出す結束力には限界があるのです。

 結束力を低下させているリーダーたちによって、少しはあった結束力は失われるでしょうし、もともとバラバラなチームは、なかなか結束力が生み出せません。




 結束力をつくり出すためには、リーダーが率先して行動していく必要があります。 ですが、部下の中にも、結束力を低下させる人たちがいるのも事実です。 リーダーは、こうした人たちが増えないようにすること、そして少しでも、自覚してもらって、結束に向かう行動を取れるように、働きかけていくことが重要になります。

 メンバー間の行動に関心を持たない 「ムカンシンさん」 は、どの職場にもいるのではないかと思います。 そもそも 「結束力? ナニそれ?」 と、醒めています。 自分は自分、他人は他人でいいじゃないか、と主張します。

 そうした主張すらせず、 「話しかけないでくれ」 とオーラを発している人もいます。 人によって、このような態度を職場で示す原因は違うでしょうから、ムリにやらせようと思っても、うまくいきません。 その原因を自ら話すか、自覚して、一緒に行動しようと決意してくれることを期待し、働きかけていくのです。

 とはいえ、リーダーも忙しいので、すべての 「ムカンシンさん」 に時間を割いて働きかけるわけにもいきませんから、少なくとも、他のメンバーによる結束力を高めていきながら、これ以上は 「ムカンシンさん」 が増えないようにしなくてはなりません。

 どうせ言ってもやっても無駄と思い込む 「アキラメさん」 もいるでしょう。 こういう人が増えているとしたら、かなり危機的な状況です。 このタイプの人は、やる気はあったのです。 それがうまくチームの中で発揮できないから、結束しようとしてくれません。

 このタイプは、まだ可能性があります。 リーダーが、その人のあきらめている理由をよく聴き出して、理解してあげることが第一歩となります。 時間はかかるでしょうが、本来、やる気はある人なので、持っていた意欲を引き出すようにしたいものです。

 メンバーの長所と解決策を考えない 「ミナイさん」 もチームにとってはマイナスに作用することがあります。 メンバーのいい部分を認めようとしない、問題を主張はしても、解決策は考えない。 これでは、チームに貢献できません。 まだ自分の役割に気づいていないか、役割を勘違いしているのではないでしょうか。 チームで行動することを理解してもらう必要があります。 そのために、ほかのメンバーによって結束を高め、チームとしてのやり方を示し、結果を見せていくことが、そうした人たちへの強力な働きかけとなっていきます。




 これまでの結果に満足できないなら、結束力を高めることです。 それによって、結果を変えることができるからです。 より満足のいく結果を得られるのです。

 なぜなら結束力の弱いチームや職場、組織には、アウトプットとしての結果を変えていく力が足りないのです。 「なんとかしよう」 と思っても、期待した結果を下回っていませんか? それは、結束力が弱いからなのです。

 残念ながら、過去に成果主義や、個人スキルを高めることだけに力を注いできたため、人と人の結びつきから生まれる相乗効果が弱くなり、メンバーの助け合う力が発揮できない状況になっている職場が、日本にはたくさんあるのです。

 たとえば、組織の問題解決。 多くの問題が見えていても、解決に向けて行動するのは常に個人単位という状況では、解決できない問題が増えるばかりでしょう。 できる人にばかり仕事が押しつけられて、問題解決をする時間が削がれていきます。

 「できない人間はいらない」 と思い込んでいるリーダーの下では、メンバーは各自で必死に働いています。 しかし、解決できるものはわずか。 それによって疲弊し、チームの力はいつになっても発揮されません。 たまたま成果が出た人だけが評価され、できなかった者は去っていく ……。 それでは、結束力など生まれるはずもないのです。

 そんな状態で、突然、リーダーが 「これからはチームワークだ」 と宣言しても、急に結束力は生まれないのです。

 だからこそ、私たちはいま、あらためて 「結束力」 を考え、強化していく必要があるのです。 もちろん、 「仲よしクラブ」 をつくろうというのではありません。 仲がよいことは、いいことですが、職場にはもっと大きな目標があります。 そこに向かっていくための原動力としての結束力を生み出し、 「戦えるチーム」 にしていくこと。

それが、 「バインディング・アプローチ」 であり、
  ① 【共通の目標】
  ② 【やらないこと】
  ③ 【信頼関係】
  ④ 【助け合えるフォーメーション】
の 4本の柱なのです。