( 2017.12.19 )

  


 「うちの子だけは残業させるな!」 「取引先との会食に参加する義務はない!」 などと理不尽な要求を突き付ける新卒社員のモンスターママ( 以下、モンママ )。 モンスターペアレント( 以下、モンペ )に対して、会社はどう対応すべきか?

【S社概要】創業25年の求人広告を扱う広告代理店。従業員は150名程度で、20代、30代の営業社員が多く、社内は比較的自由で、和気あいあいとしている。毎年新卒採用を行っており、社員育成のための教育プログラムも充実している。
(登場人物)
石黒部長:人事部長。 40代半ばで、採用から育成までを一手に担う。 真面目な人柄で、冷静沈着。
赤井主任:営業部主任。 30代の既婚男性。 仕事を愛しており、部下の面倒見もいい。 熱血タイプではあるが、部下の話にもきちんと耳を傾ける姿勢から周囲の評価も高い。
青木:新卒社員。 大学卒業後、明確なキャリアプランがないまま入社した。 仕事で上司から注意を受けることが多いため、本人のモチベーションも下がっている。


新卒のモンママから人事部に抗議の電話


職場でモンペからの執拗な電話攻撃に悩まされた経験はないか?
 「うちの子には 『残業をさせないでくれ』 って言っているんです! うつ病になったら、どう責任とってくれるんですか!」

 石黒部長の耳元の受話器から、女性の怒鳴り声が響いている。 新卒で入社した青木の母親を名乗る女性から 「息子の帰りが遅いが、毎日そんなに残業させるのはどういうつもりか?」 「取引先との会食なんて仕事じゃないのだから参加する義務はない!」 「毎日仕事で上司に叱られると息子が言っている。 パワハラじゃないか!」 といった電話がかかってきたのだ。

 石黒は 「確かに残業はありますが、通常は1時間以内程度の残業ですし、パワハラは特にこちらでは認識しておりません」 と丁寧に応対したが、モンママの興奮は収まらない。

 石黒は 「とりあえず、残業とパワハラについては調査の上、後日、改めて連絡します」 と何とかなだめて電話を切った。


新卒の上司である主任を呼び出し、 現状を確認すると…

 石黒は早速、青木の上司である赤井主任を呼び出した。 電話の内容を伝えると、赤井は青木の現状について話し出した。

 「実は現場で、青木がちょっと問題となっていまして……。 先輩から引き継いだお客様から、 『マナーがなっていない』 『レスポンスが遅い』 など多数のクレームを受けているんです。 本人に指導しているのですが、なかなか改善できなくて。 時間をかけて育てていくつもりですが、よく怒られるので本人のモチベーションも下がっているようです。 残業は基本的に1時間以内で、遅くまで残るということはないです。 ましてや、パワハラなんて、私も含めてそういったことはしていません」

 石黒は、念のため他の営業社員にも状況を聞いてみたが、青木については、皆があまり心良くは思っていないようだった。 何度注意されても改善の様子が見られず、責任感のなさが目立つので、周囲も呆れているとのことだった。 残業やパワハラについても、赤井主任と同じ言い分だった。

 石黒は、青木本人からも話を聞くことにした。

 「君のお母様から会社に連絡があったが、実際にそういうことはあったの?」

 石黒が青木に尋ねると、青木はボソボソと話し出した。

 「会社案内を見た時に、 『定時は18時』 って書いてあったのに、割と頻繁に19時近くまで仕事をさせられています。 友達との飲み会にも遅れることも多いので、それは不満です。 それに、主任からクレームの件で怒られたんですが、一方的に僕に対して注意するのはおかしいと思います。 お客さんの方が分かっていないっていうか、頭が悪いっていうか、それを僕のせいにされても困ります。 理不尽に怒られるのはパワハラですよね?」

 石黒は 「できるだけ残業を減らす努力はしてもらうが、営業職だと、打ち合わせがあれば時間を過ぎてしまうこともある」 「クレームは、主任から見ても青木さんに非があると判断したから叱っているのであって、謙虚に受け入れる必要がある」 と、やんわりと伝えるが、青木は納得いかない表情だった。

 「怒られると、やる気も下がるし、精神的にも追い詰められる」

 青木がこう言うので、石黒は 「とにかく、タイムカードなどの記録を見る限り、長時間労働とは言えないが、今後も主任にはできるだけ残業を減らすように指導していくので、青木さんも主任の指導を素直に受けるように……」 と伝えて面談を終えた。


逆上したモンママからの執拗な電話攻撃が止まらない

 翌日の朝、青木の母親から石黒宛てに電話が入った。

 「うちの息子が昨日の夜から部屋に引きこもってしまった。 今朝も 『もう会社を辞めたい』 と言っている。 長時間労働とパワハラで訴えるつもりだ!」 とすごい勢いで喚き散らした。

 石黒は 「青木さんの上司とも話し合いを行い、何度も長時間労働といえるような残業はなかったこと、パワハラではなく、通常の指導の範囲であったこと」 の調査結果を報告したが、モンママは石黒の報告を全く受け付けず、自身の言い分をまくし立てるだけで、一向に埒が明かなかった。

 そのため石黒は半ば強引に電話を切ったが、モンママはその後、何度も何度も電話をかけてきては、同じことを喚き散らした。 石黒は電話を取り次がないように部下に言ったが、今度はその部下を相手に攻撃をしてくる始末。 結局その日はモンママから何度も何度も電話がかかってきて、全く仕事にならなかった。


精神的に追い込まれた石黒は モンママにどう対峙したか?

 その後も、青木は無断欠勤を続け、モンママから毎日のように電話がかかってきた。

 「息子は精神的ショックで部屋から出られなくなった」 「うちの子だけ残業はさせないと約束しろ」 「うちの子は赤井とかいう主任より学歴もいいし、能力が高い。 それを嫉妬してうちの子をいじめている」 「人事部長としての責任と役割をどう考えているのか?」 などと、時には2時間以上も話が続くこともあった。 そして電話を切っても切っても、執拗に何度もかけてくるため、S社の営業にも支障が出てきてしまった。

 その都度対応していた石黒も段々と精神的に追い込まれて疲弊し、電話が鳴るとついに動悸がするようになってしまった。

 石黒は 「このままではいつまで経っても解決しない」 と意を決し、会話の頻度と時間、内容を記録するようにした。 そして、青木の母親から電話がかかってきた際に、ついに切り出した。

 「お母様、私どもは今回の件では、青木さんご本人や主任、同僚からも話を聞き、タイムカードや警備システムの時間を調べて、長時間労働やパワハラはなかったと認識しています。 それでも、毎日このようなお電話をいただくとは、業務妨害であると考えています。 これからは会話を録音させていただき、警察に相談させていただきます」

 モンママは 「警察は関係ないだろう!」 と騒いでいたが、怒って電話を切った。 その後はモンママからの連絡がプッツリと途絶え、青木もそのまま無断欠勤が続いたため、就業規則に則り、退職扱いとなった。

 その後、しばらくは電話が鳴るたびにドキドキしていた石黒も、ようやく表情が明るくなり、S社にも平和な日常が戻ってきた。


モンペ対策で気を付けたいこと

 いかがだっただろうか。 社員のモンペ問題に頭を抱えているところは少なくないだろう。 今回の事例から気を付けたい点が2つある。 それは、録音問題と体調異変だ。

(1)通話の録音は証拠能力があるのか?

 企業側にとってトラブルになった時、録音を考えるだろう。 その際に、今回のケースのように事前に 「録音する」 と伝えた上での録音であればいいのだが、相手側に通知することなく内緒で録音した場合、通話の記録は証拠能力があるのだろうか?

 相手側に内緒で録音した場合の証拠能力は、判断が分かれる場合がある。 やはり、トラブル防止のためには録音することを事前にアナウンスした上で行う方が無難だ。

 相手に 「録音する」 と通知した時点で 「秘密録音」 ではなくなり、証拠として認められやすくなる可能性が高くなるようだ。 ただし、録音内容を第三者に聞かせたり、ネットなどで公開したりといった行為をすれば、プライバシー侵害、名誉棄損等で違法となる可能性があることに留意してほしい。

(2)電話応対者の体調異変が起こったら早急なケアが必要

 本件では、モンママの業務妨害が原因で、石黒の精神に変調を来していることが明らかである以上、このまま放っておくと体調が悪化していく可能性が高い。 そのため、一刻も早く石黒のケアをしなくてはならない。 そしてこの場合、社員の安全管理という点からも、早急に悪質な行為を止めさせるため、裁判所に 「迷惑行為の差し止め請求」 を行うこともできる。

 ただし、社員の親が迷惑行為をしていることを理由に、社員に懲戒処分を科すことはできないので、問題社員への対応には細心の注意を払ってほしいと思う。





( 2016.06.25 )
!?
   



経験がないからではなく、知識が多すぎて行動できない

 研修中、若手社員にこう尋ねます。 「どうしたら、もっと果敢にチャレンジできますか」

 すると、こんな答えが圧倒的に多いのです。 「もっと経験を積めば、積極的に行動できるようになると思います」

 その一方で、彼らは失敗が許される研修の場でも、躊躇して周りの受講者の様子をうかがい、冒険やチャレンジをしようとしないのです。 これが、ビジネスリーダーと決定的に異なる彼らの特徴です。

 彼らは 「経験がないから」 と分析しているようですが、私は 「知識が多いから」 と分析しています。

 彼らはインターネットを使い、かつて私たちの若い頃だったら触れることのできなかった膨大な量の情報にたやすくアクセスできるようになりました。 こうして彼らは体系化されていない自分にとって都合のいい断片的な知識のみを次々とストックしていきます。

 彼らは知識という在庫を抱えすぎて、身動きがとれなくなっているような気がします。

 そんな彼らは、口癖のように始めから 「無理、無理、絶対に無理」 「最悪(さいあくぅ~)」 を繰り返し、途中経過の報告を求めると 「普通」 「微妙」 「別に」 の3語ですべてを片づけようとするのです。

仕事に 「やりがい」 を求めていないから、よい条件があれば簡単に転職をする。

ちょっと嫌な思いをすると、何も言わずに帰宅してしまったきり会社に来なくなる。

会社に対する忠誠心もなく、ちょっと目を離せば、すぐに仕事の手を抜く。

やりたい仕事に就けなければ、平気な顔で有給休暇を使って転職活動をし始める。

入社して数ヵ月で鬱病になり、その後ずっと病欠扱いが続いている。

 これは、よく耳にする最近の若手社員のいくつかの特徴です。

 「石の上にも3年」なんて言葉は今や昔。 「嫌なら環境を変えればいいのさ」 というお気楽な発想のもと、今の若者たちは簡単に会社を辞めてしまうようです。


リスペクトなき世代

 私はリスペクトには2つの側面があると思っています。

 (1) 他人、特に上司や先輩など目上の人に対する尊敬の念
 (2) 基本を尊重し大切にする心

 この2つのリスペクトを持つことは、ビジネスに限らず、あらゆる分野で成功する要素になるという主張に異論はないでしょう。

 この2つがなければ、学歴や知識や資格などは何の意味も持ちません。

 このリスペクトは親のしつけの問題です。 そういった意味で、家庭や学校でしつけをされなかった社員は、教育の前にしつけが必要になります。

 もちろん、親がきちんとしつけをしてきた家庭もたくさんあります。 体育会などに所属し、自ら率先して礼節を学んだ人たちもいます。 このように最近の若者世代は、個々の意識や能力が均一化されていない差の激しい世代でもあります。

 また、彼らは一見、人当たりがいいので、経験の浅い採用担当者だけでなく、純粋で単純なわれわれオヤジ世代も簡単にだまされてしまいます。 インターネットの普及により情報がリアルタイムで流れますので、どんな質問をされるかなど事前にわかっている人が多く、面接慣れしているという特徴もあります。 第一印象はよいのだが、付き合いが長くなればなるほど信頼を失うタイプも多いように感じます。


そして誰も怒らなくなった

 これまで若い人たちを悪く書いてきましたが、もちろん若い人たちの中にも 「優秀な社員」 はたくさんいます。 私の経験では、彼らのうち全体の2~3割が意識も能力も高く、また礼儀などの常識もわきまえています。 彼らは今後、確実に目覚ましい成果をあげ、当然のことながら同期の他の社員と比べて、早く出世することになるでしょう。

 そんな 「優秀な社員」 は、残念そうにこう言います。 「怒る人がいない」と。

 「優秀な社員」 も、 「俺様社員」 のことは、あまりよく思ってはいないようです。 そして、 「怒る人」 がいなければ、 「俺様社員」 は変わらないと言うのです。

 すべての大人が 「いい人」 を演じ、厳しく接する人が激減しました。 親も学校も、しつけや礼儀などの基礎的な教育をしなくなりました。

 私は大学生の頃、家庭教師のアルバイトをしていましたが、自分の子供に嫌われたくないと願っている一部のバカ親から、 「先生が、ちゃんと怒ってください!」 と怒られたことがありました。 そんな要求をする両親は、友達のような親子が理想の親子関係だったのでしょう。 学校の先生に怒ることを期待できなくなっていた時代でしたので、家庭教師の私に要求してきたのだと思います。

 こんな親たちは 「自分の子供には苦労させたくない。 失敗や挫折を経験させたくない。 辛い思いをさせたくない」 と言います。

 学校では、かつてのしつけが体罰とみなされ、厳しい教師は姿を消しました。 教師は尊敬の対象からも外されました。 小学生の低学年ですら、学校の教師を恐い存在とは思わず、学級崩壊は珍しいことではなくなったのです。

 そして、会社では、怒鳴っただけでパワハラになるような時代です。

 子供や若い人たちにとって、もはや年上の人やオヤジは、自分たちの思い通りに動いてくれる人であり、恐い存在ではなくなってしまったようです。


モンスターペアレントがモンスターチルドレンを生む

 モンスターペアレントは、自分の子供を学校や社会に合わせるように教えず、学校や社会を自分の子供に合わせるように強く要求してきます。

 自分の子供が注意されたことに逆上して職員室に乗り込んだり、早朝であろうが深夜であろうが教職員の自宅に電話をかけ、何時間もクレームをつけたりします。

 ほかにも、 「自分の子供がリレーの選手に選ばれないのはおかしい」 と再選考を迫ったり、 「うちの子はニンジンが嫌いだから、給食からニンジンを抜いてほしい」 と要求したり、 「宿題を忘れたくらいで子供を怒るとは一体どういうことか」 と苦情を言ったり、さまざまなケースがあるようです。 いずれも、自己中心的で、従来では考えられない自分勝手な言い分を主張してきます。

 このモンスターペアレントは、子供が会社に就職すれば、入社式にやってくるだけではなく、その後も影響力を発揮し続けます。

 「今日は会社を休みます」 という電話を、母親がしてきたなんていう話は決して珍しい例ではありません。

 「うちの子はウォシュレットでないと用を足せないので、会社のトイレもウォシュレットにしてもらわないと困ります」 と総務に電話で環境改善の要求をしてくる母親もいるそうです。 企業は、労働組合対策に加え、モンスターペアレント対策までしなくてはならなくなる時代も遠くないのかもしれません。

 そんな親に育てられた子供も、世間の一般的な常識とは大きくかけ離れた考え方をするようになるでしょう。

 昔の親は、子供に恥をかかせないように一生懸命に努力をしてくれました。

 もし子供が人様に迷惑をかけるようなら、親の責任で子供を殺めることすら辞さない覚悟もありました。

 かつて、親は絶対的な存在でした。 恐い親のいる自宅という場所は、ある意味では居心地の悪い場所でもあったわけです。

 元来、しつけやマナーなどの最低限の教育は、親の役目であったはずです。 しかし、親の価値観自体が変わり、その親に育てられた子供も当然のことながら、親と同じ価値観を持ち合わせていきます。

 こうして、人の痛みもわからず、他人を尊重することができないどころか、公序良俗に反するような人たちの割合までもが急激に増えてきてしまったのです。





( 2017.04.02 )




新社会人としてのスタートダッシュを決める意味でも、印象を悪くする行動はしたくは
ないものです

 いよいよ新年度。 この春から社会人となる新入社員諸君にとっては、入社早々失敗したくないと、緊張した日々を送っている人も多いことだろう。


学生気分の今だからこそ、
やらかしてしまいがち

 ​「遅刻をしないよう、余裕を持って出社する」 「清潔感のある身だしなみを心がける」 「提出書類や印鑑などの忘れ物に気をつける」 といった最低限のことには当然、気をつけているだろうが、その他にも、学生気分が抜けきらないこの時期だからこそやってしまいがちな非常識なミスがある。 人事の経験がある識者や20代の先輩ビジネスパーソンに話を聞くと、そんな失敗例が続々と出てきた。

 新人のミスは大目に見てもらえるものだが、あまりに非常識なことばかりしていると、さすがに上司や人事に悪い印象を与える。 以下、反面教師としてご紹介しよう。

NG行動1 研修中に寝たり、お菓子をつまんだりしない


 多くの会社では、入社直後に何らかの研修をおこなうはず。 ここで教わることは重要なことばかりだが、長時間の座学に耐えられなくなる人もいるようだ。

 亜細亜大学非常勤講師の関下昌代さんは、以前、企業の新入社員研修に携わるなかで、そんな新入社員を見てきたという。

 「よく見るのは、堂々と居眠りを始める人。 さらには研修中に、机の中からゴソゴソとお菓子を出して、食べ始める人もいました。 注意したら、 『え、だって、小腹が空いたので』 と悪びれずに答えられたことも( 笑 )」 ( 関下さん )。 居眠りも間食も、物事を教わる人の態度ではない。 研修とはいえ、勤務時間のうちだし、給料も支払われる。 大学では許されていたとしても( 本当はNGだが )、そうしたことをするのは絶対にNGだ。

 さらに、 「自分の配属先ではない部署のマネジャーが壇上で話し始めると、とたんに聞かなくなる人もいます。 せっかく各部門の人の顔と名前を覚える絶好のチャンスなのに、それを逃すのは、なんとも浅はか。 人事はそういうところからも、新入社員の態度をチェックしていますよ」と、指摘する。


休憩時間も、ハメの外しすぎはNG

NG行動2 休憩中に大声ではしゃがない


 緊張して研修を受けていると、休憩時間はホッとするものだが、何をしても良いわけではない。 「大声でしゃべっていたら、 『いくら休み時間でも、他人の迷惑を考えずに大声でしゃべるな』 と怒られた」 ( アパレル業界勤務・26歳 )という人がいたが、これは当然のこと。 隣の部屋で会議や商談をしていることもあれば、クレーム応対の電話をしていることもある。 会社に訪れたお客様に偶然目撃されることもありうる話だ。 社内はもちろん、社外の人に聞かれれば、 「非常識な会社だ」 という噂が広まるかもしれない。 「他にも、机の上に座って話していたり、研修の部屋で堂々と化粧したりする人も。もちろんダメです」 ( 関下さん )

NG行動3 タメ口をきかない


 関下さんは、新人研修に携わった企業の配属先から 「新人がタメ語で話してくる。 どういう教育をしているんだ」 と怒られた経験があったそうだ。

 社外のお客様には敬語が使えるのに、自分の部署や、他部署の人に対してなぜかタメ語で話し出す人がいるという。 フレンドリーに接したいのかもしれないが、最低限の礼儀は必要だ。 さらに、派遣社員の若い女性にタメ口をきく新入社員もいたと振り返る。 正社員だからといって偉そうにしていると、悪評が広まるのは間違いない。

NG行動4 仕事中、私物のスマホをチェックしない


 LINEやSNSをチェックしたり、ニュースを見たりと、1日中スマホをいじっている人は多いだろう。 長時間チェックしないと落ち着かないという、依存症の人もいるようだが、それが勤務時間中に出てしまうのは問題がある。 仕事の最中に、チラチラ、私物のスマホをチェックしていたら、 「仕事に集中していないだろう?」 と言われても文句は言えない。

 「休憩時間にスマホを見るのは構いませんが、スマホに没頭するあまり、研修担当者や上司と廊下ですれ違っても無視する人がいます。 これは感じの良いものではありません。 廊下ですれ違う時は、 『お疲れ様です』 と声をかけるか、軽く会釈をするのがマナーです」 ( 関下さん )


ランチや飲みの席でテーブル上にスマホを置かない

NG行動5 会計している様子を後ろでジロジロ見ない


 入社後、配属されると、上司や先輩にランチや飲みに連れていってもらう機会があるかもしれない。 そんなとき、最低限のマナーは守るようにしよう。

 「おそらく、上司や先輩にごちそうになると思いますが、上司より高いメニューを頼むのはマナー違反です。 親しくなってからなら構いませんが、最初のうちは上司と同じか、高くないものを頼んでおきましょう」 ( 関下さん )。 先輩にその店のオススメを聞いて、それを頼むのも手だ。

 ごちそうになった後、 「上司が会計を済ませている時に、その様子を後ろで見ていたら、 『ジロジロ見るな』 と言われた」 ( 新聞・26歳 )という人もいた。 お礼を言うために、近くにいたのかもしれないが、これもマナー違反だ。 会計をしている間、先に店外に出て、上司が出てきた時にお礼を言うようにしよう。 また、友人と一緒にいるときと同様に、テーブルの上にスマホを置くのもNG。 上司や先輩と話している時、チラチラとチェックするのは、失礼だ。

NG行動6 会社支給の携帯やパソコンをなくさない


 「会社から支給された仕事用の携帯を、いきなりなくした」 ( IT・24歳 )という人もいた。 仕事用の携帯電話、パソコンなどをなくしてしまうと、会社の費用のムダになるばかりか、悪用されるリスクもある。 社外秘の情報を抜き取られたら、大変な損失だ。 取り扱いはくれぐれもご注意を。 とくに、アフター5の飲みなどは要注意。 持っていくことを禁止している会社もある。 万が一紛失したら、速やかに会社に報告した方がいい。


欠勤の際は、メールだけではなく電話も入れよう

NG行動7 親に欠勤の電話をさせない


 慣れない環境で疲れがたまれば、カゼをひくこともある。 「社会人たるもの、少々の風邪ぐらいで休んではいけない」 という人もいるかもしれないが、同じ職場の人たちに感染しそうな時には、出勤を自粛すべきだ。

 ただ、問題なのは、欠勤の連絡仕方。 関下さんは、こんな新入社員にあ然としたことがあるという。 「風邪で欠勤の電話連絡がお母さんからかかってきたんです。 緊急事態で自分で電話ができない場合を除き、本人が電話してくるのが、自立した大人の取るべき行動です」。

 ここまでいかなくても、体調を崩した時の欠勤連絡は、メールだけでなく、上司に1本電話を入れるようにしたい。 メールだけだと 「ウソでは?」 と疑われることがあるし、失礼だと考える上司もいるからだ。

 「会社の同期会で飲みすぎて、二日酔いで翌朝出社できない」 という時は、話すとバレるので、メールだけにしておきたいところだが、ちゃんと電話しよう。 「二日酔いの時、 『風邪をひいた』 などとウソでごまかす人がいますが、バレたら大目玉です。 そもそも、翌日会社があるのに飲みすぎるのはダメですが、正直に言ったほうがまだマシです。 組織の一員としての自覚を持った言動をして欲しいですね」 ( 関下さん )。

 以上、 「こんなこと、やるわけないよ!」 という人も多いと思うが、一応、頭に入れておいてほしい。


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