高LDL血症、高トリグリセライド血症、低HDLコレステロール血症といった血液中の脂質の異常を総称して 「脂質異常症」 といいます( ※脂質異常症は、以前は高脂血症といっていましたが、HDL-コレステロールは高値の方が望ましいため病名が変更になりました )。

 血液中の脂質の異常があっても自覚症状がない場合がほとんどですが、放置すると血管の壁に血液中のコレステロールが付着して動脈硬化が進行し、心筋梗塞、脳梗塞、下肢の動脈閉塞など命に関わる病気や日常生活に支障をきたす病気を起こしやすくなります。

脂質異常症の診断基準
LDLコレステロール血症
検査値:LDLコレステロール ≧ 140mg/dl
( 悪玉のコレステロール:動脈硬化を促進するため )
HDLコレステロール血症
検査値:HDLコレステロール < 40mg/dl
( 善玉のコレステロール:動脈硬化を予防するため )
トリグリセライド血症
検査値:トリグリセライド(中性脂肪) ≧ 150mg/dl
※血清脂質値:空腹時採血( 動脈硬化性疾患予防ガイドライン2014版より )

 脂質異常症になる背景には遺伝的要因、生活環境や女性ホルモンとの関連など様々な要因が挙げられますが、特に食生活においては密接な関係があります。

 ご自身の食生活を振り返りチェックしてみましょう。
 数が多いほど要注意です。 食生活の改善は脂質異常症予防への近道!できる事から始めましょう。
1.揚げ物や肉料理を毎日食べる
2.お酒が好きで飲みすぎることも多い
3.水分はあまり摂らない
4.野菜は苦手
5.魚よりも肉料理の方が多い
6.夜食や間食を摂る
7.早食いである
8.ジュースや甘い缶コーヒーなどを良く飲む
9.ケーキや菓子など甘いものが好き
10.主食+主食(ごはん+麺のセット)を良く食べる
11.卵は1日1個以上食べる

脂質異常症予防の食事のポイント

腹八分をこころがけ、バランス良く食べること!

 今回はポイントを食事に絞ってみましたが、肥満、運動不足、喫煙を是正することも、脂質異常症を予防するにはとても大切なことです。できることから始めてみましょう。

1.肉類のおかずより魚介類や大豆製品のおかずを心がけましょう。


2.卵(魚卵を含む)、レバーなどの内臓系や肉の脂身などコレステロールを多く含む食品に注意しましょう。


3.アルコール、菓子、間食、甘い飲み物は控えましょう。


4.油を使った料理は控えましょう。
  特に室温で固体の脂肪( バター、霜降り肉、ラードなど )は控えめに。


5.野菜、海藻、きのこなど食物繊維の多い食品をしっかり摂りましょう。
  果物は食物繊維が多い食品ですが、果糖に中性脂肪を上げる作用がありますので注意しましょう。



検査項目
中性脂肪
検査の目的
中性脂肪は、エネルギー源であるブドウ糖が不足した場合、それを補うためのエネルギー源です。 体内に取り込んだエネルギーが余った場合、肝臓で中性脂肪が合成され、皮下脂肪として蓄えられます。
このように中性脂肪は人間の体になくてはならないものですが、肝臓で増え過ぎれば脂肪肝に、皮下組織で増え過ぎれば肥満につながります。 中性脂肪の量を調べることは、様々な病気の温床を断つことにつながるのです。
基準値
正常な場合は1デシリットルの血液のなかに50~149ミリグラム。 家族に太っている人が多いなどの体質的な条件もありますが、一般に太っている人は高めの数値になります。 また、食事の摂り方も検査値に大きく影響します。
異常値の場合に考えられる主な疾患
基準値より高い場合は高脂血症、糖尿病、ネフローゼ症候群、膵炎、甲状腺機能低下症など。 低い場合は、肝臓病、甲状腺機能亢進症、アジソン病、副腎機能不全などの疑いがあります。
受診時または検査時の注意点
中性脂肪の検査は、空腹時に行うのが基本です。 中性脂肪の増加は、多べ過ぎやカロリーの摂りすぎが原因になることが多いようです。 直接病気につながるわけではありませんが、動脈硬化をはじめ危険な病気の原因になりかねません。 検査で高い数値がでた場合は体重を落とすこと、摂取カロリーを減らすこと、適度な運動をすることを心がけましょう。


HDL-コレステロール
検査の目的
脂質であるコレステロールはそのままでは血液に溶けないため、特殊な蛋白質がくっついた 「リポ蛋白」 という形で体内を巡っています。
このリポ蛋白にはいくつかの種類がありますが、そのうちHDL-コレステロールは、血液中の余分なコレステロールを肝臓に運ぶ役割をしています。 いわば血液中のコレステロールが増えるのを防いでいるわけで、 「善玉コレステロール」 と呼ばれています。
一方、コレステロールを細胞に届けているのがLDL-コレステロールです。 細胞に必要以上にコレステロールが増えてしまうと、血管を硬化させ動脈硬化を促進します。 このため 「善玉」 に対しLDLは 「悪玉コレステロール」 と呼ばれています。
基準値
基準値は男性の場合、1デシリットルの血液のなかに40ミリグラム~86ミリグラム。 女性の場合、40ミリグラム~96ミリグラム。 「悪玉」 であるLDLは70~139ミリグラムが基準となっています。
異常値の場合に考えられる主な疾患
HDLが基準値より低い場合は、動脈硬化、高脂血症、虚血性心疾患などへの危険があります。
受診時または検査時の注意点
HDLとLDLのバランスが重要です。 コレステロール値が高めでもHDL値が高く、LDL値が低めなら問題がありません。 逆の場合は、将来狭心症や心筋梗塞などの病気を招く危険性が高いので注意しましょう。


総コレステロール
検査の目的
総コレステロールは、血液中の重要な脂肪です。 主な働きは細胞膜や血管壁を構成する、副腎皮質ホルモンや性ホルモンを合成する材料になる、食物の消化・吸収に欠かせない胆汁酸の原料になる、などがありあます。
このように重要な役割を果たしているコレステロールですが、多すぎても少なすぎても体内に悪い影響を与えます。 診断はコレステロールの量だけでなく、中性脂肪、HDL-コレステロールの数値も参考にして行われます。
基準値
基準値は1デシリットルの血液のなかに150~219ミリグラム。 近年食生活の欧米化が進み、心臓病が増えていることもあり、200ミリグラム以下が望ましいとされるようになってきました。
異常値の場合に考えられる主な疾患
基準値より高い場合は高脂血症、糖尿病、ネフローゼ症候群、甲状腺機能低下症、動脈硬化など。低い場合には肝臓の異常が考えられ、肝硬変、劇症肝炎、甲状腺機能亢進症などの疑いがあります。
受診時または検査時の注意点
高脂血症は、すぐに命に関わる病気ではないため、検査の結果が悪くても放っておきがちですが、そのまま放置しておくと将来、大変な病気を引き起こす可能性が大きくなってしまいます。 異常置が出た場合には、日常生活の見直しや適切な治療が必要です。